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  Business Woman Interview No.56
 
  C's Communication Co.,Ltd. 上海世知文化伝播有限公司 代表
板屋美幸 (Miyuki Itaya
) さん
 
日本ブランドを、もっと中国へ。
日本と中国、ふたつの文化をつなぐ
架け橋のような仕事をしていきたいですね。

  最近、上海で起業する日本人女性の姿をよく目にするようになったが、中でも今回ご紹介する板屋美幸さんの仕事は特に光っているように思う。彼女が手がけた農林水産省主催のイベント「日本味の市」の企画運営や、日本の音楽コンテンツを中国に紹介するイベント「JAPAN NIGHT 2006」など、日本ブランドを中国でPRするというふたつの文化を繋ぐ重要な仕事は、中国の文化を熟知しないと決してできない種類の仕事だろう。国費留学からフリーのコーディネーターへ、その後培った人脈を糧にPR会社を立ち上げた板屋さんの歩みは、これから上海で何かチャレンジしようという女性にとって、とても心強いお手本になるのではと思う。




板屋さんは上海歴の長い方なので、ちょっとご自身の上海ヒストリーを振り返っていただければ(笑)。留学時代からすでにテレビ関係やコーディネーターの仕事をしていたそうですね?   

  留学で上海に来たのが97年、今年で10年目になります。あっという間でしたね(笑)。日本では航空会社の客室乗務員を5年、その後はもっといろんな仕事がしたくて、日中友好協会の交換留学生の試験を受けて上海に国費留学したんです。午前中は学校、午後からはインターン生として、上海のテレビ局で仕事をしていました。学校のある虹口から当時テレビ局のあった上海体育館あたりまで、毎日自転車で通っていましたね。ゼロからまったく新しい世界に環境が変わったので、毎日が楽しくて。あの当時、上海のテレビ局に外国人がアルバイトしているのが珍しかったのか、いろんな方にとてもかわいがっていただきました。
  学校は国費で1年、その後私費で1年勉強して2年で日本に戻ろうと思っていたんですが、当時ちょうどフリーでロケのコーディネーターをやっていた頃だったんです。それがとてもおもしろかったのと、まだ上海でやらないといけないことがあるような気がして、結局はそのまま今に至っています。

当時コーディネーターの仕事の様子は?その後、積極的に仕事の幅を広げていかれたそうですが、これまでどんな仕事を経験されてきましたか? 

▲襄陽路のオフィスにて。「まだ小さな世帯ですが、今後はスタッフを増やしてもっといろんな仕事ができるようにしたいですね」
  コーディネートの仕事は、1本ロケの仕事をやるとそのプロデューサーが別のプロデューサーを紹介してくれて、仕事は切れ目なく入るようになってきていました。当時は上海人のベテランコーディネーターにもよく使ってもらってましたが、仕事を続けているうちに日本人向けのノウハウもつかめるようになってきて。その後は自分がチーフになって現場を管理するようになっていました。その頃から、どうせなら中国の人にも喜んで取材協力してもらって、皆によかったと言われる現場にしたいなと思っていましたね。
  その後はコーディネートの仕事を続けながら、創刊当時の某日系老舗フリーペーパーの編集スタッフとして仕事をしたり(笑)、上海事務所の立ち上げスタッフとして音楽デジタルコンテンツの仕事を手伝ったり。コーディネーターの人脈を軸にさまざまな仕事の経験を積んでいきました。中でもいちばん大きな転機になったのは、03年から関わった美容雑誌のマーケティングダイレクターの仕事ですね。

中国系の高級美容雑誌で宣伝とマーケティングを全面的に任されていたそうですが、この仕事については?  

  ある意味チャレンジの多い仕事なので、引き受けるときにとても悩んだんです。実はその頃32歳ぐらいで、そろそろ会社を興そうと思っていた時期でした。もしこの仕事を引き受けるとまた起業の時期が延びてしまう、どうしようか?と。しかも、なぜ自分がマーケティングの責任者として白羽の矢がたったのかまったくわからなくて。それで理由を雑誌社の社長に聞くと、「コミュニケーション力を買っている」という答えが返ってきたんです。この仕事は日本のカルチャーを理解した上で、その良さを中国人にダイレクトに伝えるというコミュニケーション力が必要。だからあなたにぴったりなんだと。その答えを聞いたとたん、それなら私にもできるかもしれないと心が動きました。しかも、これまでずっと現場仕事だったので、どういう情報発信をしたら結果が出るのか机に向かって考えるのもいいチャンスだなと思い、引き受けることにしたんです。結果的にはこの仕事を通して得たものは大きかったですね。年2回の大型展示会はもちろん、北京や広州など地方で美容のイベントを打ったり、日本人スタイリストの講習会を開いたり、中国で物を売ることのむずかしさや中国市場の動きについても学べました。自分の中国語力もかなりこの仕事で上達したと思います。

現在、PR会社「C's Communicotion」の代表としてご活躍ですが、この会社を興したきっかけを教えていただけますか?
   
