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中国人海外旅行事情 熱帯びる誘客″戦
 
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  中国人訪日客数今年は80万人を突破!?構造的課題も存在  
 
 
日本政府が進めるビジットジャパンキャンペーンの目標達成には、中国人訪日客の取り込みは必須だ。日本の自治体、旅行社、日系企業三者が活発な動きをみせている。
 
  過去最高の前年比三割増  
 
日本国際観光振興機構(JNTO)によれば、昨年の中国人訪日客数は六五万人に及んだ。そのうち観光目的で入国したのは約二〇万人。二〇〇〇年から〇四年まで前年比二桁増が続いた訪日客数だが、〇五年は六%増と伸び率を落としている。
しかし、今年は飛躍の年になりそうだ。JNTOの予測で\は、通年で八〇万人を超え、昨年の反動から前年比三割増と高い伸び率となる見通しである。
 
  団体ビザ解禁が起爆剤に  
  日本政府は、国土交通省を推進役に二〇〇三年よりビジットジャパンキャンペーン(VJC)を展開している。日本 人海外旅行者が約一六〇〇万人であるのに対し、日本を訪れる外国人旅行者は約六〇〇万人と約三分の一に過ぎない。VJCはその格差の是正を目指す国策で、二〇一〇年までに年間一〇〇〇万人の訪日外国人の誘致実現を目標としている。
一〇〇〇万人の達成――その鍵を握るのが中国人訪日客である。現在、中国の訪日客数は、韓国、台湾地区、米国に続く第四位で、伸び率ではダントツの一位だ。
日本政府は、段階的に中国に団体観光ビザを解禁してきた。二〇〇〇年に北京、上海、広東の三都市で解禁したのを皮切りに、〇四年は天津、遼寧、山東、江蘇、浙江の五地域を加え、昨年七月、遂に全国解禁となった。
これまで、団体ビザ解禁を弾みに右肩上がりで増加してきた訪日客数。その起爆剤を使い果たした日本だが、個人旅行ビザ解禁の見通しは立たない。今後は、観光プロモーションなど地道な取り組みが重要性を増す。
 
  航空座席の不足が深刻  
  今 後の中国人訪日客数の伸びに水を差しかねない深刻な問題がある。
中国人の海外旅行は春節、労働節、国慶節の三大連休に集中するが、この時期は日本人駐在員の帰国ラッシュでもある。そのため、三大都市では航空座席の供給不足が慢性化している。旅行社はツアーを組みたくても座席が確保できず、諦めざるを得ない。
今年七月、中日航空交渉が妥結され、旅客便を一・二倍に増便することが合意されたが、座席不足の抜本的解決には至らない。
 
  日系旅行社 商務目的の訪日旅行対応など先々のアウトバウンド解禁へ布石  
  日系旅行社にとって中国での旅行事業の展開は制限が多く、日本からの訪中旅行の受け皿としての要素が強いのが現状だ。訪日のための諸条件、ビザ取得の難しさ、法的な業務可能範囲などが高いハードルとなり、現時点では観光目的での訪日旅行の営業は難しい。その中で日系企業を対象にした教育研修、社内外への インセンティブといった商務目的の範疇での訪日、いわゆる商務旅行を手がけており、それは先々のアウトバウンド解禁を見越した、今後への布石となっている。
中国におけるJTBグループは、年間30万人という日本からの訪中旅行に対するホテルの手配など現地対応、いわば受け入れ業務がメインとなっている。一方で、グループ会社・新紀元を通じて手がけている商務旅行が増加している。また、今秋以降にも新会社を作り、当面は商務旅行の強化、拡大を進めていく方針だ。一方で、同社が先々に向けて掲げているのは、「日本における海外旅行ブランドとなっているLOOKJTB≠フ中国版を作りたいということ。その日≠ェ来たらパッケージ商品の提案、営業の展開に一気に攻勢をかけることになる」(上海錦江国際JTB会展有限公司・坪井泰博副董事長総経理)。
日本旅行が独資で設立した日旅国際旅行社有限公司でも、日本からの訪中旅行への対応が業務の9割を占める。また、駐在員の中国国内旅行の手配を行っているほか、今年から商務旅行を手がけている。商務旅行は、日系企業への訪日旅行のコンサルティングという名目で展開しているが、アウトバウンド解禁後に向けての体力、土台作りと位置付けている。
 
  JNTO上海観光宣伝事務所 薬丸裕副所長の提言  
  旅行シーズンの分散化 
三大連休は、航空座席の供給不足から中国人訪日客をこれ以上伸ばすことは難しい。そこで、旅行シーズンの分散化を提唱したい。分散させるには旅行形態の多様化が近道。企業のインセンティブ旅行、ハネムーン旅行、修学旅行などは通年での開拓が期待できる。
付加価値ルートの開拓 
東名高速道路を利用した従来の東京―大阪のツアーが、価格競争で利益率が低くなっていることから、旅行社の販売意欲≠盛り上げる新しいルートの開拓が必要だ。JNTOは東名に中央道を絡め、信州の宿場町を取り込んだルートを考案したが、現在人気ツアーのひとつになっている。東京―大阪に付加価値≠プラスしたルートの開拓は、市場の活性化に繋がる。JNTOは日本政府観光機関。@外国での観光PR活動、A日本での外国人旅行者のケア、B国際会議の誘致、C市場調査や自治体へのアドバイスを事業とする。
 
