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特集
新港台「華流」 FCビジネス大解剖
 
  商業特許経営管理条例の施行(5月1日)を目前に控えた3月末、味千(中国)控股有限公司は香港で上場を果たし、今後フランチャイズ・チェーン(FC)展開を始動させることを発表した。一方、マクドナルドのFC店が年内にも4店登場することが明らかになり、直営店主導で事業展開していた同社の戦略転換ではないかとの憶測が一部メディアで伝えられている。
本特集では、中国のFCビジネスを牽引してきた新港台=iシンガポール、香港・台湾地区)系企業にスポットをあて、成長期を迎えた中国のFC市場の現状をレポートする。

 
 
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  味千やマックがFC展開加速法環境の整備が後ろ盾  
 
マクドナルドのFC店が年内に4店登場することが明らかに。同社の戦略転換ではとの憶測が一部メディアで伝えられる
「北京商報」は今年二月、マクドナルド中国法人の麦当労(中国)食品有限公司が年内にFC四店舗を開店することを報じた。同社は約八〇〇店舗を大陸で展開、そのうちFC店は天津の一店舗を数えるのみだった。大陸店舗総数一七〇〇というケンタッキーにかなり水を空けられたマクドナルドが、FC拡充によって追撃を図るという構図も見込まれる。
三月三〇日に香港証券取引所に上場した味千(中国)控股有限公司もFC重視の姿勢を明らかにした。同社は日本の重光産業によるラーメンチェーン「味千ラーメン」の中国地区におけるフランチャイズ権を一九九六年に取得、現在、一二〇店舗を有する。五年後に一〇〇〇店舗まで増やすことを目標とするが、その達成の鍵をFCの成否が握っているとみて間違いないだろう。
FC方式の経営はフランチャイザー(本部)にとって、比較的少ない資金で短期間に多店舗化、ブランド構築ができるところにメリットがある。フランチャイジー(加盟者)が自己資金を投じ開業するため、フランチャイザーが直営で出店する場合と比べて出店費用、店舗運営費を格段に抑えることができるからだ。
中国では、昨今の法環境の整備で、外資フランチャイザーにもFC拡大による多店舗展開の道が開かれた。一九九七年、商務部によって試行されていた「商業特許経営管理弁法」は二〇〇五年には正式に施行に移され、ここに外資系企業によるFC経営が解禁となったのである(※)。そして、今年二月に発布された「商業特許経営管理条例」はいよいよ五月より施行に移される。
※多店舗展開による弊害が生じることも見越し、関連法規として独占禁止法の審議が現在進行中である。
 
  二六〇〇の商標がひしめくFC市場 商標権問題など一部ではひずみも  
  商務部が四月に発表したデータによると、〇六年、中国のFCのブランド数は二六〇〇を上回り、加盟店は二〇万に上った。前年比でブランド総数は一三%、店舗数は一六%の伸長である。
ちなみに、ここでいうFCとは広義のFCである。中国ではフランチャイジーは「投資」のみで、「運営」「人材」はフランチャイザーが司っているケースが多い。こうした変則の中国型FCが、成長期ゆえの現象なのか、或いは今後も継続されていくのか注目に値する。
さらにデータを見ていくと、チェーン展開する企業でFCを手がけるのは全体の六九%。業種別でみると飲食業が九五%、サービス業が八三%、小売業は五九%を占める。三月に発表された中国チェーン企業百傑の四六社がフランチャイズ経営を展開しており、その売上規模は一〇二〇億元に達しているという。
順調に成長軌道を描いているように見える大陸のFCビジネスだが、ひずみもまた生じている。商標侵害問題はその最たるものであろう。「小肥羊」「避風塘」「上島珈琲」等々、メディアでも取り上げられた商標をめぐる紛争事例は枚挙に暇がない。今年一月、上海上島が二審で逆転勝訴、上島ブランドの使用継続を伝えた報道は記憶に新しい(訴訟相手だった杭州上島は現在「両岸珈琲」ブランドで展開)。永和豆漿も、永和大王(旧名:永和豆漿大王)と商標権を争った経緯をもつ。
そのほかニセモノ問題もある。二〇〇六年、山東省では六〇軒に及ぶ永和豆漿のニセモノ店が当局によって摘発されている。
フランチャイザーが経営の根幹に関わる問題ともいえるニセモノの横行に頭を抱える一方、フランチャイジーにとっては(フランチャイザーによる)加盟金の横領や詐欺行為に遭遇するなどの被害も絶えない。前述の商業特許経営管理条例は、FC経営をめぐるトラブル防止と市場の規範化を求める声を背景に登場した。
 
