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特集
新港台「華流」 FCビジネス 大解剖
 
  商業特許経営管理条例の施行(5月1日)を目前に控えた3月末、味千(中国)控股有限公司は香港で上場を果たし、今後フランチャイズ・チェーン(FC)展開を始動させることを発表した。一方、マクドナルドのFC店が年内にも4店登場することが明らかになり、直営店主導で事業展開していた同社の戦略転換ではないかとの憶測が一部メディアで伝えられている。
本特集では、中国のFCビジネスを牽引してきた新港台=iシンガポール、香港・台湾地区)系企業にスポットをあて、成長期を迎えた中国のFC市場の現状をレポートする。

 
 
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  サ-ビス  
  象王洗衣  
  全国四〇〇店強を運営する クリーニング業界のけん引役  
 
北はハルビン、南は昆明、西はウルムチまで全国25都市に400強のチェーン網を構築
「洗不掉找象王」(洗い落とせなかったら象王を探して)のキャッチコピーで知られる台湾象王洗衣連鎖。台湾地区出身の強みを生かし、全国へのチェーン網構築に成功している。今年は五○○店舗まで増やし、五年以内に倍増させる構えだ。
 
  業界の質の向上に貢献  
 
台湾象王洗衣国際集団の董事長・黄進能氏。
18歳で創業した。「まず環境。金儲けはその次。きれいな水源や地質を孫子の代まで伝えなければ」


台湾地区で生まれた台湾象王洗衣国際集団は一九九八年に大陸に進出。クリーニング業界のリーディングカンパニーとして店舗網拡張に努めるとともに、環境保護の思想を持ち込み、業界全体の質の向上に取り組んできた。
同社のルーツは董事長・黄進能氏が七九年、一八歳で設立した洗濯液の製造販売会社・台湾建台化工実業有限公司。黄氏は八二年には台湾象王洗衣器材有限公司を開き、クリーニング関連器材の生産を開始している。同社の象王印洗剤はその後、台湾の家庭でメジャーな商品となった。
九四年、大陸のクリーニング業界を視察した黄氏は、「国際水準から三〇年以上遅れている」と印象を持つ。個人経営の小規模店がほとんどで、ドライクリーニング溶剤に先進国では使われなくなった有害部質が含まれているケースも散見された。
後進的な現状を目の当たりにした黄氏は、大陸でクリーニング店経営に乗り出すことを決心。九八年に台湾象王洗衣連鎖の本部を上海に設立する。
 
  台湾地区出身の強みを発揮  
  「まず環境。金儲けはその次。きれいな水源や地質を孫子の代まで伝えなければ」と力説する黄氏。象王チェーンは中国大陸では唯一、環境ラベルISO14025タイプVの認証を受けたクリーニング・チェーンとなっている。
現在、北はハルビン、南は昆明、西はウルムチまで全国二五都市に四〇〇強のチェーン網を構築。上海が最多で、一〇〇店余りを構える。直営店とFC店の割合は二対八となっている。
「『クリーニング屋がどうしてこれだけ成功できるのか』と驚かれる」と笑顔の黄氏。黄氏は同社の優位性のひとつとして「台湾地区出身の優位性」を挙げる。「中国人のことは中国人が一番理解している。いくら先進国のノウハウを持ち込んでも国情への理解がなければダメ。例えば、日本人は信用を説くが、ここでは通用しない」(黄氏)。
 
  「有関係就没関係」、政府との関係重視  
  政府との良好な関係も同社の強みだ。
「有関係就没関係、没関係就有関係」(関係あれば問題なし、関係なければ問題あり)――黄氏は、大陸での政府との関係の重要性をこう表す。黄氏の名刺の裏には、一〇を数える協会や団体の肩書きが記されている。
二〇〇五年、北京に新会社を設けたのも、政府とのより密接な関係作りが主な目的だ。同社の開業式典には、中華全国工商業聯合会の孫暁華副主席など政府関係の大物が出席、黄氏の強力な人脈を証明した。
新会社設立後、政府の全面的なバックアップを受けてオープンした北京旗艦店は、店舗面積五〇〇平方メートル。北京市内最大規模となった。
競合のクリーニング・チェーンも台頭する中、同社はいまだ成長軌道を描いている。「上海本店では、毎月平均一〇数万元を売り上げている。優良店では一日約一〇〇〇着が持ち込まれ、洗濯作業は深夜まで及んでいる」(黄氏)とうれしい悲鳴だ。
石油価格高騰など不安材料もあるが、黄氏はクリーニング業の将来性に楽観的だ。「今年は五〇〇店舗にまで増やす目論見。この五年以内に店舗数を倍増させたい」と意欲を示している。
 
