| 特集・オフィス通販市場 来年にも競争本格化 日系は独自路線で手法を模索 |
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文房具、事務用品などいわゆるオフィス用品の通信販売が本格的な広がりを見せようとしている。先行する米最大手のステープルズは中国大手のOA365を買収し、合弁会社を設立、米オフィスデポは中国大手のアジアECを買収して事業展開を進めている。一方で、昨年六月に上海での事業を開始した国誉商業(上海)有限公司はこの一〇月に、ハイブリッド・サービス子会社で日系企業の海伯力国際貿易(上海)有限公司から通販事業を譲り受けたほか、北京での営業展開も開始した。大塚商会が来春にもオフィス通販「たのめーる」のライセンス提供という形で市場参入を明らかにしているほか、日本最大手のアスクルも来年中にも事業を開始することが囁かれている。日米双方でオフィス通販市場を形作ってきた大手企業が上海で一堂に会し、今後、上海を中心に中国で新たな市場を切り拓こうとしている。
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上海の市場規模、三、四百億元とも |
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各社の売り上げ推定値を見てみると(表1参照)、現在、中国のオフィス通販で最大手といわれているのがステープルズで通販の売上高は推定四〇億円(二〇〇六年度)、またオフィスデポが同じく四〇億円(同)、続く国誉商業(上海)有限公司が一〇億円(同)という規模だ。大手三社の合計でも百億円には届かない規模となっている。 また、オフィス通販の中でもメインの媒体となるのがいわゆる通販カタログ(表2参照、いずれも推定値)。各社のカタログの発行数を見てみると、現状ではステープルズの年刊カタログが中国全体で二五万部、うち上海で一五万部を発行しているのが最多。
カタログ発行部数は各社ともに上海での発行が多く、オフィス通販のメインの市場はやはり日系、中国企業が多く集まる上海に集中しているといえる。その上海市場の中で目下、オフィス通販の最大手と言われているのが、米外資系のステープルズだ。 同社は二〇〇四年一〇月、OA365に出資するとともに合資で上海史泰博企業発展有限公司を設立、中国での事業展開に着手した。中国進出した同年五月よりOA365との提携に向けた協議を進めてきた背景から、中国進出にはこの中国大手オフィス通販企業との提携が欠かせないとの見方があったようだ。 オフィス用品販売のOA365は二〇〇一年に会社設立した、いわゆるネット企業。早くよりネットと電話、通販カタログを一体化したビジネスモデルで成功した新興企業のひとつだ。ステープルズはその市場占有率と既に構築しつつあるブランドに着目。これに世界展開している自社のノウハウと資本を注入することで、中国のオフィス通販市場の席巻を狙っている。 ステープルズが事業拡大に乗り出し始めたと見られるのが翌、二〇〇五年のことだ。同年二月に合資企業から独資企業に変えたのち、七月には社名を史泰博商貿有限公司に変更。自社による物流センターも稼働させるなど巨額の先行投資のもと、以降、売上拡大策を取っているといわれる。 史泰博商貿有限公司は二〇〇五年度売上高が五億元(約七五億円)を突破したことを明らかにしている。売り上げ構成の内訳は非公表だが、一部、海外への輸出額が含まれると見られる。 現在、唯一、日系企業で中国でオフィス通販を手掛けている国誉商業(上海)有限公司はコクヨが独資で設立、昨年六月に事業を開始した。オフィス通販は「イージーバイ」の名称で展開、メインのカタログは年に二回発行している。既にこの一年半で一五万件の顧客データベースを構築、今期は一〇億円の売り上げを見込んでいる。 一方で、他の日系企業にさきがけてオフィス通販「オフィスダイレクト」を展開していた海伯力国際貿易(上海)有限公司は一〇月、オフィス通販事業の国誉商業(上海)有限公司への譲渡を発表。その理由を、オフィス通販市場の競争激化、日系企業同士の競合を避けることなどとしている。 装置産業的な要素が強いビジネスで日米両国大手の参入により更なる競争激化が予測され、一部では同社は独自での展開を諦めたとの見方もされている。 |
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| 日系の達楽美尓が来春にも市場参入 | |||||||
アスクルは上海でテストマーケティングを実施して以来、沈黙を守っているといわれる。市場参入の時期を見計らっている模様だが、業界関係者には、「アスクルが参入すれば競争が一層激しくなるが、これによりようやく市場ができ始めるのではないか」と期待する声もある。 新会社の達楽美尓(上海)商貿有限公司は、今年四月に会社設立されたオフィス通販会社だ。アジア関連のニュース配信などを行うエヌ・エヌ・エー、学習教材、教育企画販売などのエスコムが出資。大塚商会からライセンス提供を受ける形で、上海で市場参入する。新会社はオフィス通販のノウハウとブランド展開、営業権の取得や、中国でのマーケティングの特殊性などを勘案した上で三社提携にいたった。 新会社は大塚商会の協力のもと、二年ほど前から中国でのオフィス通販市場の調査を進めてきた。今後も大塚商会に販促面や商品調達、人材提供などで協力を仰いでいく方針だ。