  インセンティブ、ハネムーンに脈あり!?自治体の取り組み  
  中国人の日本観光の定番が東名高速道路沿いに横浜、箱根、名古屋、京都などを経由する東京―大阪コース。このコースから外れる地域は、誘客活動の努力なくして旅行者を取り込むことは難しい。中国人観光客誘客に積極的な、東京―大阪♀Oの自治体3つにスポットを当てた。

福島 福島県を訪れる中国人客は、日本旅行が比較的成熟≠オている広東省からが多い。まだ、一般観光客を呼び込むのは難しい状況で、観光プロモーションの比重を企業のインセンティブ旅行や修学旅行に置いている。  
旅行社に提案する観光ルートは、福島県内だけでなく、東京や隣県の世界遺産がある日光を絡めている。中国人 観光客に好評なのは、いわき市の温泉レジャー施設・スパリゾートハワイアンズや、からぶきの家屋が並ぶ大内宿などだ。
長崎 団体ビザ解禁された2000年から中国人観光客誘致に取り組み始めた。2001年に長崎県が企画した県内周遊3泊4日パッケージ「長崎風情遊」は当時破格の4,999元で売り出され、ヒットツアーとなった。現在も販売は続いている。
今年7月からイタリア・コスタクルーズ社の豪華客船「コスタ・アレグラ」が上海、長崎、済州島を運航してい る。7月だけで4,000人の乗客が長崎の土を踏んだ。10月27日まで24便の運航が予定される。
沖縄 一 般観光客のツアーを増やすのと同時に、ハネムーン旅行や企業のインセンティブ旅行の開拓に力を入れている 。この夏、ハネムーン旅行喚起のためブライダル情報誌と組んで、モニターのカップルを沖縄に招待す るキャンペーンを行った。7月末には観光プロモーション「沖縄の夕べ」を開催、中国企業76社に沖縄の観光資源をアピールした。
去年まで台湾地区―沖縄を就航していたマレーシアのスタークルーズが運休となり、台湾地区からの観光客数が落ち込んでいる。現在、中国と沖縄を結ぶ、新しい航路の誘致を検討している。
今年7月から運航している豪華客船「コスタ・アレグラ」 地下鉄構内の看板広告やバスのラッピング広告などで観光PRを行う
 
  上海錦江麒麟飲料食品有限公司営業企画部 大木俊輔氏 「海外旅行キャンペーンでブランドイメージ向上を狙う」  
 
 
海外旅行ブームをチャンスと見ているのは旅行会社や自治体だけではない。キリンビバレッジはこのたび沖縄旅行が当たる新商品「午後の紅茶アイスレモン」の販促キャンペーンを実施するなど、海外旅行をインセンティブに積極的な商品戦略を展開している。
海外旅 行キャンペーンを最初に実施したのは昨年四月です。「午後の紅茶」で香港旅行をプレゼントしました。最初から旅行と決めていたわけではなく、消費者を引きつけるものは何かと考えた時に、目玉として香港ディズニーランドのオープンがあったわけです。さらに、当社は旅行会社など経営する錦江グループと合弁を組んでおり、「 それなら合弁パートナーのパック旅行を活用しよう」と。
  缶コーヒー「ファイア」で北海道旅行も実施しています。コーヒーのミルク、白、雪、スキーと連想して北海道になったんですね。少し強引かとも思ったのですが(笑)、代理店であるADKの協力を得て、簡単な調査をしたところ、北海道は知名度、人気ともに非常に高いことがわかりました。
 
  企業と自治体で初のタイアップが実現
今回の沖縄旅行は、「午後の紅茶アイスレモン」が地中海のシチリア産レモン果汁を使用しており、夏場のサッパリ感をPRしたいとの思いがありました。もともとは地中海旅行を企画していたのですが、中国の景品法で一人当たり五〇〇〇元という壁にぶつかり、それならと沖縄に決めました。
また、ちょうど開所一周年を迎えた沖縄県上海事務所とのタイアップが実現したことも大きかったと思います。おかげで上海の淮海中路で行なった街頭キャンペーンは盛況でしたね。いち企業と自治体がタイアップした取り組みはおそらく初めてだったかと思いますが、両者にとってメリットは大きく、今後増えていくのではないでしょうか。
当社としては、様々なキャンペーンが実施されている中でいかに特色を出せるのか。実際のところ、旅行キャンペーによる売上の変動はあまり見られません。それよりもブランドのイメージ戦略として「面白い企画をやっているな」というのを消費者に訴求したい。もちろん今後、他社商品でも海外旅行キャンペーンが増えれば、別の新しい方法を考えますよ。
 
 
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