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“節能”に目覚めた巨龍(後編) 
わき上がる再・省エネ機運
 
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 “節能”に目覚めた巨龍(前編)
  先行技術を省エネ啓蒙に インバーターエアコンの普及に尽力――富士通ゼネラル   
 
  富士通将軍(上海)有限公司 講元貞男・副董事長兼営業統括部長
家庭用電力の節減ならエアコンを抜きには語れない。「中国効能標識」の実施によ り、問題の改善に向けた一歩は踏み出されたが、消費者の意識改革にまでは至ってい ないようだ。技術で先行する日系メーカーにとって、省エネ啓蒙が先決となる。
  見せ掛けの省エネエアコン  
 
エアコンは家電製品の中で最も消費電力量が多く、中国の主要都市ではピーク時における電力負荷の三〜四割を占めると言われる。電力の浪費を煽る原因となっているのが、市場に氾濫する「非省エネ」エアコンだ。年間販売台数が約一五〇〇万台の中国エアコン市場にあって、省エネ性に優れたインバーターエアコンの占める割合は〇五年で一〇%(〇四年は五%)、華東地区でも一七〜一八%(同一〇%)にとどまっている。
さらに、電気の周波数を変えてモーターの回転数をコントロールするインバーターには「交流」と「直流」の二方式があるが、日本で前世代商品にあたる交流方式が中国ではいまだ主流。交流式インバーターエアコンは直流方式に比べて商品価格が安く、省エネ効果も低い。
「電力需要に対応するためには発電設備の増強も必要だが、もっと身近で高い効果の得られる省エネに目を向けるべ き」と富士通将軍(上海)有限公司・副董事長兼営業統括部長の講元貞男氏は言う。
 
  普及進まぬインバーターエアコン  
 
省エネ政策に本腰を入れる中国政府としても、家庭の電力浪費問題にただ指をくわえて見ているわけではない。「能源効率標識管理弁法」が〇五年三月一日に施 行され、国内で販売する家庭用エアコンと冷蔵庫に対してエネルギー効率ラベル「中国能効標識」を貼付することが義務付けられた。  
だが、「中国能効標識」も消費者の省エネ意識を格段に向上させるには至っていないようだ。上海市質協用戸評価中心が実施したアンケート調査によれば(注)、「『中国効能商標』を知っている」と回答した割合は四三・一%だったが、「政策でラベル貼付が義務付けられていることを知っている」ではわずか一六・七%となった。さらに「省エネ商品を購入したい」との回答比率は三九・一%で、購入したくない主な理由としては「一般の商品よりも値段が高い」「広告・宣伝内容を信頼できない」などが挙げられている。  
日本ではインバーターエアコンの普及により過去一〇年間で電気消費量が二分の一に減少した実績があるのに対して、中国ではいまだランニングコストに目が向けられていない。現に、中国メーカーの低価格商品が市場シェアの大半を占めている。  
講元氏は「電気代が安いこともひとつ にあるが、販売する側が冬場の暖房により高い効果を発揮するなどインバーターの持つ機能特性を理解していないが故に、消費者にメリットが伝わり切れていない」と問題の所存を指摘する。
 
  「インバーターは時期尚早」の陰に  
 
  中国メーカーの中には省エネ商品に力を入れるところも出てきたが、技術面では国内トップメーカーですら海外メーカーの平均レベルに追いついていないという。  
こうした状況下、海外市場への輸出も強化していきたい中国メーカーにとって、省エネで先行する日本メーカーの技術は喉から手が出るほど欲しいところ。市場拡大のためにも中国メーカーの技術力の底上げは避けて通れない。  
そこで重要になってくるのが日本メーカーの現地生産における技術供与と保護の問題だ。部品を含めて合弁生産を行う場合、ある程度の技術は供与しなければならないが、独自技術の漏洩は何としてでも防がなければならない。富士通ゼネラルは現地調達を進めていく上でも部品生産など現地メーカーとの協力関係を重視するが、合弁先とは守秘契約を結ぶほか、重要パーツについては日本から輸入している。  
合弁生産を行う日系メーカーから「インバーターは時期尚早」との声が聞こえてくるのもこのあたりの問題と無関係ではないと、講元氏は内情を明かす。
 
  省エネ柱に提案型商品で内販強化  
  富士通ゼネラルは現在、上海市嘉定区の独資工場(九四年設立)で生産する家庭用エアコンの九五%以上を日本並びに欧州向けに輸出しているが、今後は省エネを柱とした内販も強化していく。無錫市に合弁でビル用マルチエアコンの事業会社を設立するほか、上海市にはルームエアコン販売の合弁会社を新設。メーカー直販売体制を敷くことで、よりスピーディーな顧客対応が可能となり、省エネ展開にも追い風となる。
上海では一〇〇世帯当たりのエアコン所有台数が一七四台に達しており、講元氏は「〇七年をメドに(高度成長から)安定期に入る」と見るが、その分買い換えでインバーター化が進み、省エネ商品の割合は全体の四〇%に達するとソロバンを弾く。ビル用エアコンでは、北京五輪や上海万博でホテルなどを中心に確実な需要拡大も見込まれる。  
同社はすでにフィルターの全自動掃除機能が付いた商品を日本とほぼ同時期に中国市場に投入した。今後は中国でもインバーターにプラスする形でワンランク上の機能性が求められるとの見方からだ。「数を売ってシェアを取るのではなく、技術力をテコにした販売」(講元氏)が同社の戦略となる。  
一方、前述した「中国能効標識」のアンケート結果で見られるように、政府と消費者の間に少なからず温度差が生じているのも事実だ。講元氏は「省エネ啓蒙においてメーカーの担う役割は大きいが、それだけでは不十分。電力消費に累進課税を導入して、その一部を省エネ対策に補填するなど、さらに踏み込んだ具体的な施策も必要」と進言している。
(注)六月一〇日付「労働報」。調査期間は「節能週間(六月一二〜一八日)」、対象は一八〜六四歳の上海市民一五二九人。
 
  「中国能効標識」    
 
05年3月1日から実施され、同9月1日からラベルが貼付されていない商品の販売が禁止された。エネルギー効率が1〜5級のランク(最高評価は「1」)で表示され、消費者が商品を購入する際の指標となる。講元氏は「メーカーの自主申告制という点で問題は残るが、省エネ政策の一歩として意義は大きい」と評価する。
 
  省エネ家電の普及に障壁?!
3分の2の家庭で設置される「分時電表」 
 
 
エアコンをはじめ家電製品の省エネ効果に対する意識の低さが露見した同調査結果だったが、興味深いデータも得られている。深夜の電気料金が割安となる「分時電表」を設置している割合は66.5%に上り、そのうち88.1%が「節電に効果があると思う」と回答している。  
「分時電表」は対応機器を設置すれば、サービスを受けることができる。上海市の場合、6時から22時の間は電気料金が0.61元/kWh、22時から6時までは0.30元/kWhとなる。設置費用は市政府と市の電力会社が260元を負担し、自己負担額は100元。他都市でも普及しており、電気代の節約という観点から、「分時電表」は中国で最も普及している市民の「省エネ」方法だ。  
編集部が上海市に住む女性(45歳)に聞いたところ、「みんなつけてるわよ。だってその方がお得でしょ。もちろん洗濯するのも22時以降よ。娘だってインターネットするのは夜中なんだから。省エネ家電? 
本当に効果あるのかしら」。  
消費者にとって「『分時電表』さえあれば、省エネ家電は必要ない!」というのが本音だろうか?
 
 
 
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