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  Business Woman Interview No.50
 
  ginger cafe+deli   ディレクター・フードコンサルティング 
Betty Kruemmer(黄美珠)さん
 
どんな時間でもおいしい物が食べられる、 落ち着いたやさしい雰囲気のカフェです。

しゃれたブティックやレストランが並ぶ復興西路沿い。小さい間口ながらつい心惹かれてしまうおしゃれなテナントの1階に、シンガポール人のベティさんが経営するginger cafeがある。ヨガセンターやセレクトショップ、広告制作会社が入っているこの小さなビルは、この界隈の中でも特に高感度の欧米人が集まるスペースとして有名だ。東京のカフェブームを上海にも広げようと、ベティさんがここにカフェをオープンさせたのは昨年9月のこと。「カフェだからこそ、おいしい物を食べられるようにしたい」と考えるベティさんこだわりの空間は、一度訪れると必ずリピートしたくなる。
上海に来る前、ベティさんは長く東京に住んでおられたそうですね。
ドイツ人の主人の転勤で東京に行くことになったのが93年で、その後は東京に10年住みました。私はシンガポール人で、日本に行く前はシンガポールと北京でホテルのマネージャーをしていたんです。月曜日から土曜日まで仕事なので、1ヵ月の休みは4日だけしかなくて。日曜日に仕事が入ることもあって、当時ホテルの仕事はハードでしたね。
はじめて東京に行ったときはどんな印象でしたか?
いちばんショックだったのは物価ですね。中国から来たのでよけいにショックだったのかもしれない(笑)。私はシンガポール人なのでかなりリラックスした雰囲気でしたが、周りの日本人は常にきちんとしている印象で、やはり日本人は違うなぁと思いました。当時は下北沢に住んでいたんですが、街全体がヒップな感じで、中心部より物価もそれほど高くないし、とても住みやすかった。東京に行ってからすぐ新大久保の日本語学校に通いはじめました。中国人、韓国人の生徒が多かったんですが、シンガポール人の私は漢字が弱いので授業についていくのが大変。中国語は話せますが、ずっと漢字は苦手でしたね。
東京ではテーブル・コーディネーターとして活躍しておられたとか?
フードも含めたテーブル・コーディネーターです。日本語を学んだ後、何かやりたいなと思っていた時、北京時代の友だちが「なぜベティはシンガポール料理を教えないの?今の東京はエスニックブームなのよ!」と言われて、初めて料理と自分の仕事が結びついたんです。そして彼女がチラシを作ってくれて、そのチラシを近所に置いてもらってから生徒が集まるようになって、シンガポール料理の教室をはじめました。その料理教室が私のキャリアのスタートでしたね。
ベティさんは小さい頃からお料理が得意だったとか?
料理は昔から大好きでしたね。北京でホテル住まいだった頃は、もちろんキッチンがないので、炊飯器ひとつだけでお料理して、部屋でよくパーティをやっていたんです。炊飯器ひとつでカレーや炒め物までできるなんて信じられないでしょう(笑)。そういう様子を見てくれていた友人だったので、料理を教えたら?というアドバイスをしてくれたのだと思います。シンガポール料理は、マレー料理を中心にインドや中華の影響もあるので、味が多彩なのが特徴です。もちろん普通の家庭料理もあります。いろんな味がミックスしているフュージョン的な料理が主流ですね。
その後、外国人がシンガポール料理を教えるサロンということが珍しかったのか、女性誌のVERYから取材依頼が来て、その記事が掲載されたとたん、他の雑誌の取材も来るようになって。それがフード・コーディネーターの仕事のきっかけになったんです。アドバイスしてくれた友人に心から感謝ですね。
93年当時といえば、ちょうど東京でエスニックが大流行した頃ですね。

▲カフェの1階にあるキッチン。クッキーやデザートなどのテイクアウトもできる。
そういう意味では、うまく時代のタイミングに乗れたのかもしれませんね。当時はフード、テーブルコーディネートの仕事の他に、ビザカードのメンバー向けのレッスンの講師もしていました。自宅でのレッスンや雑誌など撮影の仕事で忙しかったんですが、その時からアジアン以外の料理の基礎をつけようと、東京でル・コルドンブルーのフレンチの学校にも通っていたんです。毎週レッスンがあって、卒業するまで2年間かかる本格的なものでした。授業はとてもハードでしたよ(笑)。でも、ちゃんとフレンチのソースを作りたかったので、時間が厳しい時もありましたけれど頑張りました。基礎はやはり大事ですからね。東京の生活の中で唯一残念だったのは、日本料理の基礎を徹底的に学べなかったことです。もちろん、簡単なレッスンは行ってましたがプロ用の本格的なものではなかったので。和食は懐石をはじめ、料理に精神性が加わっているので奥の深い世界だと思います。いつかチャンスがあれば真剣に習いたいと今でも思いますね。
  あらゆる意味で、私は日本で住んで仕事ができてラッキーだったと思います。もし日本に行ってなかったら、自分が今どんな仕事をしているのか、想像もつかないですね。もちろん、雑誌や撮影の仕事はたいへんだったけれど、スタッフの仕事ぶりに感心することも多かったです。
日本で関わったフード系の仕事で特に印象的だったことはありますか?

