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自動車部品市場概論 巨大製造・販売基地に脱「系列」の波
 
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  部品供給ルートは「グローバル化」へ「競争主義」を優先させ躍進した欧米勢
急成長続ける中国自動車部品市場
 
 
 
嘉定区安亭鎮人民政府対外経済貿易辨公室の副主任(高級経営師)の邱鵬氏。ハルピン育ちの34歳。上海国際汽車城の未来を担う若きパワーには地方出身者が少なくない  
俗に年率一五%から二〇%といわれる急成長を続けている中国の自動車部品市場。製品の自主開発、供給能力をもつ一部の国内企業が海外市場を開拓、輸出額についても増加の一途をたどり、二〇一〇年には輸出額三五〇〜四〇〇億ドルが見込まれている。しかし生産の多数を占めるのは川下レベルの製品であり、技術レベルの向上など多くの課題を抱えるのが現状だ。一方、「現地調達率」をいかに高めるかを経営課題におく外資部品メーカーの 存在。さまざまな思惑が絡みながら、同業界は大きな変貌期を迎えている。
 
  国内企業の実態は「冶金」業?  
  一口に自動車部品といっても裾野が広い分野である。エンジンや変速機、ボディ、シャーシーといった分野にいたるまで幾層にもわたり、多くの企業たちの分業によって成り立つのが現実だ。一台の完成車を構成する部品は川下まで含めると三万件とも六万件ともいわれる。
嘉定区安亭鎮人民政府・対外経済貿易辨公室の副主任(高級経営師)で「上海国際汽車城」のプロジェクトに携わってきた邱鵬氏によると、同汽車城がある安亭鎮だけでも部品企業は一五〇から二〇〇社が集積しているという。もともと自動車部品製造基地として市場の黎明期より大きな存在感を示してきたのが長三角エリアであり、一定規模をもった企業が多いのが特徴だという。大雑把にいえば江蘇省には外資が多く、浙江省となると内資企業が目立つ。例をあげれば、業界トップの万向集団(杭州)、昨今著しく業績を伸ばしている寧波華翔集団などがある。
しかし、一部の実力を有する企業は別として、国内企業全般にいえるのは、付加価値が低い「部品」(原材料消耗型)供給とサービスにとどまり、「冶金製造業」を担っているに過ぎないという実態がある。
中国に進出した外資完成車メーカーが、ハイテク部品、すなわち川上領域のコアパーツを現地調達しようとしたら、まず無理が生ずる。結果として、中国における完成車生産の規模拡大は、一方で部品輸入の増加という現象ももたらしている。そして、このことは、中国における「完成車」メーカーの製造工程が、時として「組み立て」作業ともいえる様相を見せることにもつながっている。
 
  自動車も「兼容機」が高シェア?  
  近年、成長の著しい奇瑞汽車の一部車種は、海外からの輸入エンジンを使用し、上海GMやフォルクスワーゲンのサプライヤーからかき集めた部品でつくられているという。ちょうど、メインボードやメモリなど各パーツのブランドにこだわり、「兼容機(JianRongJi)」(組み立てパソコン)にもランクづけをするパソコン市場の現状と似ているかも知れない。(もっとも、中国国産CPU「龍芯」への取り組みなど、中国はこの分野でも自前の「コアパーツ」開発に注力している)
なお、蛇足であるが、物づくりにとことんこだわりを持つ日本人の職人文化の起源を農耕社会に見る一方で、良いとこどりの「拿来主義NalaiZhuyi」で良しとする中国人の合理的な経営判断を商人的狩猟民族的と評価する見方もあるだろう。
 
  柔軟戦略で一気に飛躍したGM  
  大きな潜在市場を抱えながら、競争が激化する自動車部品業界にあって、「中国の発展は他の国が歩んできたものと全く違う」というのは邱鵬副主任(前出)である。邱氏は「上海汽車城」プロジェクトを通じて、つぶさに自動車部品市場を観察してきた業界通。彼の視点によれば、供給ルートの「グローバル化」は逆らえない趨勢となっているという。
よりいっそうのコストダウン、納期の早期化実現のために、「グローバル化」の波に臨機応変に対応し、「現地調達率」の向上に成功した完成車メーカーの例としてGMがある。邱氏によると、同社が長三角一帯で短期間のうちにたちまち勢力を伸ばした背景には、「競争主義」に立った同社の柔軟な戦略があるという。
部品購入においてかなりオープンな態度を示す同社に対して、比較的保守的なスタンスを見せているのがフォルクスワーゲンである。「純正」部品へのこだわり、本国での取引実績を重視するなど、極めて慎重な姿勢を見る点で「日系メーカーとドイツメーカーは似ているのでは」と邱氏は語る。  
もっとも、完成車メーカーの「系列」や既存の取引関係にしばられ、日系企業が完成車メーカー、部品メーカーともども、総じて保守的・慎重になっているというわけでもない。「勝ち組」企業の代表例として引用される上海小糸車灯有限公司は八〇年代に中国進出、いちはやく「系列」を越えた経営を現地で実践し、フォルクスワーゲンへの車両ランプ供給を手はじめに成長を続けてきた。現在ではGMへの供給も行っているという。  
「ビジネスチャンスをものにし、取引先を中国系・非日系の完成車メーカーに拡大したい」との思惑をいだく部品メーカーがどれだけ占めて占めているかは分からない。しかし、市場競争の激化は、生産コストの削減の必要から「(部品)現地調達」の潮流をさらに推し進めていくのは確かだろう。また、中国の国内メーカーが技術的に及ばないコアパーツの生産に特化し、それを外販する企業も目だってくるかも知れない。華やかな「マイカー」市場の舞台裏にありながらも、中国の自動車部品市場もまた熱く、活況を示してきている。
 
  上海国際汽車城  
 
 
写真:ブリヂストン提供  
上海嘉定区安亭鎮にある「上海国際汽車城」は、5年をかけて当初の構想にあった基本機能(自動車生産、F1サーキット、貿易、研究開発、教育、レジャー等)をほぼ整え、より一層の機能充実と規模拡大を目指して発展を続けている。  
総投資額500億元という大プロジェクト。いっかいの漁村に過ぎなかった同地は現在、人口4万、中国随一の「汽車城」に変貌した。工場誘致だけでなく、都市開発計画の一環として整備が進められてきた背景がある(『漫歩中国』03年9月号P8・那珂邦和氏のレポートを参照)。  
昨年、「上海最高水準」(邱氏)というゴルフ場がオープン。来年は5つ星ホテル(マリオット)が開業する見込みだという。上海万博が開催する2010年にはテーマパークの設立も予定している。
 
  データで見る中国自動車部品市場  
 
   
    「汽配一条街」(自動車部品街)として知られる上海・威海路。静安区政府は2年以内に嘉定区安亭「上海国際汽車城」への移管移発表している
 
 
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