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  Business Woman Interview No.48
 
  Lumiere   ルミエール
田辺真里子さん   Mariko Tanabe
 
上海の花も少しずつ良くなっています。
これからの進歩にもっと期待したいですね。


田辺真里子さんがオープンしたフラワーショップ、Lumiereに一歩入った時、やっと上海にも日本人好みの店ができたとうれしくなった。置いている花の種類こそ少なめだが、ディスプレイされている小物やブーケは色も派手すぎず、デザインもシンプル。誰かに花を贈りたい時、ぜひ思い出したい店である。単身で上海に来た田辺さんが店をオープンするまでのお話を聞いていると、上海で店を開くことは決して楽でないことがわかるが、スタイリッシュな花屋がまだまだ少ない上海。願わくばこのテイストのまま、ずっと続けて欲しいと心から思う。
こちらのお店は少し隠れ家っぽい雰囲気が素敵ですね。お店を出すのにこの場所を選んだ理由を教えていただけますか?
ここ(安福路)はインテリアショップやギャラリーが意外に多い通りなんです。欧米人も周りにけっこう住んでいるので、うちのようなこぢんまりした店を出すにはいい環境だと思いました。東京にある目黒のインテリア通りのように、店を出すことで通りの全体の発展につながればと思っています。店構えは通りからあまり目立ちませんが、逆にこの隠れ家っぽい雰囲気が自分でも気に入っていますね。
田辺さんが上海に来たのはどういうきっかけからですか?
上海旅行に来た時にある雑貨店を見て、その店のポリシーにとても感銘を受けたんです。その後、日本に帰ってたまたまその店をネットで見ていたら、ちょうどフローリストの人材を募集していて。ぴんと来るものがあったのですぐに作品を送って、その後すぐ上海に面接に行きました。面接後は話がとんとん拍子に進んで、1ヵ月後にはもう上海で仕事をしていましたね(笑)。働き始めたのは2004年の1月からで、周りの友だちにずいぶんびっくりされました。
中国で働くのは初めてだったそうですが、実際に上海で仕事をしてみていかがでしたか?
アシスタントマネージャーとしての勤務でしたが、正直に言うと『どうしてこんなところに来ちゃったんだろう・・』と、半年ぐらいは日本に帰りたいと毎日悩んでいましたね。花市場に欲しい花がないし、こちらのお客さんの好みもわからない。しかも今まで常識と思っていたことがまったく通じない。上海に来る前は、花器にしろ道具にしろ日本でメイドインチャイナの質の高い物を目にしていたので、きっと上海の花業界もそれなりに進んでいるものだろうと思っていたんです。でもそれが大間違い(笑)。輸出用で一般にはまったく流れてこないんです。花市場を2回3回と回っても欲しい花がない時は、本当に頭を抱えました。一般的なバラや百合はあっても、日本人が好きなこげ茶色の花がない。紫陽花も白と青だけで日本のように微妙な色は見つからない。中でもいちばん困ったのは、こちらの方の花に対する感覚がなかなか掴めなかったことでした。イベントでもディスプレイでも私がやると地味すぎるみたいで、クレームが来ることもありました。それがある日、『うちの店にはこういうディスプレイが必要なんだよ』とお客さんに写真を見せられてから、やっとこちらの方がどんな物を望んでいるのかがわかってきたんです。具体的に言うと、日本よりややモダンな感じでした。コツをつかんでからは一気にオーダーも増えてきて、上海で働くのもありかな?と思えるようになったんです。単純なんですけどね(笑)。
最初の店を1年ほどで辞めて、その後は共同でお店を出されたそうですね。
▲ひとつひとつおーダーで作っているフラワーブー ケ。写真はラウンドタイプで250元。
初めて仕事をした店で知り合ったシンガポール人と私と、あと上海人女性の3人で新しく店をやろうと話がまとまったんです。でも、それからが苦労の始まりで(笑)。結果的に言うと、はじめて出した店はパートナーに持って行かれる形になってしまいました。3人でスタートした店でしたが、いちばんよくなかったのは、忙しさにまぎれて覚え書きにサインすら取らずに、仕事をそのまま進めてしまったことですね。店舗はパートナーの女性の店なんですが、店の内装費は私が出しているし、仕入れのお金もすべて私が持っていました。さあ精算しようとなったら、考えられないトラブルが次々と起こってきて。その時の私の気持ちを正直に言うと『やられたな』という感じでした。結局は3ヵ月で破綻して、私が店を出る形で収まったんです。店のトラブルを知った中国人の友人が私の状況を見かねて、ひとりで仕事をした方がいいとアドバイスしてくれたんですが、『上海人同士だって100元、200元の貸し借りでもきちんとサインをするのに、大金をそのままサインなしに出すなんて。人が良すぎるにも程がある!』とあきれられました(笑)。イヤな思いはさんざんしましたけれど、私が相手を信じすぎたのが悪いので仕方ない。高い授業料でしたね。
ただ、こんな悔しい思いは一生忘れられないとその時は思いましたけれど、このまま引き下がるのもくやしくて(笑)。このまま辞めるわけにはいかないな、と。そんなトラブルの中でも、イベントの仕事が次々と入ってきたり、お客さんが私にオーダーしてくれたり、スタッフがついて来てくれたりと、仕事としてはいい状況だったのが救いでした。これがもし八方塞がりだったら、とっくに日本に帰っていたと思いますね。
今のお店について説明していただけますか?

