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     ■ 杉原輝雄  
     「生涯現役を貫く、不屈のプロ魂」
Profile
杉原輝雄さん(Teruo Sugihara)
1937年6月14日大阪府生まれ。68歳。プロ入りは1957年。62年に『日本オープン』で初優勝を遂げると、60〜90年代で通算61勝。69年には香港オープン優勝。89年以降はレギュラーとシニアの掛け持ちで10勝を挙げている。身長162cm、体重60kgと小柄ながら、オフシーズンに筋力やスタミナを養うトレーニングでそのハンデをカバー。また、ゴルフに対して妥協を許さないことでも有名。98年、前立腺ガンに冒されたが、ゴルフができなくなると手術を拒否。ホルモン療法でガンと戦った鉄人ゴルファー。

プロゴルファー・杉原輝雄。もう、すっかり彼の代名詞となった「生涯現役」のキャッチフレーズは偽りではなかった。「勝たなければ意味がない」と言い切るその目には、不屈の鉄人ゴルファーとしての炎が燃え上がる。今年10戦を闘うという彼は、今、何を思い、何を求めてこの闘いに挑むのであろう。今回、天竺&スクエアカップのため蘇州にやってきた「男・杉原」にじっくりと話を聞いた。
  ☆中国は初めてですか?中国、蘇州の印象は?  
  杉原 今まで中国香港や中国台湾へは試合で何度か行った事がありますけど、こっちは初めてですわ。おととい、上海、蘇州と移動してきたけど、やっぱり人も車も多いね。昨日は少し観光したんやけど、蘇州市内も往来が多いし、非常にエネルギーを感じる街やね。気候的にも日本とほとんど同じで、暮らしやすそうなところやと思うわ。まあ、ずっといる皆さんはちゃうやろけど(笑)。  
  ☆どうして蘇州へ来られたんですか?  
  杉原 ウチの奥さんの従姉妹の娘が、この天竺酒楼(編集部注:今回のイベントを主催した蘇州市内の大型中華レストラン。日本人経営で蘇州でも老舗)の佐久間さんの奥さんなんですわ。そういう関係で寄せてもらいました。天竺はもともと京都の祇園にある中華レストランで私も何度か行かせてもらってます。  
  ☆失礼ですが、今年で何歳になられるんでしょうか?    
  杉原 失礼や思ったら聞かんでええやないか(笑)。今、68歳やけど今年69歳になります。よく何でそんな歳までプロでやってられるのか?なんて聞かれるんやけど、10年ぐらい前から加圧トレーニングっていうのをやっていて、これは腕の付け根とか、足の付け根なんかを専用のベルトで縛って、血流を少なくしてトレーニングするんです。丁度、高地トレーニングのような感じやね。これを10年間、週に1?2回、大阪の自宅から東京に通ってやってます。やっぱり自分の体と仕事にはそれぐらいの気は使わんといかんのと違いますか?このトレーニングはね、リハビリの分野でもすごい効果があるし、今度は宇宙船の中での宇宙飛行士の運動にも採用されたらしいよ。  
  ☆杉原さんといえば「生涯現役」が代名詞ですが、現役へのこだわりについて聞かせてください。  
 
杉原 スポーツ選手やったら「生涯現役」というのは、やっぱり夢なんとちゃうのかなぁ。ただし、現役、現役と言っても、勝って、入賞せんと意味がないからね。その辺は考えなあかんとは思ってますけど、まあ幸いにゴルフっていうスポーツは50歳を過ぎてもトップを張り続けられるスポーツなんですわ。そこがゴルフの素晴らしいところやと思うんです。確かに距離は出なくなってます。でも出来るだけ希望を持って、頑張りたい。今はそう思ってますし、目標を持って頑張れること自体にとても感謝してますね。
 