  牽引役担う新港台同胞支援する台湾連鎖協会  
 
台湾連鎖加盟促進協会の大陸拠点、「台湾連鎖加盟産業商務センター」


台湾連鎖加盟産業商務センター会長の王国安氏


中国のFCビジネスの牽引役を果たしてきたのが新港台、シンガポールや香港・台湾地区を出自とする企業だ。大陸と同じ中華文化圏に属し、言葉の壁を持たない新港台企業は、本国・地域で培ったFCや多店舗化のノウハウをそのまま大陸に持ち込みやすいという有利な立場にある。特に台胞企業間で密な連携を図りながら、大陸市場で独自の地位を築く台資系チェーンの勢力は、とりわけ飲食、サービス業で存在感が大きい。
ここで台湾連鎖加盟促進協会のことも触れておかねばならない。同協会は一二年前に台湾地区で設立。以来、参加企業約三〇〇、店舗数合計六万、従業員二万人を擁する組織にまで発展している。その大陸拠点、「台湾連鎖加盟産業商務センター」が上海の人民広場から車で一〇分ほど南下した盧湾区蒙自路にある。〇六年に設立、中国でチェーン展開する会員企業のサポートを主な機能としている。
「事業のコンサルティングから人材教育のサポート、会員企業の人的交流、情報提供から中央政府との関係づくりまで会員企業をサポートすることが役割」と説明するのは同センター会長で台湾連鎖加盟促進協会理事長である王国安氏だ。彼は自らも台湾で英語教育の学校を創業、そのFC経営の実践を両岸で行ってきた経歴をもつ。
同協会には外国企業の加入も認められる。王氏は「最近はマレーシア系企業との協業が盛ん。もちろん日系企業の加入も歓迎している」とアピールしている。
 
  中国での成功が世界への扉を開く 今年はFCビジネス飛躍年?  
  重光産業代表取締役社長の重光克昭氏は、かつて弊誌のインタビューに答え、こう語っている。「各国の華僑から味千ラーメンをチェーン展開したいと要望が入る。情報・トレンドの発信地として上海での成功は、世界に店舗展開する場合、重要な意味を持つ」
外資、国内ブランドがせめぎあいを続ける中国という厳しい市場で評価されることが、グローバル市場にとって必要なステップとなるというのだ。
例えば、元々台湾地区でチェーン展開していた一茶一坐は、上海に地盤を移し、近年になって大陸の主要都市に店舗網を拡充するや、昨年、海外初となる店舗を東京にオープンさせた。さらにアメリカ進出計画、「ナスダック上場」の準備もほのめかしている。
このほかにも大陸での成功をバネにグローバル展開を構想に入れる新港台企業は少なくない。その際、各国に広がる華僑ネットワークが大きな追い風になることはいうまでもない。
外資系企業にとりFC経営元年といわれた二○○五年から二年が経過した。〇七年はFCの飛躍年となるのではないだろうか。
 