 
▲外灘の新しいスポットとして話題の店、外灘6号のレストラン「SUN with AQUA」(写真は『AQUARIUM BAR」)のPR業務も担当している。

  美容雑誌のマーケティング・ディレクターの仕事をしながら準備を進め、2005年の5月18日にオフィスを立ち上げました。業態は文化交流活動や企業PR、あとは各種プロモーション活動です。今年でようやく2年目になりました。どうもフリーのコーディネーター以来、気がつけば雇われるより自分でビジネスを作る方にモチベーションを感じる体質になっていますね(笑)。社名のC's(シーズ)には、中国(チャイナ)の意味、そしてカルチャー、クリエイティブ、コミュニケーション、カラーなど、物作りに関するたくさんの「C」を集めた企業にしたいという思いを込めています。自分としては、コーディネーターの仕事をしながら、他にいろんな仕事の経験を積んだことや人脈やさまざまな要素がすべて重なって、今の道に集結してきたという感じです。おかげさまで、これまで順調に仕事が途切れなく入ってきているのが本当にありがたいですね。
現在の仕事の内容について説明していただけますか?  
 
  イベント「日本味の市」のように企画から実施までトータルで受けることもあれば、PR単体の仕事もあります。外灘6号のレストラン「SUN with AQUA」に関しては、レストランのPRを丸ごとこちらで引き受けているので、広告出稿やメディアの選定、オープニングパーティの実施やメディアプランの立案まですべてやらせていただいています。クライアントによって仕事の内容はさまざまですが、基本的には情報発信していく業務がメインになっています。だいたい2ヵ月に1本の割合でイベントがあり、スタッフは私を入れて3名なので、すでに限界いっぱいまで仕事をしている状態です(笑)。
  ここ最近で特にうれしかったのは、JETRO主催「JAPAN NIGHT2006」のイベントを請け負わせていただいたことですね。記者会見から取材の手配、イベントの実施から事後報道の露出までトータルでやらせていただきました。内容は日本のコンテンツを中国の皆さんにPRする音楽イベントでしたが、起業して間もない私たちを信じて仕事を任せていただけたことに本当に感激しました。やはり食べ物にしろ、音楽にしろ、日本ブランドを中国人の目にもっと触れるように仕掛けていく仕事はおもしろいし、やりがいも感じています。
 
仕事を受けるときに気をつけていることは?

  できるだけ、文化面で日本と中国をつなぐような仕事ができればと思っています。お金はもちろん大事だけれど、仕事を選ぶ基準はそれだけではなくて。実は、中国に来るきっかけになった国費留学の面接の時、「中国で何がやりたいですか?」と質問された時、私は「将来は日本と中国の文化の架け橋になるような仕事がしたい」と答えていたんです。不思議なことにいま本当にそうなっていますね。自分がふたつの文化をつなぐような仕事をやらせてもらえることがありがたいです。仕事に関しては、私はビジネスだけでは走れないタイプで、その仕事に思い入れがないとモチベーションも上がらないんです。いつもエモーショナルな仕事がしたいと思っていますね。ただ本人は楽しく突っ走っていても、それに付き合うスタッフはかなりたいへんかもしれませんが(笑)。

「C's Communicotion」の今後のビジョンについて教えてください。   

 スタッフ増も含めた規模拡大ですね。これまではひとつプロジェクトを終えて自信をつけて、さあ次へ。また次へというスピード感のある1年だったんです。自分たちにとっても毎回新しいチャレンジが必要な分野ばかりで、ドキドキしながら仕事をしてきた日々でした。でもいちばん大事なのは、クライアントの皆さんの信用を得ることにつきると思います。これからはスタッフがもっとゆとりを持って仕事に取り組めるような、そんな体制づくりを経営者としては考えなくてはと思っています。まだ社長1年生なのでわからないことだらけですが、スタッフ体制をしっかり整えて、もっとチャレンジングな仕事に取り組めるように。スタッフと一緒に成長するような気持ちで、クライアントの信頼に応えていきたいと思っています。

■ C's communication Co.,Ltd.
上海世知文化伝播有限公司
上海市襄陽南路500号1601室
TEL:6445-4729 FAX:6445-4729