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Business Woman Interview No.40
  MURAL
General Manager・菫事総経理
李杼倣   さん
あそこに行けば何かがあるぞ、と
興味を持ち続けられる店でありたいですね。


「フローラ」の名でバーやレストラン関係者の信頼が厚い李杼倣さんは、香港国籍の上海人だ。17歳で香港へ単身で渡ってビジネスを興し、今やバーMURALを含め3つのビジネスを切り盛りする、まさにビジネスウーマンである。「バーも半導体関連の代理店も、ビジネスという意味では同じ。市場をよく見ることが大事なんです」と語るフローラさん。MURALが瞬く間に欧米人の人気スポットになったのも、この徹底的なマーケティングの力によるものらしい。
  MURALはフローラさんのご主人のアイデアなんだそうですね。
そうなんです。私は経営とマーケティングを見てるんですが、店のアイデアは彼です。主人はアーティストなので内装に凝りに凝って10ヵ月もかかってしまって。すっかり予算オーバーだったんですよ(笑)。でもこのバーは壁に塗っている金も床に貼っている銀も、全部本物なんです。金を上海で大量に買うのはずいぶんむずかしかったみたいですね。内装している間、私は一度も見に行ったことがなかったんですが、ある日ちらっとのぞいたら現場がひっくり返っていて。これでは一生オープンできないだろうなと思って(笑)、私がコントロールするようになったんです。Muralは壁画の意味で、壁いっぱいに文字が描いてある中国文字もすべて彼の作品です。オープンしたのは2003年の終わりですね。
  フローラさんのご家族は、2年前に上海に戻ってくるまでずっと香港で暮らしていたそうですが?
私は上海生まれの上海人なんですが、国籍は香港なんです。ひとりで香港に渡ったのが81年、17歳でした。当時の中国はまったく未来がなかったのでどうしても外国に行きたかった。その時に行ける外国が香港とマカオだけだったんです。
香港ではまず最初に会計の勉強をして、その後会社員になって、それから友だちの貿易の仕事を9ヵ月くらい手伝って資金ができたので、自分で会社を興しました。業務は半導体の原材料を大陸向けで販売するための代理店、取引しているのは日立や太陽インクなど日系企業です。今バーを経営している私から想像できないかもしれないけれど、とても堅い業種なんですよ(笑)。この仕事は今も続いていてすでに17年目に入りました。当時、人を介してたまたま話が来たので、まったく知らない業種だけどチャレンジだと思ってスタートさせたんです。
主人は北京生まれの上海人で、上海時代からの友人です。彼が香港に来てから結婚しました。ずっと香港で暮らしていたんですが、インターに通っている娘に正しい普通話を学んで欲しかったのと、主人が上海に帰りたいと言い出したので、2年前に戻ってきたんです。香港はビジネスには悪くないところだけれど、文化的にはあまり得るところがないので、やはりアーテイストである彼は大陸が恋しくなったみたいですね。
   上海に帰ってすぐMURALをスタートさせたんでしょうか?
最初に作ったのは、実は英語のランゲージスクールなんです。半導体関連の代理店は仕事が安定しているので人に任せていたので、上海に帰ってからは暇で暇で(笑)。だから学校を作ったんです。やはり上海で自分のオフィスがあった方が何かチャンスがあった時にビジネスしやすいので、ここを拠点にしようと思って。WTO以降は政府関連の人たちも英語の必要性を感じているらしく、昼休みに教師を会社に派遣してレッスンしたり、ニーズはかなり多いですね。フランス語やドイツ語、オランダ語やスペイン語など、他の言語を学びたい人のための小クラスも設定しています。だから今の私の仕事は、半導体関連の代理店と語学学校、そしてMURALの経営と3つあるんです。
オフィスのフローラさん。3つの会社を切り盛りするハードワークの日々だ。
  例えば、家族の経済的な面は完全にフローラさんが主導権をとっているんでしょうか?
いわゆる経済的な大黒柱は私ですね。主人は文化人でお金儲けにセンスがないので、それは期待していないんですよ(笑)。でも香港で会社を作った時は2人一緒だったし、彼とは役割分担が違うんです。インテリアや内装関係は彼が強いので、そういう仕事が入ってきた時は彼に任せるし。たぶん日本とはぜんぜん感覚が違うでしょうね。自分の方が収入が多いことについては別に気にならないです。香港では奥さんもお金を稼ぐけどそれはポケットマネー、生活は夫が面倒見るのが普通なんです。でも私たちは一銭もない状態で親のサポートもなく二人でずっと一緒に仕事してきたので、運命共同体という感覚ですね。もし私と彼がまったく同じタイプだったら、とっくにダメになってたと思うし(笑)。彼は香港で15年前にアンティークの家具を作る仕事をやっていたので、今それを上海でもスタートさせようと頑張っていますよ。
  ところで、これまでとまったく違う業種の「バー」をスタートするのにとまどいはなかったですか?
さすがにバーは初めてなので、最初はとまどいましたね。どんなお客さんが来てくれるのかさえわからなくて、本当に試行錯誤でした(笑)。ただ私の場合、これまで自分でずっと会社をやってきたから、ジャンルは違うけど経営に関しては知識も勘もあるんです。当時の上海のバーではハウスやテクノばっかりかかっていたけれど、ここではファンク系のDJを入れてレアものばかり流したり、MURALならではの個性を出そうと当初から考えていましたね。ビジネス的にはまあまあで、金曜日はドリンクフリーで100元にしているせいか450人くらい入ります。お客さんはほとんどがアメリカ人、木曜日と土曜日は日本人が多いです。ジャーマンセンターのミーティングでうちの店を使ってくれているので、ドイツ人もよく来ますね。あとフランス人のお客さんが増えてきたけれど彼らは英語を話してくれないから(笑)、最近マネージャーにフランス人を入れたんです。私自身も自分の趣味として、毎週日曜日に5時間フランス語のレッスンを受けているんですよ。

