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上海環球金融中心 アズ・ナンバーワン
  地上101階、492メートル、世界一の高さを誇る展望台――。08年完成予定の「上海環球金融中心」に、早くも内外から熱い視線が向けられている。 その高さだけに注目が集まりがちだが、森ビルが総力を挙げて取り入れる「垂直の庭園都市」 というコンセプトや最新鋭の装備・スペックはまさに世界最高クラス。世界の金融センターを 目指し、急発展を遂げる浦東・陸家嘴の新たなランドマークを先取りして徹底検証する。
   
 
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  姿を現しはじめた、上海の新たなランドマーク 上海環球金融中心
 
 
 
吉村明郎副董事長・総経理
上海の新たなランドマークへ――。中国経済の最先端エリアともいえる上海浦東新区にそびえ立とうとしている巨大ビルがある。森ビルが手がける複合用途ビルの上海環球金融中心(上海環球)だ。会社設立から10年、アジア通貨危機の荒波や設計の見直しなど紆余曲折を経て、現在、建設ピッチを上げている。完成時の101階に向けて既に50階の折り返し地点を過ぎ、今年度内には、目下、上海観光の目玉の一つともなっている金茂大厦(421メートル)を超える見通しだ。しかし、それは単に高さを競うだけの高層ビルではなく、「最新のスペックを備えた、東京にあっても遜色のない世界第一級のビル」(吉村明郎副董事長・総経理)と、日本国内大手デベロッパーの自信をのぞかせている。
 
  最新鋭のビル建設に必要だった一〇年  
  上海環球は森ビルが一九九五年に現地法人を設立、九七年に着工した複合用途ビルだ。浦東新区陸家嘴金融貿易区の中心地に急ピッチで建設中のそのビルは、日本資本の最新鋭の巨大ビルという鳴り物入りで、地元上海のみならず耳目を集めるプロジェクトとなった。しかし、度重なる外的要因でビルの建設予定は大きくずれ込むこととなった。
九七年にアジア通貨危機が勃発、その影響で上海の不動産業界は市場の軟化が起こる事態と相成った。上海の貸しビル市場には空室率が五〇%を超えるビルも出始め、同社にとっても「テナント誘致がどこまでできるのか、時期的な見極めが必要だった」(同)。  
また同時に、この九〇年代後半はビル建築の規格がグレードアップし始めた時期にあたる。例えば、ビルの天井の高さ一つを取ってみても、スペックのスタンダードは二・七メートルから二・八メートルに移行するなど、いわば業界の転換期だった。
これらを受けて、上海環球の建設は完成時期や設備容量の見直しを進めることとなり、設計変更に伴う許認可の取得などに注力することとなった。
森ビルは既に九〇年代中頃、中国に二つのビルを完成させているが、いずれも当時最新の技術を取り入れ、最先端のスペックを意識してきた。九六年に竣工した森茂大厦(大連)では全フロアにウォッシュレットを標準装備。当時、東京でも珍しく、実は森ビルが手がけてきたビルの中でも、標準装備の第一号だった。
また、九八年のHSBCタワー(上海)では最新式空調設備である四管式を採用した。これは温水、冷水を活用した暖房、冷房の二管式をダブルにしたもので、四管式にすることで一年を通して、夏の暖房・冬の冷房と、ビル内のきめ細かな温度変化に対応できる最新スペックの一つとなっている。
そうこうするなかで上海環球は二〇〇三年、四年ぶりに工事を再開する運びとなった。現在、既に会社設立から一〇年が経つことから、一部、中国紙の報道には失われた一〇年と揶揄されるような向きもあった。しかし、同社はこの一〇年をビル建設の環境の変化に対応するため、最新のスペックを備えるための、いわば必要条件だったと見ている。
 
  都市機能の集積で、働く場、暮らす場の共有化を提案  
  上海環球が位置するのは、東方明珠広播電視塔、上海国際会議中心などがある陸家嘴金融貿易区。黄浦江を外灘と挟むこのエリアは、大規模な都市開発が進み、金融関連企業など第三次産業が集まる中国最先端の一大経済エリアだ。
一方で、この陸家嘴周辺は都市機能がコンパクトに集約したユニークなエリアとなっている。「オフィス、住宅、ホテル、商業施設、観光施設、公園などが、すべてがこの約一・七平方キロの、歩いて行ける範囲の中に集約する。そこには私たちが目指すところの働く場、暮らす場を一緒にが存在する」(同)。
実はこの上海環球のデザインを手がけているのは、六本木ヒルズのオフィスビル、森タワーのデザインを手掛けた、KPF(コーン・ペダーセン・フォックス・アソシエイツP・C)。上海市政府が東京の六本木ヒルズを視察した際に、同様の機能性の高いビルをぜひ上海にもという話になったエピソードもあり、さしずめ上海ヒルズとでも呼べるオフィスビルが誕生することになる。
 