▲記念日や誕生日、お見舞い、ウェディングなど、用途に合わせたちまざまなアレンジメトができる。
いろいろ紆余曲折ありましたけど、おかげさまでこの10月23日に安福路に店をオープンさせることができました。花を作るスタッフが3人で営業的なスタッフが1人。小売りもしていますが、店のディスプレイやイベントなどの仕事が中心です。イベントはヨーロッパのファッションブランドの仕事が多く、ディスプレイの場合は、店のコンセプトをマーチャンダイザーの方と一緒に考えることが多いので、とても勉強になります。どちらかというとここはアンテナショップ的な意味合いで、イベントの前はサンプルを作ったり、同時に商談の場所でもあります。月に3回ほど少人数制のフラワーアレンジ・レッスンも開いています。
田辺さんがお花を職業として意識しだしたのはいつ頃からですか?花を仕事にしたいと思う方は多くても、実際に仕事として続けられる方は多くないように思えますが。
学生時代から花はずっと習っていました。日本ではアパレル系の商社で2年ほど働いて、それから花の国家資格を取るために1年間イギリスに留学したんです。その後は派遣社員をしながら、自宅で花を教えていました。フランスやオランダに、花のレッスンを受けるために短期で留学したこともあります。イギリスやフランスに行って感じたのは、意外かも知れませんが、一般の花屋さんやお客さんのレベルは日本の方が進んでいるということ。トップクラスになるとヨーロッパはさすがに力がありますが、全体的に見ると日本の花業界の方がレベルは高いですね。
アパレルの商社に入って仕事をしていた時、パタンナーなど技術を持っている女性が海外出張に行ったり、活躍しているのを見て、事務職の自分がとてもつまらなく思えてきたんです。どうせ働くのなら好きなことを活かして働きたい。それが私の場合は花でした。花屋の仕事をひと口で言えば肉体労働、いつ休みがとれるのかもわからない仕事です。花が好きじゃないとできないけど、好きなだけでもできない仕事ですね。
上海でフローリストとして働いていて、むずかしいと思うところは?
知り合いのシンガポール人のフローリストが帰国する時、『君は上海でフローリストとして仕事をして幸せなのか?』と聞かれて返事に困ったことがありました(笑)。イベントなどで花の指定があっても上海にない場合があるし、あると聞いてたはずの花がイベント直前になってないことがわかったり。前はパニックになって泣いてましたけれど、最近はないものはしかたないといい意味で開き直れるようになったし、自分でフォローする術も覚えました。ずいぶん逞しくなりましたよ(笑)。ただ最近、やっと気持ちの通じる仕入れの方に出会えて、その方が花を輸入してくれたり努力してくださったおかげで、昔よりは欲しい花が手に入りやすくなっています。
上海の生花事情を田辺さんの目でご覧になっていかがですか?
上海で花の仕事を始めて2年目になりますが、市場全体を見ても少しずつ花の種類が増えてきたことを感じます。特にこの1年で上海の生花業界はずいぶん変わりました。まだ花の輸送技術の面などで遅れているなと感じることもありますが、上海は変化のスピードが早いので、これからはもっと良くなると信じたい(笑)。正直、まだ100%満足はしていませんが、これからに期待できる業種だと思います。
■Lumiere <フラワーショップ ルミエール>
日本人フローリスト田辺真里子さんの店。オーダーメイドで作る花のアレンジはどれもシンプルでスタイリッシュ。ウェディングやイベント、パーティ用のディスプレイの他、レンタルグリーンも扱っている。1クラス4名までのフラワーアレンジメントレッスン(月/3回:630元<花材、受講料込み>)もあり。
安福路234号(×烏魯木斉路) 営:10:00〜20:00
TEL/FAX:5404-1101 
http://www.lumiere.org.cn
mariko@lumiere.org.cn
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