  「商業特許経営管理条例」が5月より施行 大陸FC市場の健全化と発展ねらう
監修:里兆法律事務所
 
  市場の「規範化」を目指して
法律制度、市場の規範化という面では中国は未成熟で、FC経営をめぐって課題を指摘する声がこれまで多く存在した。最低賃金の基準に満たない違法雇用の問題や、FC展開する本部が主管の政府部門に登録していなかったことによるトラブル、また、ずさんな管理や財務上のほころびからの多数店舗の閉鎖など問題は数多く存在する。
たとえば、コンビニ業界だけを見ても、拙速主義の経営から500店舗近くを一気に閉鎖させた「21世紀」、進出当初から法的問題に直面、FC化を断念せざるを得なかった「ローソン」などの事例は記憶に新しい。
こうした背景を受けて、FC経営の健全な市場育成と発展を目指す国務院は、今年2月に「商業特許経営管理条例」を制定、5月1日から施行に踏み切る。
FC経営の条件として「開店1年以上、直営店2店舗以上の所有」を明示した「商業特許経営管理弁法」(商務部:05年2月施行)の上位規定というべきこの条例では、FC(特許経営)、フランチャイザー(特許人)、フランチャイジー(被特許人)といった定義が明確化され(3条)、フランチャイザーとなるための条件の明示(7条)や届出や契約の方法、罰則規定(8〜13条)などが定められている。
今後は、この条例、弁法、そして「外商投資商業領域管理弁法」という三つが法体系の骨格となり、そのほか「民法通則」、「合同法」、「商標法」などで補完しながら運用されていくことになる。

地方都市の「規範化」も課題
里兆法律事務所によれば、内陸部の中級都市におけるFC市場は未成熟で破産案件も多く、税収、保険、会計、広告、HR等々、既存のFCがカバーできない分野が存在することも多いという(同事務所・趙強弁護士)。今後、市場の規範性を欠いていると見られる都市、また業界ごとに措置が施されていくことが求められるという。
なお、上海における環境はほぼ完備に近く、05年5月にFC契約書のスタンダードを示す「特許経営合同示範本」も登場している(今後、修正予定)。
「中国で事業活動を行う外資企業であれ、走出去$ュ策のもと海外進出をはかる中国企業であれ、現地の法環境をよりよく理解すべく仔細な調査を心がけてほしい」――里兆法律事務所ではこのように啓蒙を行っている。
 
     
  FC展開で経営効率を上げ中国ーの゛快速便利餐庁゛へ
味千(中国)控股有限公司 潘慰行政総裁 
 
  ――設立から一〇年が過ぎました  
 
味千(中国)控股有限公司・潘慰行政総裁(中央)。
3月30日、香港証券取引所で



一九九六年の会社設立以来、日本式ラーメンと日本料理を提供する味千拉麺のチェーン展開を中国で進めてきました。現在、一二二店舗を運営しています。上海三二店舗、深一二店舗、北京八店舗、香港地区一九店舗、その他地域五一店舗となります。上海、深、北京、山東、それから香港地区には、食品製造加工センターも設けています。
中国割烹協会の会員企業の中では、店舗数が最大規模の日本式快速便利餐庁(ファーストフード・レストラン)です。二〇〇五年、中国レストラン百傑中、ファーストフード部門で営業成績は第五位でした。
 
  ――三月三〇日、香港証券取引所に上場を果たした。今後の展望は?  
 
味千拉麺・上海南京東路店。週末、午後4時近くになっても9割の席が埋まっている人気ぶりだ
中国の外食産業は成長軌道に乗っています。経済成長に伴い、中国人が外食する機会は増え、レストラン業、中でも快速便利餐庁は急スピードで発展を遂げ、〇五年は前年比一七・七%で伸びました。
我々は上場で得たチャンスを生かし、さらなる認知度アップを図り、多品種のメニューを開発、さらにチェーン網の拡大を図っていきます。多店舗化の目標ですが、二〇〇七年末までに少なくとも二〇〇店舗、〇八年末には三二〇店舗まで増やしたい。計画では上海、深、北京及び香港に三五の旗艦店、一七〇の標準型店舗、六二の小型店を出店します。これまですべて直営でしたが、今後は、経営効率とブランド認知を上げ、戦略的運営を行うための手段としてFCチェーン展開を選択します。
 計画では、今年年内に二、三級都市で一〇のFC店を出店、二〇〇八年にはFC四〇店舗を展開します。FCと直営で多店舗化を図りながら、将来的には中国一の快速便利餐庁を目指します。
 