  ☆杉原さんは過去に前立せんガンを患われていますが、それを克服された、今、どう思われていますか?  
  杉原 まあ、自分の知識不足もあったんやけど、当時からすぐに死ぬような病気という認識はなかったです。女性ホルモンの投与で抑えられる、治るんじゃなくて、あくまでも抑えられるんですが、それでどうにかなってますね。実は今でも月1回のホルモン投与は続けてるんです。抗がん剤治療は体への負担が大きいのでやらんかったねぇ。だから今も薬というのは飲みません。せいぜい健康飲料ぐらいですわ。  
  ☆聞くところによると練習量の多さは伝説的だとも聞いていますが。  
 
杉原 人がどれだけやってるかなんてわからんから、自分が特別練習量が多いなんて思ったことないなあ。自分は体も小さいし、自分の体やったらこれぐらいが必要というのをやり続けてきただけで。でもそれはプロとして当然のこと。正直に言うけど、全部、お金のため、生活のためやから。これは誰だってそう。かっこつけたってしゃーない。自分のために努力するのは当たり前のことやからね。だからプロとして、人間として当然のことをしてきただけやったと思いますよ。確かにプロゴルファーっていうのは、常に技術を追求していかなあかんわけやけど、でもそれ以前に健康っていうのが、生きていく上で大事やと思いますね。これは人間としてそうなわけで、プロだとかなんだとかは関係ない話ですわ。結局はそれが自分のためやから、常にそれを意識して、長い間の積み重ねですわね。健康でも何でも悪くなってから取り戻すっていうのは、なかなか大変なもんですからねえ。
 
  ☆よくゴルフは人生に例えられますが、人生でピンチの時はどうすればよいのでしょうか?  
  杉原 よく何もしないとか、仕事を忘れて気分転換して・・・なんていう話をききますけどねぇ、自分はそういうことがでけへんタイプやから。やっぱり前に進まんことには、目の前のことから逃れることはできないのと違いますか?私なんかだと、やっぱり練習しないことにはしょうがない。人生なんていい時よりも悪いときの方が多いもの。だから結局は、悪い時の気持ちの持ちようやと思いますね。その気持ちっていうのが、自分の一生につながっていく。やっぱり自信は持っても、慢心はいけないし、謙虚さとともに何が起こるかわからないという心の準備も必要やしね。よく厄年っていうけど、自分はいつも厄年と思ってます。実際、ここまで真っすぐに来られたわけじゃないですよ。遊びと仕事だけの生活で、家庭を壊しかけたこともありました。でも今では妻や家族には本当に感謝してます。だから自分の体で出来る恩返しを一生かかってもしたいですね。  
  ☆これからの活動予定をお教えください。  
  杉原 今年は10試合ぐらいは第一線で出ようと思ってます。丁度、日本に帰って来週から第一戦目が始まりますが、今年は絶対に予選を通過したいですね。もう年齢だとか、距離が出ないだとかの言い訳はできへん。キッチリ練習して、キッチリ結果を出したいですね。本当に何とかしたい。私はあきらめが悪いから(笑)、適当に割り切れないんですね。まあ、それが私のゴルフ人生ですわ。  
  ☆最後に中国に暮らす読者とゴルフファンにメッセージを!  
 
杉原 よく報道なんかでは、中日間がギクシャクしているような印象を受けるけど、経済や民間レベルではこうしてうまくいっているわけですから、それは皆さんの頑張りのお陰ですよ。よく命がけの演技をする中国雑技団というのを見るけど、ああいう人たちが命がけでゴルフや他のスポーツをやったら、日本は太刀打ちできんのやないかと思いますね。でも、それに負けない日本であって欲しいとも思います。そういう意味では、これから中日間はそういったスポーツで真剣に競い合えるような関係になれればいいと思っています。それには、こちらには単身で来られている方が多いそうですが、そういう皆さんにもっと頑張ってもらわなあかんと思います。そして是非、ゴルフを楽しんでください。ゴルフというスポーツは健康にも、余暇を過ごすのにも最適のスポーツやと思います。ゴルフをやられる方へのアドバイスとしては、もっと無理のないスイングを心がけてみてください。楽なスイングとリズムを大切に楽しんで欲しいですね。ただし、その為には重いクラブの素振で体に覚えさせることが必要。これがゴルフ上達の極意・・・かな?(笑)