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特集
「内販力」強化 〜私の提言〜
 
  多国籍の競合企業が真剣勝負で挑む中国市場。言葉も商習慣も違う環境で、内販に取り組む日系企業はいかに組織作りを行い、商流をつかんでいけばいいのか。本特集では、内販企業をサポートするコンサルタント、ITベンダーにインタビューし、「内販力」強化のヒントを探った。  
 
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  対談 中国人社員を生かすマネジメントとは 
陸強氏(正源諮詢有限公司) × 松村扶美氏(ヘイ・コンサルティング・グループ)
 
 
ヘイ・コンサルティング・グループ上海オフィスにて。 対談はすべて中国語で行われた
日本式経営は中国には合わないのか? グローバルマネジメントが有効なのか? 特集冒頭では、「中国人社員を生かすためのマネジメント」をテーマに、大手米系コンサルティング会社で長く欧米系企業のコンサルタントを務めた陸強氏と、ヘイ・コンサルティング・グループの日系企業担当コンサルタント・松村扶美氏に対談をお願いした。
 
  中国企業は年功序列だったが... 欧米企業は地理的に優位?  
  ――(編集部)中国での組織作りにグローバルマネジメントは有効でしょうか。  
 
陸強氏  1987年上海交通大学管理学部卒業。92年中国では第一号の経営コンサルティング会社を設立。98年大手米系コンサルティング会社に移籍し、主に欧米系企業のコンサルティングで8年余りに渡って活躍。今年3月に独立、正源諮詢有限公司
(http://www.rnrconsulting.net)を立ち上げる。
陸強氏...現在の中国市場はある意味で欧米よりも市場経済の原理で動いています。人材市場でも激しい競争が繰り広げられています。以前、国営企業は日本の企業と同様、年功序列を採用していましたが、近年は欧米系企業が引っ張るかたちで能力給が一般化しています。ITなどの新興産業で特にその傾向が顕著です。
松村扶美氏...「年功序列」を議論する場合、中国人の価値観の変化を指摘すべきでしょう。労働人口の主流を占めているのが、六〇年代から八〇年代の世代です。「八〇後」といわれる八〇年以降に生まれた若者は個人主義が強く、集団意識が希薄です。伝統的でチームワーク重視型の六〇年代世代とは対照的。新世代は仕事選びに、まず「前途=qian tu」があるかを挙げます。「前途」とはまず「銭=qian」(給与)であり、次に「将来の発展空間」、「修練(社員教育)の機会」(途=tu)が続きます。こうした各世代が持つ特性を意識し、マネジメントする必要があります。
 
  ――欧米系企業はなぜ人材現地化に成功しているのでしょうか。  
  陸...地理的な要素が非常に大きいです。欧米と中国は離れており、自国からスタッフを派遣するのは高コストとなり難しい。欧米系企業では人材現地化は中国進出の前提条件であるわけです。
一方の日系企業は地理的に近く、駐在員の派遣が容易です。中国人にとっては、ハイポストを日本人が占める日系企業より、チャンスの多い欧米系企業が魅力的に映ることになったのです。
  欧米流人事は諸刃の剣 日系企業の“和”が持つ可能性  
  ――欧米式人事制度の強みはどこに?  
 
松村扶美氏 神戸大学法学部卒業。2000年より日系人材紹介会社に勤務し、人事関連サービスを提供する。2007年3月、ヘイ・コンサルティング・グループに籍を移し、日系企業担当コンサルタントとして活躍している。
陸...“和”を尊ぶ文化の日系企業は、一年契約の中国でも首切りを避けたがる傾向があるようです。一方の欧米系企業は、「できたら残す」「できなかったら契約解除」とドラスティック。こうした人事方式が欧米企業のスピード感につながっていることは間違いありません。
松村...ただ、欧米流人事に対して中国人人材がすべて肯定的にみているわけではないでしょう。ドラスティックな人事は欧米系企業の諸刃の剣といえます。そこで、欧米系企業では組織運営に際し、「コミュニケーション」や「チームワーク」に戦略的に注意を払っているのです。  
今後、日本式の調和を重んじる組織運営が受け入れられる可能性もあります。来年施行が予定される新労働契約法の草案では、労働者保護が前面に打ち出されています。人々の価値観は容易に変化するものです。社会の安定が続けば若者の安定志向化が進み、日系企業的なマネジメントへのニーズが高まることも考えられます。
陸...欧米系企業は「顕在能力」を重視、日系企業は「潜在能力」を重視する構図があります。九〇年代に進出した外資系企業では社員教育に力を入れていました。しかし、二〇〇〇年以降に進出した欧米系企業はヘッドハンティングで即戦力を集めるようになりました。それだけ市場競争が激化し、スピードが求められるようになったということでしょう。潜在能力を重視し、教育にとらわれていると、フットワークが鈍る可能性があります。
松村...そういう意味でも、企業は経営理念やビジネス戦略に基づいて、職種・階層毎に必要とされる能力をスタッフ全員に対して明確化する必要があるでしょう。そして、その能力を顕在能力として持っている、つまり行動として示している人材を採用、選抜、育成していくことこそ重要になってきます。
 
  コミッションは重要ではない 「任せる」ことが大切  
  ――「中国で売る」ために、どんな営業部門作りを行えばいいのでしょうか。  
  陸...日系企業では営業部門の「コミッション」について議論されているようですが、私がこれまで担当した欧米のグローバル企業はコミッションを採用していません。先ほど松村さんが指摘したように、むしろチームワーク重視型の組織作りを行っています。 松村 コミッションよりも責任権限の譲渡が大事です。中国のセールスは、根回しやコネクションといった、外国人が介入しにくい領域が存在しています。マーケティング部門のトップは日本人でもできますが、営業部門のマネジメントは現地化の必要性が高いです。 陸...中国人は「強いリーダー」を求めます。日本人は指示がなくても懸命に働きますが、中国人は有能な上司からの指示を待つ傾向がある。マネジメントを司るリーダーは、部下に明確な目標を与えられ、指導力がある人材であるべきです。
 
     
  ――最後に、内販に取り組む日系企業へメッセージをお願いします。  
  松村...日系企業は良くも悪くも慎重ですが、スピードの速い中国では意思決定の早さがものをいうところがあります。この点は欧米系企業に学ぶべきです。  
しかし、中国と日本の違いをことさら強調するよりも、近似性が存在することに目をむけ、組織作りを行うのが良いでしょう。卑近な例では、「カラオケ好き」がありますね(笑)。
陸...今の時代、「市場」が商品の技術レベルを決めます。上海のリニアモーターカーがその例です。また、中国人は世界一が好きです。二級品は間違っても喜ばれない。世界同時発売で、最新の商品・サービスを投入する必要があります。  
中国人は日本人の驕りに敏感です。「中国より日本が優れている」という態度でマネジメントを行えば、間違いなく組織に歪みが生じることになります。(了)
 
     
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