  行列のできる味千のヒミツ 
  週末の上海南京東路。味千拉麺には11時頃から客が入り始める。すぐに満席となり、行列待ち。その後も来店客は途切れず、午後4時近くになっても9割の席が埋まっている――こんな人気ぶりを示す味千拉麺の成功の秘密はいったいどこに?
中国味千グループにFC本部構築コンサルティングを提供する凌空行(上海)企業経営有限公司副董事長兼総経理の谷公爾氏は、FC本部の重光産業の放任主義≠挙げる。「文化の違う中国で、同社は軽率な干渉をしない。パートナー(味千(中国)控股有限公司)を信頼し、彼らの主体性を最大限に引き出したのが成功に繋がった」と指摘。「中国人は中国人が一番知っている」、ここでも現地化≠フ重要性が垣間見られる。
また、谷氏は進出企業が中国で成功するには「(パートナーを探す際)信頼にたる相手(企業)を見つけ、コンセンサスをしっかりとることが大事」と話している。
 
     
  外食  
  一茶一坐  
  新しい茶文化の伝道師上海発のグローバル企業へ  
 
2002年7月にオープンした大陸一号店の上海新天地店
台湾地区生まれの一茶一坐は、茶という伝統文化をコアにした新鮮な提案で消費者の支持を集める。その人気は日本にまで飛び火、昨年海外一号店が東京渋谷にオープンした。米国進出ナスダック上場を表明した今後、上海発のグローバル企業を目指していく。
 
  茶をコアにした新提案、白領族”に受ける  
  中国の伝統文化である茶に、スローライフという新しい概念をミックスさせた新鮮な提案を行い人気のレストランが一茶一坐だ。
一茶一坐は一九九一年、台湾地区でクラシックな茶芸館として生まれ、九九年、台湾地区の大手食品会社・旺旺と合資で大陸進出、上海一茶一坐餐飲有限公司を設立した。
一茶一坐はその後、大陸で茶芸館とは一線を画す業態へ面貌を変える。ガラス製の急須と茶のみを用いた気軽に楽しむ中国茶、バオ(小型土鍋)を中心とした豊富な食事メニュー、食器から店舗まで華洋折衷の瀟洒なデザインを採用、スローライフを訴えるメディアミックスでのPR…。こうした新しい提案が白領(ホワイトカラー)族に受け、オフィス街では定番の人気レストランとなった。
二〇〇五年には、台湾一茶一坐から「一茶一坐」ブランドを買い取り、同社は米国、香港・台湾地区、中国大陸の企業が出資する新しい企業へ生まれ変わっている。
 
  今年、七〇店舗の出店ラッシュをかける  
 
1966年、台北生まれの林盛智総経理。中国人の父と日本人の母を持つ。海外一号店が日本になったのも偶然ではない。「幼少の頃は料理好きの母について台所に入り浸った。外食産業に進んだのも母の影響が強い」
大陸では現在、四三店舗を展開(三月末時点)。上海と杭州を中心に、蘇州、南京、寧波、北京、深に出店している。店舗の運営方式は、三五店舗が直営、八店舗がFCだ。上海一茶一坐餐飲有限公司の林盛智総経理は、「今年は天津、大連、青島、武漢、広州など九都市を加え、七〇店舗を出店させる」と話す。多店舗展開で畳み掛ける今後も直営重視の姿勢は変わらない。直営とFCの比率は三対一を維持していく。
同社のFCは直営型FC。フランチャイジーは投資だけ(財産権のみ帰属)で、経営は同社が司る。「コンビニや喫茶店、ファーストフード店と違い、運営が複雑な一茶一坐はフランチャイジーに経営まで任せられない」(林氏)というのが背景にある考えだ。同社がフランチャイジーに求めるのは、条件のいい土地の所有。「特に上海では、レストラン出店の成否は土地ありき。投資回収は開店から平均で三〇カ月だが、好立地で出店したお店は九カ月のスピード回収を達成した」と林氏は打ち明ける。
 
