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「安居」提案ビジネス 〜興隆する「家」産業
 
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  日本建材に追い風か巨大市場に新たな変化  
  購買力の向上にともない、求める生活水準の質も上がってきた。
日本の住設・建材メーカーは住宅ブームが続く中国に新たな活路を見出す。
 
  市場規模は四倍、欧米建材と真っ向勝負  
  国土交通省が発表した〇五年度の日本の新設住宅着工戸数は五年ぶりに一二〇万戸を超えた。一方の中国は、〇四年で日本の約四倍となる四七四万戸。さらに、もはや頭打ち感のある日本市場とは対照的に、二〇一〇年には六八三万戸に拡大すると予測されている。日本の住設・建材メーカーが、この巨大な中国市場へと目を向けるのはごく当然の流れと言えるだろう。
だが、中国市場を狙っているのは日本メーカーだけではない。すでに先行して欧米メーカーが多数進出しており、高級建材をめぐって激しいシェア争いが繰り広げられている。
その中で、早くは八〇年代から中国展開を開始し、内販を重視してきたのがTOTOだ。衛生陶器のハイエンド市場 で三〇%を超えるトップシェアを握り、高級ブランドのイメージが定着している。東陶機器(中国)有限公司市場開発部の川村良樹・部長は「中国人消費者の多くは欧州のデザインを好む傾向があるが、当社にはデザインにプラスして洗浄性能、汚れがつきにくいなど他社には追いつけない技術がある」と語る。同社は商品力に加えて、中国各地にある代理店の販売・サービス強化にも注力しており、今年からアフターサービスのフリーダイヤルも開設した。
TOTOを追う展開となるINAXも積極的だ。上海を中心として蘇州、無錫、杭州、寧波などに直営店舗を有している同社は今年に入り、成都、西安、大連などに代理店を開設、販売ネットワークを広げている。INAXの中国事業統括会社、伊奈(中国)投資有限公司広報部の李文杲・主任は「技術・デザイン力を生かした商品を販売していくだけでなく、生活理念や新たなライフスタイルも提案していきたい」と意気込む。
 
  無視できない「建材超市」  
  ここ数年、中国では大型の「建材超市」(ホームセンター)の開店ラッシュが続いている。特に、外資大手チェーンの動きが活発だ。英B&Qは昨年、独OBIの中国事業を買収し、店舗網の拡大を積極的に進めている。B&Qの親会社であるキングフィッシャーグループは、今後五年間 の開店投資のうち四〇%を中国に投じると発表しており、〇九年までに現在の五〇店舗を一〇〇店舗にまで増やす計画だ。
仏サンゴバンもアジア一号店となる「美頌巴黎(LaMaison)」を上海にオープンした。米ホームデポはまだ参入 を果たしていないものの、中国大手である「東方家園」の株式四九%を買収するとのニュースが流れており、その動向に注目が集まっている。これら外資に対抗して、中国企業も「好美家」をはじめ攻勢を強めているところだ。
こうした状況にあって、「建材超市」はメーカーの販売チャネルとしても存在感を増してきた。TOTOは「高級路線のイメージにそぐわないと判断していたが、もはや無視できなくなった」(川村氏)と、ホームセンター向けの中級商品を投入している。
あるデータによれば、特に競争の激しい上海では建材市場に占める「建材超市」のシェアは〇三年の二〇%から〇五年には五〇%に上昇。北京でも二年前の五%から一五%に拡大しているという。
 
  環境・省エネ武器に日本建材をアピール  
 
宜山路にあるTOTO特約販売代理店 のショールーム「未来空間(TOTO SUPER SPACE)」。北京と広州には直営のショールー ムを開設。一般消費者以外に、デベロッパー や建築設計士向けの商品説明会としても利 用する
上海の軌道交通三号線、宜山路駅。改札を抜けて外に出ると、 「建材」の看板文字がやたら目に付く。宜山路は建材問屋、代理店、ショールームなどがずらりと軒を並べる上海で有名な建材街だ。ホームセンターの相次ぐ出現により、一般消費者が流出しているのは確かだが、内装・施工業者にとって建材市場は依然欠かせない購入場所となっている。
この宜山路に今年五月、上海裕之傑企業管理有限公司とサン建材(双日グループ)が提携して運営する「新日本建材館」がオープンした。コンセプトは、日本の建材が一体となって「高品質」「環境」「省エネ」の三つの特性をアピールしていくこと。上海裕之傑の張・総経理は「環境、省エネ問題を背景に技術力の高い日本の建材需要は増えている」と強調する。
「新しもの好きの中国人だからこそ、 ウォッシュレットが受け入れられる可能性は 十分ある」と話す東陶機器(中国)有限公司の 川村良樹氏。ケリー・チャンを起用した「始洗了!」のCMはもはやお馴染みだ
〇八年の北京五輪は「緑色( エコロジー)五輪」をテーマのひとつに掲げ、約二八〇〇億元に達するといわれる都市インフラの設備投資には環境・省エネ建材が最優先で採用されている。また、サン建材中国開発室の鏑木順治郎・室長が「断熱材の基準などは日本よりも厳しい」と言う建築設計の省エネ基準も施行されるなど、国を挙げての取り組みが日本建材の展開を後押しするとの期待は大きい。
 