  万博、オリンピックに追い風の見込み   
 
 
浦東新区陸家嘴金融貿易区の中心地に急ピッチで建設中の上海環球金融中心。吉村明郎副董事長・総経理(右)と開発企画部の頼成貴彦経理
吉村副董事長・総経理は二〇〇八年初頭の完成を予定する上海環球にはいくつかの追い風の要素があることを指摘する。
一つは同じく二〇〇八年八月に開催される北京オリンピック、そして二〇一〇年の上海万博だ。上海にはかなりの規模の経済効果が見込めることから、「ビルの完成はこの二つの一大イベント開催に丁度良いタイミングで間に合う。オリンピックと万博はテナント活性化の起爆剤となりうるだろう」(同)と見ている。
現在、複数の路線が同時並行して工事中の新たな地下鉄路線も一つの好要素だ。陸家嘴金融貿易区では完成すれば環状線となる地下鉄四号線、同じく浦東新区を南北につなぐ六号線が既存の二号線と交差することとなる。これらインフラの整備が進むことで同区の人の行き来や経済効果などが見込め、地域の活性化にも結びつく。
さらには、都市開発計画に基づく政府の誘導政策により、九七年以降は銀行や商社など第三次産業が陸家嘴地区に集まっている状況もある。今後も金融関連企業の陸家嘴地区への集積が見込まれることも、少なからず追い風になる要素となっている。
上海環球にはパークハイアットホテルがオープンすることが決まっているが、同ビルが面している世紀大道付近には名だたる五ツ星ホテルがホテル街を形成することになる。浦東シャングリラホテル、リッツカールトン、金茂大厦のグランドハイアットホテル、そしてフォーシーズンズホテル。「コンペティターが集まるこ とには、むしろ集積がもたらす効果が期待できる」(同)。
上海環球は現在、ビル全体の半ばを過ぎる六〇階を超える高さにまで建設が進行中だ。未だ全貌が明らかにならないこの巨大ビルは、現時点の上海では最も高い金茂大厦と東泰路を挟んで隣り合わせている。それはまるで背比べをしている風でもあり、周囲の関心を集めはじめているのかもしれない。
同ビルは完成時には高さ四九二メートルの新しい都市が誕生することになる。「私たちが目指すのは上海のランドマーク。存在感があり、上海で愛されるようなプロジェクトを目指したい」(同)。
 
  上海環球<Aズ・ナンバーワン 環境対策でも模範  
 
 
上海環球金融中心工事現場内にある展示ルームで見学できる模型図。2010年上海万博が開催する頃を想定してつくられた(写真提供:上海環球金融中心有限公司)
台北の101がアンテナ部分を含めれば508メートル。2008年内にはBurj Dubaiという162階、807.7mメートルに及ぶビルが完工を見込むなど、「世界一の高さ」という評価は危うい。
ならば上海環球金融中心のアピールポイントは何か?
それはディベロッパーである森ビルの「垂直花園都市Vertical Garden City」という理念で表現される。パークハイアットが入居予定であるほか、展望台、ショッピングセンター、ラウンジ等々多種多様な複合ビルとして機能することになる。
90年代、上海が目指したのはニューヨーク型の摩天楼都市。しかし現在、市の計画はヨーロッパ型の緑化重視の施策に比重を移している。
「上海市都市計画管理技術規定(土地使用 建築物管理)」第53条では、《上海市植樹造林緑化管理条例》が定める緑地率に関する数値目標を満たすことを義務づけている。
たとえば、その11条の関連規定には「医療衛生単位、科学研究教育単位、ホテル、体育館等の大型公共建設施設を新たに建設する場合、 浦西地区の内環線内では30%を、浦西地区の内環線外・浦東新区と経済・技術開発区内では、35%を下回ってはならない」とある。(情報提供・里兆法律事務所)
上海のランドマークを目指す上海環球金融中心は、サンクスペースに芝生を設け、囲み木を設けるなど、まさに森茂る♀ツ境づくりを意図する。緑化対策でも模範的ビルを目指している。
 
 
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