  アメリカ進出ナスダック上場を表明  
  昨年九月、一茶一坐が東京・渋谷ロフトにオープンした。日本のタスメイトが地区代理権を取得し開店したもので、一茶一坐海外一号店となった。タスメイトは「今後も直営店、FC店など幅広く展開していく」と表明している。三カ月おきに出張し、同店を訪れる林氏は「立地条件は申し分ない。スタッフ教育などまだ満足いくものでないが、まずまずの滑り出し。外食産業が突出して発展する日本でのノウハウを中国の一茶一坐に吸収していくつもり」と語る。
上海一茶一坐餐飲有限公司は今年に入り、米国進出とナスダックへの上場計画を明らかにしている。米国一号店は、今年末か来年年初にはオープンする見込みだ。上場にナスダックを選ぶ理由を、林氏は「弊社はマクドナルドやスターバックス、P・Fチャンなど、グローバルで成功する外食チェーンを志向している。こうした企業の上場経験が豊富なナスダックが最適だ」と説明する。
上海発のグローバル企業を目指す一茶一坐。昨年の売上げは約二億元で、今年は三億元を目標にする。ナスダック上場には六億元の売上げが必要といわれ、二、三年後の上場を目指す同社は今後も出店スピードを緩めない。毎年五〇から六〇店舗を出店し、同時に海外展開も進め、一〇数年後には中国大陸に一〇〇〇店舗に及ぶチェーン網を築いていく構えだ。
 
 
(DATA)
○カテゴリ:台湾地区系
○業態:レストラン
○運営形態:直営+FC
○FCタイプ:中国型FC
○店舗数:43店舗
○設立年:1991年
 
     
  真鍋珈琲  
  「日本標準」追求する業界の老舗加盟店教育の体制強化を推進  
 
上海にある真鍋大廈にある店
「喫茶店」の概念を大陸に普及、同業界では老舗格と目される真鍋コーヒー。日本からライセンスを取得した台資企業によって着実なチェーン展開が進められている。「日本標準」のサービスをモットーに、加盟店管理体制も強化、数年内に香港上場を狙う。
 
  都市によって様相が異なる喫茶事情  
 
軍人出身という張振徳総経理。上海コーヒー協会副会長も務める
「喫茶店に来る顧客というのは明らかな目的知識をもってくるとはいえない。『領居性消費』に近いものがある」――こう語るのは真鍋コーヒー・中国チェーン本部の張振徳総経理だ。
たとえば、ホワイトカラーを顧客対象にするといっても、純粋なオフィスエリアに店舗を構えれば休日には店舗内は閑古鳥が鳴くこととなる。「立地選択には周辺エリアの環境にも配慮する必要がある」(張総経理)
したがって、新規に加盟を希望する店舗があれば、張総経理は外地であっても自ら出向き、自らの目で立地条件を確かめる。「人の流動の多いスポットが広いエリアに点在する北京では少々苦労を伴う」(張総経理)という。店舗立地へのこだわりは、真鍋の増店スピードを、やや制御するように働いているといえる。
 
  喫茶業界の老舗  
  もっとも、爆発的な増店スピードはないとはいえ、一九九八年に上海で第一店舗をオープン、以来、大陸における喫茶店業界をリードしてきた同ブランドの存在感は大きい。上海コーヒー協会のオフィスも同本部ビルにあり、張総経理は副会長を務めている。 店舗内のサービスの質も、他同業チェーンと比べると一日の長がある。「(同業者との)競争力の核心となるのはメニュー」と語る張総経理は、従来の七〇アイテムのメニューを一〇〇アイテムに増加、価格帯についても二〇元から一〇〇元と幅広く設定するなど消費者のニーズに応えている。
また、顧客来店時の「いらっしゃいませ」という服務員の挨拶――この日本語を大陸都市部の消費者に認知させたのは「真鍋」の貢献によるところが大きいのではないか。
独自の教育プログラムを編纂し、本部ビルにあるトレーニングルームで研修を実施。業務マニュアルも用意し、QSCAの確保に力を注ぐ。新規加盟店の関係者は、(たとえ上海以外の都市での開業であっても)本部での研修受講を義務つけているという。 もともと「喫茶店」というコンセプトは「軽食レストラン」とは一線を画すはずだ。真鍋で提供される食事メニューは、本部が有するセントラルキッチンで調理され、急速冷凍された後に店舗へ運ばれる。運送にあたっても零下二〇度の状態が保たれているという。
店舗でキッチンを備えるのは「喫茶」ブランドとしてのQSCAの確保上、不利であるという判断がそこにはある。たとえば、食用油の再使用、低品質の食材の流入等々、管理上のさまざまなリスクを張総経理は指摘する。
食事メニューのアイテム数を増やしつつも、注力するのは「喫茶」の充実にある。各店舗で提供される「ブルーマウンテンNo・1」と称されるコーヒーは、正真正銘の輸入高級コーヒー豆を使用、「品質」の高さには定評がある一方、コーヒー以外の健康飲料、たとえば低カロリー飲料「羅漢果」もヒット商品となっている。
 