  住宅販売方法の変化にすばやく対応  
  「出店メーカーの各建材を使ってもらうよう、『新日本建材館』が代表して施工業者に直接アプローチをかけていく」
張氏がBtoBを推進するのには理由がある。中国の新築住宅はこれまで内装をしていない状態で販売する「スケルトン方式」が主流だったが、近年は内装込みの「ビルトイン方式」が高級物件を中心に徐々に増え始めている。中国最大手のデベロッパーは現在、「ビルトイン方式」がすでに七割を占めており、五年後にはこれを一〇〇%にする計画を立てている。
今後、デベロッパーや施工業者向けの建材販売はより重要性を増すことになる。
すでにメーカーも動き出している。INAXは台湾地区の新陸豊公司と提携して、上海市にデベロッパー、建築設計士 向けとなる高級外壁タイルのショールー ムを今年四月一九日にオープンした。
一方、TOTOの川村氏は言う。
「(ビルトイン方式は))今はまだ高級物件に限られているため市場全体で見ればわずかでしかないが、これが中級物件にまで広がれば一気に普及が進む。すでに各エリアの代理店でデベロッパーや内装業者向けの商品説明会を実施し、積極的にアピールを行なっている」  
また同社は浴槽から便器、水栓、さらにタオル掛けなどアクセサリーまでデザインを統一化したシリーズ商品を展開。トイレ・バス空間のデザインを統一することで、より高級感を演出することができ、デベロッパーにも売り込みやすい。
同社の旗艦商品のひとつとなるウォッシュレット一体型便器は一台約3万元。これが、このほど上海の高級住宅向けに二〇〇台売れた。個人向けと違い、一件で大量受注できるデベロッパー向け販売は、メーカー各社にとって魅力的だ。さらに、一件の受注が今後に繋がる可能性も高いとあり、あの手この手で囲い込みを図っている様子がうかがえる。
 
  活況の陰に潜む不安材料  
  活況を呈する住設・建材市場にも問題はある。建材市場に販売ブースを設けた、ある日本の壁紙メーカーは、同じ市場内に自社のカタログが使われていることを発見し、驚愕した。コピー・ニセモノ商品は各社が予測する以上に市場で出回っており、対策には困難を要する。
TOTOは二〇〇二年、商標を無断で使用していた鄭州の三社を相手取り、提訴するとともに商標権侵害の差し止めを 請求。調査の結果、同社の請求が認められた。ところが、被告はこの判決を不服として控訴し、二〇〇四年に開かれた二審で逆転敗訴となっている。
終息点の見えない燃料・素材価格の高騰も不安材料として横たわる。国家統計局工業交通統計司と中国建築材料工業会が共同で発表した二〇〇五年中国建材企業百強の利益総額は前年比二九%減の八三億元となった。一〇〇強のうち五二社が前年比割れで、中国建材協会の陳国慶・副会長は「原材料、燃料価格の断続的な値上がりが収益圧迫要因となっている」と指摘している(六月一二日付「第一財経日報」)。日系メーカーではすでに一部で小売価格を改定するところも出てきた。
それでも、魅力的な市場であることに変わりはない。市場の変化という追い風を生かすことができるのか。日系建材にとって重要な時期を迎えている。
 
  日本建材の隠れた技術を知ってもらう──「新日本建材館」  
 
実際に見て確かめることで、中国人消費者は信 用してくれる」と張氏(中)、鏑木氏(左)
宜山路にある上海興力達建材商業城の東館3階にオープンした「新日本建材館」は、1000uのスペースに20ブースを設置し、現在16社が入居している。残りのブースも契約交渉が進んでおり、今年9月までに全ブースの入居を完了させる予定。その後、第二期の拡張計画も視野に入れる。
上海裕之傑企業管理有限公司の張・総経理は「3~4年前から構想を温めてきた」と話す。同社のコンサル業務で、日本の建材を探しているという問い合わせが多く、「ならば一カ所にまとめてみたらどうか」と考えたのがきっかけだった。その後、サン建材中国開発室の鏑木順治郎・室長と出会い、意見が一致したことから、計画を具体化。今年5月18日のオープンにこぎつけた。
販売製品は建材、内装材、住宅設備など住宅に関する機器全般となるが、中心は基礎資材。「配管、金具、断熱材 など、見えないところにも日本建材の高い技術力がある。それを実際に見てもらうことが重要」と鏑木氏。
現地法人を持っていなくても日本からの出店が可能で、宣伝広告から知財関連や認証取得なども細かくフォローする。張氏は「出店メーカーが積極的に情報交換できるようにし、問題点や要望を吸い上げて解決できるようにしていきたい」と語気を強める。今後は、商品ラインナップを増やしてアピールを強めていく計画だ。
 
 
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