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特集
上海軌道交通進化論
商機は郊外? 地鉄CBD?
07年、一挙に3路線が運行
新ジャンクション駅では再開発
年内に3路線(6、8、9号線)が試運転を予定する上海軌道交通。新たに形成されるジャンクション駅(2路線以上が乗り入れる駅)周辺では、再開発が進む。
 
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  デベロッパーの視点(宝山新城、大寧国際商業広場)  
  宝山新城
軌道交通の延伸で
郊外に目を向けるデベロッパー
 
 
上海中遠物業管理発展有限公司の張激励氏
不動産デベロッパーにとって軌道交通の発展は重要な意味を持つ。中遠両湾城を開発する上海中遠物業管理発展有限公司は、昨年、北に延伸した三号線側に、中国最大≠フ総合型団地を建設中だ。
 
  上海最大の団地が誕生  
  上海普陀区の蘇州河沿いには、一九一〇年代から三〇年代にかけ、日系企業の紡績工場が林立していた。これらの工場は、抗日運動が全国に広まるきっかけとなった五・三〇運動(一九二五年)の舞台として、歴史に名を残している。新中国建設後は、庶民がひっそりと暮らす下町として都市開発から取り残されてきたが、二〇〇〇年、再開発プロジェクトがスタート、再び人々の注目を集めることとなった。
同プロジェクトは、敷地面積一七〇万平方メートルの上海最大の団地・中遠両湾城建設プロジェクトで、昨年、第四期が終了。現在は、商業施設を中心とする第五期(最終)がスタートしている。プロジェクトを主導するは、不動産デベロッパー中国最大手のひとつ・上海中遠物業管理発展有限公司。同社は、中国最大の船積会社・中遠集団(COSCO)のグループ会社で、グレーター上海の開発をメインにし、最近は西部大開発にまで着手している。  
中遠両湾城プロジェクトがスタートすると、周辺には新住民を当て込んで、ショッピングモールなどの商業施設が建設された。昨年には、アトリエやギャラリーが集うM50が誕生、アートという新しい顔も加わっている。  
軌道交通に目を向けると、中遠両湾城の側には三、四号線が走る中潭路駅がある。また、隣の鎮坪路駅には二〇〇九年に七号線が乗り入れ、三路線が交わるジャンクション駅が誕生する。中遠両湾城周辺は、まだまだ発展の余地を残している。
 
  ホームタウンの開発進む  
 
敷地面積170万平方メートルの中遠両湾城
現在、上海中遠物業管理発展有限公司が手がけるビッグプロジェクトが宝山新城である。完成すれば、中遠両湾城を大幅に上回る三四七万平方メートルに、マンション、オフィス、商業施設が同居する中国最大の総合型団地が誕生する。同社の張激励・運営販売企画総監高級物業経理は、「すでに一四・七万平方メートルを開発した。プロジェクト完了は、五、六年先になる見込みだ」と話す。  
宝山新城は、軌道交通の発展がなければ成立しなかったプロジェクトである。「宝山新城は、一号線と昨年江湾鎮駅から北に延伸した三号線に東西を挟まれるように位置し、両路線と距離は僅か一・五キロ程度。市内までのアクセスの良さが売りだ」(張氏)。  
中国最大≠フ総合型団地・宝山新城プロジェクトが進行中。近隣には、1号線と3号線が走る
上海の不動産価格は、特にここ三年、異常な高騰を見せた。土地の値上がりは、不動産デベロッパーに大きなコスト負担として圧し掛かっている。また、市内には未開発地がほとんど残っていない背景もあり、デベロッパーは軌道交通が現在走る、または将来開通予定の郊外に目を向けている。  
現在、宝山新城をはじめ、五号線が走る庄、今年、九号線第一期(松江新城駅〜宜山路駅)が開通予定の松江、二〇一〇年までに一一号線が開通する嘉定区などの郊外で、ホームタウンの建設が急ピッチで進行中である。
 