「中国は特殊な市場で変化が早いが、中国の状況に詳しい両社と協力して、日本で成功してきた大塚商会のノウハウを活かしていきたい」(達楽美尓(上海)商貿有限公司・相原淳一営業部副総経理)。 新会社は無店舗販売の営業許可を取得。「たのめーるチャイナ」の名称でオフィス通販を展開する。顧客開拓に力を注ぐべく、専門の営業部隊を組織。同社は明らかにしていないが、日本と同様に、営業担当者を個々のオフィスに訪問させる独特の営業活動で顧客開拓を狙っていくものと見られる。 日本のオフィス通販市場では群を抜く売上規模のアスクル(二〇〇六年度、一六〇〇億円)、業界第二位の大塚商会MRO事業部(同、七五〇億円)だが、意外にも中国進出となると、後発組だといえる。商品調達面も含め、早くから中国市場を睨んできた両社のはずだが、そこには、おいそれとは市場参入できない中国のオフィス用品市場の特殊性が背景にあるのかもしれない。 |
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| 価格破壊と利益を出す難しさが背景 | |||||||
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中国におけるオフィス通販の難しさは、商品の価格破壊がされつくしていること、そして現状では顧客満足を得るための十分なサービス体制にコスト勘定が見合わないことが挙げられる。 中国では日本と違い町の文房具屋が根強く存在している。そこで引き合いに出されるのが、中国の企業がそんな彼らに電話一本で文房具を注文している状況だ。そこで売られている文房具は価格帯も安く、品数が少なくとも気兼ねせずに注文でき、町の文房具店もいやな顔ひとつせず商品配送してくれる。 さらには、カルフールをはじめとする量販店の存在も大きく、大規模なロットで仕入れられた文具が低価格帯で売られている。「価格に対する消費者の反応は中国でのオフィス通販の難しさだ。価格外で出来ることにも注力していかなければならないだろう」(相原営業部副総経理)。 もともとオフィス用品は粗利が低く利益を出しにくい商品。価格競争で小売と勝負するのはつまるところ体力勝負になるだけでなく、事業としての利益を出すことも難しい。 国誉商業(上海)有限公司の井上雅晴董事総経理は既に中国の中小企業は安い早いに慣れていることを指摘。日本とは違う市場での事業成功のカギに二つの要素を挙げている。 ひとつは商品をトータルで見せるバリエーションだ。幅広い商品構成、様々な価格帯を一覧で見せるカタログの強みを生かすこと。これはユーザーに商品や価格の比較を意識させることに繋がる。 次に、オフィスに関連するものを全て取り扱うこと。例えば「イージーバイ」では一部、飲料や食品、洗剤、健康用品などの日用品も取り扱っている。その結果としてあるのが「カタログ一冊で全てを解決できるオフィス通販を目指す」(井上董事総経理)ことだ。 また、グループ会社を通じてオフィスの設計や内装、オフィス家具の販売、OA機器の販売メンテナンス、プリンティングサービスといった事業を手がけており、トータルでオフィス提案できることも強みだ。 先行するステープルズやアジアECとの差別化もこれらの点にあり、「彼らは一万の商品アイテムを揃えているが、OA機器の商品に偏っている。トータルでの商品提案で利便性を売っていきたい」(同)としている。 また、物流コストをどう抑えるかという課題もあり、国誉商業(上海)有限公司は一〇〇元以上の購入者には配送料を無料としているが、現状では低マージンの中、いかに高い配送品質を維持していくかが最大の課題だとしている。 同社は今後、海伯力国際貿易(上海)有限公司から受け継いだ自転車による配送部隊を活用するなど、様々な物流体制の構築も模索する。商品の販売ボリュームに応じてトータルの利益改善を狙うほか、コスト検証を進めるなど、物流インフラの効率化なども進めていく。 |
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| 中国市場に見合った仕組みづくりが鍵 | |||||||
| 通販自体がそれほど浸透していない中国での事業展開に各社が口を揃えるのが、オフィス通販だけがライバルではないということ。しかし敢えて、オフィス通販に市場を絞ってみれば、日本の専業大手、アスクルがどのようにオフィス通販を形作り、事業展開していくかに注目が集まっている。
市場参入が近い達楽美尓(上海)商貿有限公司は、「先行他社や新規参入の動向は気になるが、まずは上海市場において自分達の試合ができるように準備をしている。当初は日系企業を中心に外資系企業のニーズというパイの食い合いをしながら、徐々に中国企業の市場を開拓していくことになる」(相原営業部副総経理)としている。 また、国誉商業(上海)有限公司は中国でのオフィス通販の違いについて、「米国では米国企業が、日本では日本企業がそれぞれの市場で勝ち抜いてきたが、中国はある意味ワールドカップのようなもの。日本でのノウハウが生かせないことも多いし、中国の市場に見合ったものを作っていかなければならない」(井上董事総経理)。 オフィス通販はようやく市場性が見え始めている段階だ。将来性が高いことには間違いがないがまだまだ見えない部分が多い。そこで、中国における独自のノウハウをどう構築していくことができるかによるだろう。 |
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