  ちょっとした小道具  
  なお、メニュー管理とともに、従業員のサービス水準を高めるための配慮と思われるちょっとした仕掛けが、テーブル上の小道具に見られることも指摘しておきたい。
それはウェイトレスの呼び鈴プレートである。「お冷や」「支払い」「注文」というように顧客の目的に応じてボタンを設けることで、呼び出されたウェイトレスは即時に顧客ニーズに対応できる仕組みになっている。台湾エリアでも使っていたというこの小道具、大陸でも効果は抜群だという。
人材の引き抜き、他店舗からの商標侵害(北京)等、さまざまなハードルを乗り越えながら、張総経理は「真鍋」ブランドの大陸全土への普及に意欲を見せる。「三年中の香港上場が目標」という張総経理。日本人顧客には「日本水準を追求したブランド」であることのアピールを繰り返す。
(取材・藤原琳香)
 
 
(DATA)
○カテゴリ:台湾地区系
○業態:喫茶店
○運営形態:直営+FC
○FCタイプ:従来型FC
○店舗数:130店舗
○設立年:1997年
 
  永和豆漿  
  豆漿を全世界の華人に華北からチェーン網固める  
 
兄弟で会社経営する。「世界の華人に我々の豆乳を飲んで欲しい。アジア人には牛乳よりも豆乳が体質的に合っている」
豆漿(豆乳)をコアにした中華風ファーストフード店・永和豆漿は、華北を中心に全国に二五〇店舗を展開。将来は華人ネットワークを生かし、米国やカナダにも進出する計画だ。
 
  豆漿広めるためにレストラン経営  
 
上海弘奇永和食品発展股有限公司の総経理・林建雄氏。
豆漿(豆乳)をメニューの軸にした中華風ファーストフード店・永和豆漿。これを運営する台湾弘奇食品有限公司は、中国の伝統的健康食品・豆乳に惚れ込んだ林炳生董事長が、一九八五年に台湾地区で設立した。当初は豆乳のみ生産し、学校やレストラン、パン屋などに卸していたが、一般消費者向けの商品開発にも着手し、業態を拡大。九五年からは豆乳の海外輸出もスタートした。
広大な大陸で自社の豆乳をいかに普及させるか――アイディアを絞った同社は、豆乳の名を冠したレストラン・永和豆漿をチェーン展開することを決断、九九年に大陸進出を果たす。林炳生董事長の弟で上海弘奇永和食品発展股有限公司の総経理・林建雄氏は、「特に大豆を食す習慣のある華北で多店舗化に成功している。現在、大陸全土に二五〇店舗強を開店している」と話す。
 
  偽永和豆漿が出現。法的処置で対応  
  永和豆漿がこれまで最も頭を痛めてきた問題がニセモノだ。知名度が高まるのに比例し、永和豆漿の名前を騙った偽店が出現。商標権への意識が低い地方で被害が大きくなっている。二〇〇六年、同社の通用により山東省では当局が六〇軒の偽永和豆漿を摘発している。
「世界の華人に我々の豆乳を飲んで欲しい」というのが林兄弟の夢。すでにタイへFC一店舗を出店している。将来的には、華僑が多いアメリカやカナダ、シンガポール、それから日本への進出を狙っている。
 
 
(DATA)
○カテゴリ:台湾地区系
○業態:レストラン
○運営形態:直営+FC
○FCタイプ:従来型FC
○店舗数:250店舗強
○設立年:1995年
 
  新・港・台フランチャイズ企業年表
※店名は一号店開店年
 
 
 
 
     
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