  大寧国際商業広場
「One Stop Shopping」を標榜
近辺住民の囲い込みねらう
 
 
崇邦集団の梁美芬氏
かつて「下只角」といわれ、華やかな都会のトレンドとはとかく縁のなかった北区中部、南北高架の延長路インターにほど近いエリアに大規模商業施設が昨年夏に登場した。「大寧国際商業広場(LifeHub@Daning)」である。
 
  「ワンストップ」を標榜する空間  
  敷地面積五・五万平米、建築面積二五万平米からなる多機能総合商業施設「大寧国際商業広場(LifeHub@Daning)」がオープンするまでに要した期間はわずか二年。「上海北エリアの新天地」との異名をもつ同スポットでは、アートフェスティバルほかさまざまなイベントが頻繁に開催、敷地内にあるシェラトンホテルも正式オープンを三月に控えるなど、話題は尽きない。  
「Live(生活)Work(ビジネス)Play(エンターテイメント)」を一体化させた、ノンストップのショッピング・消費がコンセプトです」と説明するのは同商業施設を開発した崇邦集団の副総裁、梁美芬氏だ。  
大小の広場が一一、テナントビルが一五棟、そして二キロに及ぶプロムナード。天井が閉ざされたビルに機能を詰め込むのではなく、散歩を楽しみながら飲食、娯楽、ショッピング、カルチャー等を享受できる「開放式」施設が同スポットの特長であるとしている。最新鋭の設備を備えた映画館、日本のカラオケや美容院、SPA、児童向けスペース、スポーツ用品のブランド店……現在のテナント入居率は八五%、五月の連休にはフル稼動が見込まれる。  
÷ ターゲットとする消費層は若年層、そして(比較的世代の若い)家族連れ。周辺域に存在する二二万という居住者の囲い込みをねらい、現在、利用会員の募集をポータルサイト( http://www.daningdaning.com/)等を通じて進めているという。  
「子ども連れで足を運べる場所は限られています。南京路等、市中心部の繁華街も利便性が高いといえません。一家族がまる一日の時間を過ごせるような多くの機能をこの空間で実現しました。多事多端な生活を送る現代人にふさわしいライフスタイルを提案しているのです」(梁副総裁)
 
  軌道交通のアクセスより駐車場が売り  
 
週末にはさまざまな催しが開かれる。「一大コミュニティー」の創設を目指す(写真:崇邦集団提供)
この巨大施設が上海北部に誕生した背景には、軌道交通が果たした役割が無視できない。昨年末の二号線の「西延」より遡ること二年、〇四年一二月にそれまでは上海駅どまりだった一号線はぐっと北へと延伸、共富新村にまで達した。人民広場からわずか五駅、「延長路」下車数分というロケーション面でのメリットは大きい。  
しかし、軌道交通は「支持層を得る必要条件であるにすぎない」(梁氏)。その典型的な例は、一、三、四号線が乗り入れ、一大ターミナル駅となっている上海駅を例にとればわかる。そこでは人の流動こそ多くとも、主たるは外地から流入した層だ。地元の居住者を対象とした消費を喚起するうえでは不向きなエリアといえる。九〇年代、同地に進出、結局、数年経たずして撤退していったジャスコの例もある。  
 
企画、設計にあたっては横浜、神戸といったセカンドシティーの商業施設を丹念に調査したという
また、こんな見方もある。軌道交通の発展によって他地域の客を引き込むことができる一方で、「走出去」を選ぶ消費群の存在もでてくるのではないかと。  
しかし、懸念は不要だ。繁忙な日常からの避難、「住まいに近接した消費」を望むライフスタイルを追求する現代人のニーズをしかと受け止めるだけのキャパシティーを、「大寧国際」は十分に備えているといえる。  
一三〇〇台の収容力をもつ停車場も強みだ。マイカー族の支持層を広げる一方、近接する上海馬劇城や浦西最大級の公園、大寧霊石公園への訪問客の取り込みも視野に入れる。その潜在顧客には外国人士が含まれることはいうまでもない。
 
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