 
(DATA)
○カテゴリ:台湾地区系
○業態:クリーニング
○運営形態:直営+FC
○FCタイプ:従来型FC
○店舗数:400店舗強
○設立年:1998年
 
     
  靴之恋  
  靴クリーニングを展開全国に二〇〇店の店舗網  
 
「靴クリーニングのポテンシャルは非常に高い」
靴のクリーニング・サービスを展開し、クリーニング業界で異彩を放つのが香港灰姑娘国際洗衣連鎖店集団。二〇〇四年に大陸入りし、FC構築に乗り出した。今年は一〇〇店舗の加盟を目標にする。
 
  靴洗濯のビジネスモデルを確立  
 
上海碧潔投資管理有限公司の呂俊経理。
香港灰姑娘国際洗衣連鎖店集団は九〇年代、香港地区で英国皇族や外国来賓向けに靴磨きを展開していた鞋之恋皇家擦鞋服務有限公司より鞋之恋ブランドを買収、靴クリーニング事業に乗り出す。
その後、広範な層の顧客開拓を目指し、専用洗濯機による洗浄方式を採用、FCの管理モデルを確立する。二〇〇四年には、碧潔国際集団をパートナーに大陸へ参入。靴クリーニングの「香港鞋之恋皇家洗鞋」と衣料クリーニングの「香港灰姑娘健康洗衣」のダブルブランドを持ち込んだ。
現在、大陸では北京、大連、江蘇、広西、雲南など一〇を超える都市に、二〇〇店弱を運営。五〇店は香港鞋之恋皇家洗鞋の単独展開で、残りは香港灰姑娘健康洗衣と合せた出店形態を採る。
 
  ブランド認知向上が課題  
  上海には現在、直営一店舗、FC三店舗を出店。立地は金山や嘉定などの郊外だ。上海の運営を任される上海碧潔投資管理有限公司の呂俊経理は、「上海は土地が高い。FC五店舗を準備中だが、いずれも郊外。靴クリーニングへの認知度はまだ低く、早い時期に市内への出店を成功させ、ブランド認知を高めたい」と話す。
運動靴から革靴まで短靴はすべて三〇元と決して高価ではなく、顧客は月収二千元以上が対象となる。上海の店舗では現在、衣類八五%に対し、靴一五%で、同社ではこれを五割で分けるのを目標とする。呂氏は「靴クリーニングのポテンシャルは非常に高い」と自信を見せる。大陸全体では〇六年、四〇店がFCに加盟。今年は加盟スピードを上げ、一〇〇店のFC店を誕生させる目論見だ。
 
 
(DATA)
○カテゴリ:香港地区系
○業態:クリーニング
○運営形態:直営+FC
○FCタイプ:従来型FC
○店舗数:200店舗弱
○設立年:2004年
 
  千子蓮足道  
  グループで養成学校も運営 外資導入で海外進出にらむ  
 
上海の商業エリアにある店舗外観
「純国産」ブランドでありながら、徹底したQSCAへの取り組みが声価を高め、シンガポールからの投資を呼び込むことに成功し、構想も具体化しはじめた。
 
  ISOシリーズ取得  
 
中新(シンガポール)合資の上海千子蓮健康服務有限公司の董事長を務める王潔氏。日本での滞在経験もある
千子蓮足道の店舗数は全国に一六〇(上海の店舗数は八三)、従業員四〇〇〇名。チベット、東北部を除く各省地区で店舗展開している。
ISO9000シリーズ、そして環境ISOと呼ばれる14000シリーズ認証も取得、企業管理面での徹底した取り組みが同社のブランド力の基礎といえる。ひとたび店舗に足を踏み入れただけで、同社が志すQSCAの理念がすみずみに散見される。
たとえば足浴二〇分、マッサージ五五分といったサービス面の時間管理はむろんのこと、マッサージ師の身なり、タオルやマッサージオイル、スリッパ等備品類の使用についても仔細なマニュアル化を進める。その一方で従業員への福利待遇や労働条件についても細かい配慮を見せ、従業員の食事については専属のシェフを迎え、健康管理に役立てているという。
 
  学校も運営、「標準化」推進  
  厳格なサービス管理を可能とする背景には、グループが運営する人材養成学校の存在がある。マッサージ師のほとんどは河南省の出身者。彼女らは一カ月というトレーニング期間を経て、国家基準に達して初めて店舗に配属される。 なお、他店舗に所属していたマッサージ師も、いざ「千子蓮」のブランドを背負うからにはグループが「標準化」した技法でサービスを行うことが求められるという。
二〇一〇年、同ブランドにとって大きな節目となる可能性が高い。上海ではまず一〇〇店舗を目標。そして、大陸での勢力拡大とともに、日本、インドネシアへの進出構想を温める。人材をいかに派遣するかが最も大きな課題となるかも知れない。
 
