| 上海軌道交通進化論 商機は郊外? 地鉄CBD? 07年、一挙に3路線が運行 新ジャンクション駅では再開発 年内に3路線(6、8、9号線)が試運転を予定する上海軌道交通。新たに形成されるジャンクション駅(2路線以上が乗り入れる駅)周辺では、再開発が進む。 |
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| 急ピッチで拡大が進む上海軌道交通。現在は五路線だが、上海万博が開催される二〇一〇年には一一路線、一二年には一三路線が開通する予定だ(現在の計画では、最終的に一七路線を開通させるという)。不動産デベロッパーほか関連企業は、上海軌道交通拡大によって創出するジャンクション駅と郊外に新たな商機を見出そうとしている。 (編集部) ![]() |
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| 中国九都市で軌道交通が建設 | |||||
| 「鉄道は交通の母」。こう説いたのは孫文である。建国当時、孫文は、将来的に一六万キロにおよぶ鉄路網を張り巡らす構想を抱いていたという。
中国では現在、九都市で地下鉄とライトレール(※軽軌)からなる軌道交通の建設が進められている。すでに四〇〇〇億元が投じられ、「十一五」期間中には六〇〇〇億元の規模に達するという。 上海に軌道交通が登場したのは、一九九三年のことだ。基幹路線である一号線の一部が開通した。この建設で五二億元が投じられ、市政府は外貨(八億米ドル)を導入、設備や技術を購入している。 現在、上海には一、二、三、四、五号線が走る。一日あたりの軌道交通利用者は一八〇万人、交通全体の一二%を占めるといわれる。これが二〇一〇年には、五八〇万人、三五%となる見込みだ。この時点で路線数は一一路線(二〇一二年には一三路線)が運行しているというのが現在描かれている青写真だ。 (※)俗にライトレールと訳される軽軌の定義は輸送客数にある。ラッシュアワー時の単方向における輸送量が一万以上三万未満を軽軌、三万から八万を地鉄、八万を超えるものを鉄道と称し、それぞれの路線は前者からLMRという表記が用いられている。
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| 上海軌道交通を支える外国技術 | |||||
車両はドイツとフランスからのノックダウン方式で製造。信号など交通システムはドイツ製。車両が走るトンネルはドイツと日本の技術が用いられている。 建設工事においては、地下鉄トンネルの掘削用のシールドマシーンとして、ドイツのヘレンクニヒト、日本の石川島播磨重工業、コマツ、三菱重工のものが採用。施工は現地企業とのジョイントベンチャーのかたちをとり、大豊建設、大林組、前田建設などの日系ゼネコンも参加している。 近年は、こうした外国技術への依存からの脱皮を図る動きも顕著になってきた。二号線の中山公園以西への延伸工事には、中国産としては第一号機となるシールドマシーンが使用されている。 車両の国産化も研究が進む。同済大学と上海電気集団軌道交通設備発展有限公司が共同で開発を進めており、順調に行けば年内にも完成し、一〇号線に投入される予定だ。 | |||||
| 衛星タウンとのハブ機能 | |||||
しかし、同済大学教授の孫章氏はこれに異論を唱え、次のような説明を加えている。 「東京の都市近郊鉄道の総距離は一八四六・一キロ。営団・都営地下鉄の路線距離二七六・二キロを加えると二〇〇〇キロを優に超える軌道交通のネットワークが構築されている。都市交通全体を見渡したとき、上海の軌道交通はまだまだ発展途上の段階にあることがわかる」(孫氏) 孫氏が重視するのは、都市計画のなかでの軌道交通の位置づけである。これまでは、軌道交通の発達が市中心から放射線状に広がるかたちで都市の規模膨張を促していくことを想定していたが、今後は、市中心部と郊外とを結ぶハブの役目を果たすことで、衛星タウン――たとえば松江や嘉定、宝山といったエリア――の発展をもたらしていく効果が期待できるという。 なお、孫氏は、自らが編集長を務める雑誌『城市軌道交通研究』にて軌道交通に関する様々な課題や論評を掲載、鉄道部が管轄する鉄道と建設部が関わる軌道交通がより整合性をもったかたちで国家発展に寄与すべく架け橋役を演じている。 |