▲さまざまなアジアンテイストが見事に調和した空間。全体的に温かいムードなのでつい長居してしまいそうだ。
当時はフード・コーディネートの他に、レストランのメニューを作る仕事もやらせていただいて、『イデー・インテリア』の中にあるフュージョンレストランのフード・プロデューサーの仕事もしていました。この時の仕事は周りがアーティストばかりだったので、とても刺激になりましたね。その後はあるレストランのメニュー開発とテーブルコーディネートの仕事も。雑誌では「EAT」のフード・コーディネーターが長かったです。雑誌ではレシピも完璧に作らないといけないのでハードでしたが、いつも編集者やデザイナーなどクリエイティブな人に囲まれていたので、本当に楽しかったですね。
中国に戻ってきてからこのカフェを作ろうと思ったのは?
主人が東京から上海転勤になって、2003年に戻ってきたんです。帰った直後はずっと東京ホームシック(笑)。でも今は大好きですよ。だんだん上海はおもしろくなってきました。上海はチャンスの数が東京より多いと思います。北京に住んでいた頃から10年以上たっていますが、中国で変わったのは外側だけ、あまり中身は変わっていないような気がしますね(笑)。
自分ではいつかレストランかカフェをやりたいなと思っていたので上海でスペースを探していたら、たまたまここのフランス人の大家さんが「1階にキッチンを作ったのでカフェでもやってみない?」と声をかけてくれたんです。東京のカフェ・カルチャーをここにぜひ持ちこみたい、というアイデアを彼に話したら、彼も東京に13年間住んでいた人なので東京カルチャーにも詳しく、すぐ理解してくれました。ありがたいことに昨年の9月にオープンして以来、お客さんのレスポンスがいいのがうれしいですね。このビル内の方や復興西路界隈に住んでいる方がよく来てくださっています。99%が外国人で少し品のあるお客さまですね。
とてもこぢんまりして素敵なカフェですが、「ginger」の名前の由来は?
生姜はアジアでもアメリカでも世界中のキッチンで使うものでしょう?みんな使っていて親しみやすいし、体にもいいし。名前はどこか温かいイメージにしたかったので、語感もいいし、gingerがぴったりだなと思ったんです。内装にしても温かいイメージで作るのが私の希望でした。店の中に日本のアンティークの帯があったり、チベットの色の物があったり。別々の物なのに、アジア同士の物だとうまく調するものなんです。インテリアのテーマは「アジアン・オリエンタル」で、メニューはインターナショナルのオールディ・ダイニング。9時からの朝ごはんメニューもありますし、その他の時間は和食もフレンチのビストロ料理もメニューに加えています。先日、カフェの奥を改装してバー・スペースも作りました。いい雰囲気があって、おいしいものを食べてゆっくりワインを飲めるように、ナイトタイムメニューはタパスのように少ない量で種類を多く、見た目も華やかに各国料理をアレンジしてお出ししています。
次の目標はありますか?
バーが始まって落ち着いたら、次はここの地下1階でグルメ・コーナーをやりたいなと思っているんです。でもそれはまだ先の話かな?スタッフも必要だし、今はワンマンバンド状態なので、手いっぱいでたいへん(笑)。でもこのカフェをやり始めてからは、いろんな人に会えて毎日が本当に楽しいです。私が思うカフェのイメージは、ちゃんとおいしいものが食べられて、いい雰囲気で落ち着けること。上海にあまりこういう形のカフェはなかったと思います。朝から夜までどんな時間でもおいしい物を食べながら寛げるスペースとして、皆さんに認知してもらえたらうれしいですね。
 
■ ginger cafe+deli
浦西の隠れ家スポットとして有名な復興西路にあるこぢんまりしたカフェ。料理やドリンク、デザートまで、吟味された素材によるヘルシーメニューは試す価値あり。

上海市復興西路299弄1号
TEL:021-6433-9437 営業時間 9:00〜23:00
予算:80〜120元(ランチ) 180元〜(ディナー)

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