 
(DATA)
○カテゴリ:合資企業(上海)
○業態:マッサージ
○運営形態:直営+FC
○店舗数:160
○設立年:2003年
 
  巴黎婚紗  
  「一対一服務」でブライダルフォト界の雄に  
 
旗艦店を置く淮海中路は中国でも屈指のブライダルフォト・エリア。台湾地区系のライバル企業が軒を並べる
九〇年代半ば、いち早く大陸入りした台湾地区のブライダルフォト企業が巴黎婚紗。競合がひしめく上海にあって、すでに四店舗を出店、業界で一目置かれる存在となっている。
 
  九六年にいち早く大陸入り  
 
上海巴黎婚紗撮影有限公司の礼服部デザイン総監・王雅玲氏。「この10年で上海で培ったノウハウにさらに磨きをかけたい」
中国では、昨年の戌年と今年の亥年は結婚に適した縁起の良い年とされ、結婚ラッシュが続いている。昨年は上海で約一五万組の夫婦が誕生した。このブームの恩恵をダイレクトに受けているのがブライダルフォト市場だ。
中国のブライダルフォト市場の約六割を占めるといわれる台湾地区系企業。一九八六年、台湾地区に誕生した巴黎婚紗は九六年に上海へ上海巴黎婚紗撮影有限公司を設けた。
上海巴黎婚紗撮影有限公司が旗艦店を置く淮海中路はライバル企業がひしめく、中国でも屈指のブライダルフォト・エリア。その中で、一組の顧客に専属のカメラマン、化粧師、休憩室を用意する「一対一服務」を実現した同社は、屈指の優良店として支持を集めている。
 
  国際市場参入が目標。今は基礎固め  
  上海巴黎婚紗撮影有限公司の礼服部デザイン総監・王雅玲氏は「ブライダルフォトは台湾地区で発展を遂げた業態。弊社はそこから優秀なカメラマンと化粧師を招聘している」と述べる。 同社は上海で四店舗を直営。この他、投資者を募り、別ブランドの「法頌」一店舗を開店している。他都市への進出、国際市場への参入を目標にするが、現在はビジネスモデルの基礎を固める時期と、多店舗展開へは慎重な姿勢を崩さない。「この一〇年で上海で培ったノウハウにさらに磨きをかけ、他社が追随できない地位を目指したい」と王氏は語っている。  
 
(DATA)
○カテゴリ:台湾地区系
○業態:ブライダルフォト
○運営形態:直営
○店舗数:4店舗
○設立年:1986年
 
  FC展開は苦手?緻密さ≠信条とするシンガポールの流儀  
  「新資」はFCに消極的?
FC展開の課題、それはQSCAをいかに実現するかというノウハウの確保にかかっている。本部の指導と業務の標準化を抜きにしてFC経営は語れない。
しかし、激しい人材流動にある中国の雇用環境ではその実現は困難を極めることがある。情報漏えいへの恐れなどから、業務マニュアルの整備に二の足を踏むフランチャイザーも少なくないと聞く。徹底したサービスの品質維持を望みFC化を断念するケースもまたあるに違いない。
とくにその傾向はシンガポール企業に強いのではないか――そんな仮説をもとに訪れた先が、上海・新天地界隈にあるリラクゼーションスポットLOTOSSPA=ihttp://www,lotosspa.com)である。
現在、LOTOSSPA=AそしてGreenMassage≠ニいう二つのブランドでSPA、マッサージパーラーを運営する劉青さんは大陸出身者である。しかし、企業母体はシンガポールとの合資という背景があり、店舗開設にあたってはシンガポール流儀の管理ノウハウが注ぎ込まれている。「シンガポール流のマネジメントは洗練され、とても緻密=vと劉さんは語る。
店舗が入居するサマセットグランド上海もまた、シンガポールに本部をおくサービスマンションの国際ブランド、アスコット・グループによる運営でよく知られている。したがって、LOTOSSPA%烽フ随所で感得できる高水準のサービスは、シンガポール標準≠フ域にあると見てもよいだろう。アロマテラピーとリフレクソロジーを一体化、西洋と東洋の調和、数々のヒーリング・メソッドの融合をコンセプトにした独特の内装も一見に値する。

持続的強さを持ち味
劉さんはかつてFC化を検討しながら、結局、直営店におけるサービスの品質向上のほうに経営資源の投下を置くことを選んだ。塗装に8カ月、施術師や按摩師の教育に半年から8カ月も費やすという力の入れようである。ブランドのFC化よりも、むしろサービス業を営む企業クライアントを対象とした顧問サービスの提供といった領域に新たなビジネスチャンスを見出そうとしているという。
ゴミのポイ捨てやチューインガムの販売にも厳格な罪として法の裁きを受けるなど、「FINE COUNTRY 」(罰則国家)と揶揄されることもあるシンガポール。そこで培われてきたビジネススタイルはルールに厳格、法律・規則にのっとるあまり港台と比べて出遅れがちとなり、規模的な発展が阻害されることも時としてあるだろう。しかし、中・長期的には顧客の信頼をかちとり持続的な強さを発揮する――「LOTOSSPA」の存在はそんな事例といえるだろう。
 
     
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