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| 路線延伸とジャンクションの創出 | |||||
| 不動産雑誌『房訊―上海楼市』の発行人、蔡為民氏は〇六年に続いて〇七年を上海の軌道交通発展にとって大きな意義を持つ年となると評している。 〇五年末、四号線が開通。Cの字を描くように伸びる路線は、やがて東京の山手線、あるいは大江戸線に相当する都市内環状線として機能することとなる。また、二号線の中山公園以西への延伸(昨年末)は、虹橋国際空港ターミナル建設プロジェクト前進に向けた大きな布石となった。そして今年は、六号線と八号線、九号線の第一期工事が完成する見込みだ。 従来、単線ごとに存在していた軌道交通は、網の目のごとく都市を張り巡らし、今後、多数のジャンクション駅を創生していく。その数は二路線の交差駅で五八駅、三路線以上の交差駅も一一駅にのぼるという(二〇一〇年時点の予想)。この軌道交通の整備がもたらす経済効果について、前述の蔡氏は「地鉄CBD」の創生という言葉で説明する。 住宅しかり商業施設しかり、地価高騰、土地不足から開発対象を郊外へと向けていたデベロッパーにとっても、この概念はひとつのガイドラインとして機能する可能性を秘めている。 折しも、大手デベロッパーの上海中遠物業管理発展有限公司(二四頁に関連記事)は宝山新城の開発に着手している。昨年の三号線延伸がもたらしたプロジェクトともみなせよう。 また、一号線の北への延伸でアクセスが容易になった北区中部には、昨年「大寧国際商業広場」がオープンした。開発を担ったのはシンガポール・香港資本のデベロッパー、崇邦集団。ジャンクション駅である上海駅と「付かず離れず」のロケーションを選んだことが吉と出るか、それとも試練を経験することとなるのか、業界関係者らの注目を集めている。 公共交通の利用に配慮した都市開発をTOD(Transit Oriented Development)と呼ぶ。上海にとってその主役は軌道交通であるということは明白だ。そして画竜点睛を欠くもの――それはOの字を形づくらず、「半環状化」状態にある四号線の完成であるといえる。 |
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| 軌道交通の最新情報を知るならこれ! 『城市軌道交通研究』と『地鉄房訊網』 |
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「軌道交通」情報の水先案内役を担うのが『城市軌道交通研究』なら、『地鉄房訊網』(http://www.m-house.com.cn/)は軌道交通の整備から生まれるビジネスチャンスをいち早く想定し、これを不動産情報の専門サイトとして公開したところに特徴がある。幾多の不動産物件が軌道交通網との関連のなかで詳しく解説がされ、たとえば、地下鉄駅からの時間距離(徒歩)によって物件を「正地鉄網」「准地鉄網」「近地鉄網」というランクに分ける試みがされている。不動産仲介業者の協賛を募り、物件情報を発信する一大モールに仕立てようというねらいが読み取れる。 同サイトを開設した蔡為民氏(『房訊―上海楼市』発行人)は、軌道交通の整備が及ぼす影響は、居住民の「時間コスト」の低減のみならず、日常生活・ビジネスに深く及ぶとし、これを「地鉄CBD」の創生というコンセプトで表現する。03年の事故で「完成」(環状化)が遅れた4号線を、現在の「内環」高架にとって変わる大きな交通動脈と位置づけ、東西、南北に走る他路線と交差する「ジャンクション駅」には特に大きなビジネスチャンスが期待できるとしている。 なお、同サイトが対象とするのは目下、上海のみだが、将来的には台北、香港を含む中国主要都市にまで拡大する意向だという。 |
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