バーMURALのステージ。壁や床に張られた金銀はすべて本物を使用。内装に10ヵ月以上かけたというだけあって、さすがに細部まで凝ったつくりになっている。
  MURALと他のバーとのいちばん大きな違いはどこにあると考えていますか?
マーケティングがバーを引っ張っているところでしょうね。これは普通のバーとまったく違うところだと思います。マーケがリードしているからスムーズにことが運んでいることも多いです。私のビジネス・スケジュールでいえば、火曜日から木曜日までの3日間はすべてこの店のマーケティングに使っているんです。専門のライターを雇っていろんな雑誌や新聞に書いてもらったり、33のメディア、ウェブや新聞、雑誌などに毎週リリースを流したり。どんな仕事でもそうですが、マーケティングってとても重要で、しかもこういう作業はコンスタントにやり続けることが必要だと思うんです。
あと、うちの店にはすでに3000人のカスタマーリストがあって、どんなジャンルの音楽が好きなのか、何をバーに求めているのか、音楽を聴きに来てる人が30%、ただ楽しく飲みたい人が70%など、すべて数値化しているんです。DJを呼んだりいろいろイベントもやっていますが、こういうマーケの数字を元に、これからいろんなジャンルにチャレンジできるかなと思ってます。
  上海のバーとして、何がトレンドなのかはどうやってチェックしていますか?
よく他のバーを見に行きますね。特に出ているバンドはかなりシビアにチェックして、もしいいシンガーがいたらうちの店でもプレイしてもらいたいと思って。そうやってコットンクラブの黒人シンガーをうちに引っ張ってきたこともあったし、土曜日に出てくれているチリのラテンバンドも自分で探してきました。これまでいろいろ手探りでやってきましたが、人からの情報交換も含めて、音楽だけ聴きにきてくれる人も満足してもらえるような空間にしていきたいなと思いますね。私は音楽は好きだけと特別にくわしいわけではないので、いいバンドの情報は常にチェックするようにしています。
店内でのパーティだけでなく、外でのパーティやイベントにも積極的。最新情報はwww.muralbar.comでチェック!
  MURALの次のステップとしては?
MURALをワンランク上のバーにしたいですね。あとはもっとイベントに力を入れたい。上海人のDJが出るイベントを毎週やっているんですが、これがなかなか好評で人の入りがいいんです。今度DJのSHORTCUTを呼んで大がかりなライブをARKでやる予定ですが、スポンサーにユナイテッド航空やスケートボードの企業をつけたり、企画からセールスまで自分で組み立てるのはとてもおもしろいですね。
あとはチャンスがあれば2号店かな?特別に大きな店を作ろうとは思わないけれど、常にお客さんの興味を惹きつけるような店でありたいと思いますね。
  ◆MURAL BAR
欧米人に大人気のバーMURALは2003年末にオープン。壁一面に描かれた中国画や文字が独特のエキゾティックなムードを醸し出している。バー主催のイベントやパーティも多数。

永嘉路697号地下1階(永嘉路×衡山路)
18:00〜26:00
TEL:6433-5023 FAX:6433-9671
http://www.muralbar.com
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