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トリでも分かる  かんたん京劇講座
京劇きほんの「き」 Page 1  Page 2  Page 3  Page 4  Page 5    中国の京劇事情
京劇の衣装とメイクって誰がデザインしてるの?
京劇の衣装・メイク担当 翁麗君さんに聞きました

翁麗君さん ■翁麗君
上海京劇院舞美設計師
上海戯劇家協会会員
上海舞台美術学会会員
上海戯劇学院舞台美術系を卒業後、模範劇映画のメイクを担当する。その後1971年に上海京劇院に入り、衣装、メイクのデザインを担当する。2002年より上海大学の影視班で教鞭をとっている。代表作:狸猫換太子(1997年)、貞観盛事(1999年)、廉吏于成龍(2004年)他、映画、ドラマ等でも作品を残している。

伝統京劇のお約束
京劇と言えばその過剰なまでに華やかな色彩と豪華な刺繍の衣装が特徴のひとつです。この伝統的な京劇の衣装は、明代の衣装を基本に宋、元、清、様々な時代の特徴をも取り入れて作られた形式的なもので、非常に厳格な決まり事があります。例えば色彩で言えば、黄色は皇帝の色、赤は富の色、黒は卑しい色というように規定されています。

新しい京劇の衣装
しかし文革後から作り始められた新作の歴史劇ではそれまでとは異なる衣装が制作されるようになってきました。最近の新作「貞観盛事(注)」の衣装は伝統的な衣装に比べてドラスティックな変化が見られます。今までの時代感のない衣装と違って、唐代という舞台の色を濃厚に感じられる衣装なのです。京劇の女性用衣装といえば立ち襟の衣装ですが、この劇では唐代風の大きく胸元の開いたデザインとなっています。

メイクも変わりました
メイクにも変化が見られます。目の回りに赤いドーランを塗る京劇ならではのメイクは白いライトの下では綺麗に映えますが、様々なライトを用いる貞観盛事のような新しい京劇では色によって目のまわりが黒くなってしまうことがあります。なので京劇らしからぬ軽い化粧になっています。また顔の横に貼付けて顔の形を美しく整える片子という偽の髪の毛も使用していません。というのは片子を使うと顔が細くなってしまいますが、唐代はふっくらとした顔が美人とされていたからです。隈取りも魏征以外には用いていません。

貞観盛事の李世民。
貞観盛事の李世民。皇帝の色である黄色を用いていません。

衣装はどうやって作るの?
衣装の製作時間は舞台の大小により異なります。貞観盛事の場合では100人以上の出演者と200着近い衣装が必要ですが、この衣装、髪型、メイクのトータルデザインは翁麗君さんが一人で行い、約半年で衣装を仕上げています。衣装を作るのは京劇院で持っている工場でつくりますが、大規模な劇の場合には歌舞団などの工場にも発注します。刺繍はデザインと用いる糸とともに蘇州に発注します。ちなみに翁さんが担当した中で一番高価な衣装は「廉吏于成龍」という演目の于成龍という役の衣装だったそうです。金糸をふんだんに用いた刺繍の施された衣装はその一枚だけで1万元以上もしたそうです。
注:貞観盛事:1999年上海京劇院製作、唐の皇帝李世民と臣下の魏征を中心とするお話。

伝統と新編、皇后の衣装比較
伝統的京劇の皇后、皇妃用の衣装「宮装、鳳衣」。高貴な色である黄色が使われたこれぞ京劇!の華やかな衣装。 貞観盛事の皇后の衣装。紫色というのは本来三枚目役の女性が着るものですが、現代の観客の観点から言えば紫色というのはシックでおしゃれなイメージ。

伝統と新編、メイク比較
目のまわりを赤くぼかして、片子や偽の髪の毛を貼ったお馴染みのメイク。流れるような目元のメイクが綺麗です。   貞観盛事の片子をつけず、ちょっと濃い普通の化粧という感じのメイク。ちょっと宝塚を思い出す?

京劇の楽器ってどんなもの?
京劇の鼓師 金正明さんに聞きました
 
金正明さん ■金正明
国家一級演奏員
上海音楽家会会員
板鼓との出会いは30数年前にさかのぼる。中国戯曲学院で小鑼、鐃、大鑼と学び、その才能を見出されて楽隊の総指揮である板鼓を学ぶ。1981年に上海京劇院に入る。鼓師としてはすでに25年ほどの経験を持つ。新編の「扈三娘与王英」、「狸猫換太子」、「成敗蕭何」等が代表作。

楽団は何人ぐらいで構成されているの?
一般的に9〜10人です。その9〜10人が「文場」と「武場」の2つに分かれています。
「文場」は右の写真にあるように、京胡、二胡、月琴、中阮、三弦などの弦楽器と、笛や吶などの管楽器を指し、歌の時によく使います。
「武場」は打楽器を指し、板鼓、大鑼、鐃、小鑼、大堂鼓、小堂鼓などがあります。
同種の楽器でも大きさの違いによって音色などが異なり、登場人物の身分などによって使い分けます。種類がたくさんあるので、一部の人は複数の楽器を担当したりしています。また、以前は役者が自信を持って心地よく演技ができるため、「傍角儿」といって各役者に対して伴奏をする人が決まっていることが多かったのです。しかし今はそれもだんだん少なくなってきました。

指揮者はいるの?
西洋のオーケストラのような専門の指揮者はいません。しかし「武場」の板鼓を操る人、鼓師が楽団の総指揮者の役割をします。私は上海京劇院で鼓師として約25年ほどの経験がありますが、初めから板鼓を学んだわけではありません。中国戯曲学院に入ってからまずは小鑼を、次に鐃、そして大鑼と一つずつ楽器を習得していきました。先生から板鼓を勧められて鼓師になったのです。鼓師は指揮者としての才覚も必要なので、なりたいと思ってもなれるわけではありません。

どんな風に練習をしているの?
今ほど技術の発達していなかった昔は、楽譜もなく、すべて口伝によって楽器の奏で方を伝えていました。それに京劇の楽団は役者の伴奏がメインなので、西洋の楽器のように単独で練習することは難しいのです。それに加えて京劇には流派がたくさんあり、同じ演目でも流派によって楽譜が違ってくるという複雑さです。演奏する方は役者と鼓師から目が離せないので、楽譜はすべて頭の中に覚えておかなければなりません。単に楽器を奏でる技巧だけではなく、経験と理解力も重要なのです。

文場
楽器と管楽器を指します。高い、柔らかい、澄んだ音色が多いです。
■京胡 ■二胡 ■月琴
   
■中阮   ■三弦  
   

武場
打楽器を指します。京劇の中では重要な位置を占めています。
■板鼓 ■大鑼 ■鐃
   
■小鑼   ■大堂鼓   ■小堂鼓
   
 
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