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  小売 コンビニ
量から質へ、迎える転換期 利益創出に向け事業体制強化へ 
上海福満家便利有限公司総経理 薛東都氏
・業界に進むインフラ整備
・M&A など市場再編の可能性も
 
 
薛東都氏
可処分所得の増加と高まる消費熱を背景に、中国における小売りの業態は細分化、多様化している。その中で消費社会の象徴ともいえるコンビニエンスストア業態はここ数年で都市部の小売り市場に定着している。従来、出店舗数の拡大を進めてきたコンビニ業界では、中国、中でも上海における市場の発展、消費者の購買ニーズの変化に合わせるように新たな段階に進みつつある。
(聞き手・編集部)
 
  都市部集約で上海市場は競争過多  
 
中国、中でも上海のコンビニ市場は大きな転換期を迎えつつある。店舗数の拡大を推し進めてきた量から、実際のオペレーションやインフラ構築などバックヤードを含めた事業の質の強化への転換が急務になっているからだ。
二〇〇〇年前後から急増し始めたコンビニは二〇〇四年をピークに各社とも出店攻勢が続いた。中には無理やり規模の拡大を進めた企業もあり、「二一世紀」「先施地利」のように店舗の閉鎖や事業の撤退を余儀なくされた店舗もある。
「二一世紀」は一年で五〇〇店以上を展開したが店舗数が多くとも消費者の購買力が追いつかなかったこと、出店ロケーションや店舗の品質管理の悪さが原因で経営不振に陥った。現在、コンビニの大半が上海中心部に高い密度でひしめいている。そういった競合の厳しさも事業展開の難しさに繋がっている。
現状では当社を含めて利益を出している企業はないだろう。上海では二〇〇四年から二〇〇五年にかけて五〇〇〇を超える店舗が乱立するなど明らかに飽和状態になっていた。また、消費者の購買力が伴わないままに、GDPの増加幅以上に出店が相次いだ。
例えば、この二〇〇三年から二〇〇六年にかけて顧客数ということでは確実に来店者数は増加しており、コンビニという業態は浸透しつつあるといえる。当社では、一日あたりの来店者数は六〇〇人から一〇〇〇人に、深夜の利用も八〇人から一二〇人に増加している。しかし、客単価はほぼ横ばいで、当社だけでなく、コンビニ業界にとっても客単価の向上はひとつの課題になっている状況だ。
また、上海の消費者は価格に非常に敏感で利益を生むための価格施策、商品開発も同様に重要な課題になっている。ファミリーマートが一九八八年に台湾地区に進出した際には、ハイパーマートや量販店がほぼ同時期に参入したことで価格に対するインパクトはそれほどなかった。しかし、上海ではコンビニより先に、ハイパーマートや量販店が進出していたためだ。
現状で、利益創出の難しさはあるが、先々のGDP成長につれて、売り上げや利益のベースは緩やかに上がっていく見通しにある。さらに、事業展開の質の向上や商品戦略を進めれば、成長性が高く十分な利益を出せるビジネスに育てていけるだろう。このような状況の中でコンビニ各社は量から質への転換を迫られているといえる。
 
  事業の質強化へ物流センターの構築など  
 
当社はこの一年、事業の質を強化するために、物流センターの稼動、スタッフの教育、商品開発の強化を進めてきた。
九月に自社物流センターをオープンした。これにより、従来は一日一便だったのが三便まで増え、店舗における商品の到着時間が確実になり、欠品が大幅に減少した。特に低温商品の店着時間(店頭に届くまでの目標達成時間)は三〇%から九八%に改善したし、ピッキングの効率化も図れている。
また、今年に入りすぐ「SST」というスタッフ教育を導入した。これは日本でのやり方を参考にしたもので、店長以下スタッフ、アルバイトまでオペレーションの効率化、営業力の底上げを図るものだ。今後も引き続き実施し、人材教育の仕組みを循環できるようにしたい。
さらに、商品開発の強化も進めており、特に商品構成におけるプライベートブランド(PB)の比率を二一%から三〇%にまで高めたほか、商品構成の改編や強化を進めた。惣菜など中食やパンなどの売れ筋の商品については付加価値を付けて質を上げた。
例えば、今までは弁当の平均販売単価は七・三元だったが、最近発売した新商品の鳥もも肉の弁当「スーパー鶏腿王」は、中身を充実させて一〇・八元と単価を上げたが、好調に売れている。こうして戦略的に質の改善と単価の底上げを進めることで客単価の向上も進めてきた。
当社のこうした取り組みは、コンビニ業界にとっても避けることのできない改善点だといえる。他社でも、「可的」が物流センターを構築したり、内装を変えているほか、「快客」が看板を変えるなど質の改善に向けた様々な取り組みを進めている。
 
  変化する消費者ニーズへの対応が重要  
 
ファミリーマートが9月にオープンした自社物流センターの内部
今後、コンビニ業界は全体的な傾向として、さらに質への転換が迫られることになるだろう。消費者のニーズは多様化しており、そのニーズの変化に対応しながら事業展開を進めることが重要になっていくからだ。
当社としてもこの二〇〇三年から二〇〇六年までを事業の基礎作りの時期と位置づけており、インフラ構築や事業展開のための仕組みを形作ってきた。今後は華東地域での事業拡大を進めていく方針だ。
来年以降の市場予測としては、各コンビニ事業社は店舗数の拡大を進めるのではなく、より店舗単体の品質向上や利益確保を進める方向にシフトしていくだろう。同時に、事業の効率化やインフラ整備といったベースの部分の強化も進めることになると思う。
次に挙げられるのが、上海のコンビニ市場では会社合併などM&Aも出てくる可能性があるということだ。コンビニ市場が形成されつつあるとはいえ、ほとんどの事業者はいまだ利益を出せずに苦しんでいる状況だ。店舗の整理やロケーションの見直しなど統廃合も進められることになるだろう。
一方で、FC店舗の開拓も進められていくことになる。現時点では各事業者のコンビニは都市部に集中しているが、郊外にはまだまだ出店の余地があるともいえる。もちろん採算性やロケーションなどマーケティングを進めながら、収益性のある地域には店舗展開をしていかなければならないだろう。
 
 
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