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特集
“節能”に目覚めた巨龍 〜わき上がる再・省エネ機運〜 (後編) 
  「2010年までの5年間でGDPのエネルギー原単価を20%削減する──」  
今年からスタートした第11次五カ年計画の中で明確な目標が打ち出された。  
中国は米国に次ぐ世界第2位のエネルギー消費大国である一方、エネルギー利用効率を見れば先進国との格差は歴然としている。このままでは省エネ・環境問題が経済発展の制約要因ともなりかねない。そればかりでなく、地球規模で取り組むべき課題である省エネ・環境対策において、もはや中国一国だけの問題でなくなっているのも確かだ。  
「浪費型社会」から「節約型社会」の構築に向けて舵を切った中国。エネルギー利用効率の先進国で、省エネ技術の高さに折り紙つきの日系企業が貢献すべき余地は大きく、同時に巨大な商機の訪れを意味する。中国の省エネ情勢とそれを取り巻く日系企業の動向を探った。

 
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  エネルギー価格の割高感が意識変革の一歩 日系企業のESCO参入呼びかけ
インタビュー 日本貿易振興機構(ジェトロ) 上海センター副所長 田中茂明氏
日本が有する省エネ実践のノウハウと経験が、果たして中国の掲げる壮大な目標達成のカギとなるのか――。ジェトロ上海センターの田中茂明・副所長に聞いた。
 
  省エネ政策が本格化している。  
 
中国で省エネがクローズアップされるようになったのは、ここ数年のことだ。華 東地域で〇三年夏に起きた電力不足が、問題に目を向けるきっかけとなった。  
中国では九八年に省エネ法が施行されたが、十分に実行されていなかった。今後の焦点は、どうやって徹底執行していくかということになる。
当局関係者は「いまのエネルギー消費構造を残したまま、経済成長を続けていくのは不可能」と口々に話している。このたびの第十一次五カ年計画で「二〇一〇年までにGDPのエネルギー原単価を二〇%削減する」というケタ違いの目標が掲げられたのも、その強い危機感と意志の表れと言えるだろう。
二〇%削減という目標に関して言えば、考えられる対策をすべてやっても達成できるかどうか、という大変厳しいものだ。
 
  省エネ推進の障壁は?  
 
政府のインセンティブが非常に遅れているのも問題だが、最大の障壁は、エネルギー価格が安いことだと考えている。  
一部家電では「能効標識」が貼られるようになったが、次の段階として「高いお金を払ってまで省エネ商品を買って一体どれだけメリットがあるのか」といった宣伝が充分に行われている状況にない。  
例えば、秋葉原で売っている省エネ家電には「三年で回収」などのキャッチコピーがついている。だが、中国では家電の消費電力量を削減しても、電気料金自体が安いため削減できる額はその分小さい。このため、回収時期でメリットを見出しづらいところがある。
 
  課題克服のカギは何でしょう?  
 
  「省エネは地球環境にいいことだ」といくらアピールしても、それでは動かない。省エネ意識を根付かせるには、エネルギー消費の社会コストをある程度ユーザーに負担させることが大事だ。
中国の電力価格は産業用よりも家庭用の方が安い。日本はその逆だ。企業は経営活動の原価低減の考えから黙っていても省エネに取り組む。これに対して、家庭では家計に負担を感じでもしない限り節約に意識が回らない。
家庭用電力料金に関しては、当局に「(料金をアップすれば)一気に社会不安が高まる」との根強い懸念がある。累進型電力料金体制の導入など工夫の余地はあると政府に呼びかけている。
 
  中国国内のESCO実施状況は?  
  建築物の省エネという点で、日本でもそうだが、建築基準の設定など新規物件に行政の主眼が置かれがちだ。それも大切だが、既存建築物の設備効率化にも大きな省エネの余地は残されている。その 意味で、設備の運転管理や回収など包括的な省エネサービスを代行するESCO事業は重要な役割を担う。
〇五年末時点で三〇〇社を超える地場のESCOが設立されており、数社から話を聞くと「プロフィタビリティ(採算性)が高く、潜在市場も大きい」という。
特徴としては、省エネ設備メーカーからESCOに派生したところが多い。設備販売からメンテナンスまで事業を拡大 させて、エネルギー・トータルソリューション・サービスを提供している。
 
  日系企業はESCOに商機を見出しているのでしょうか?  
 
商社やメーカーは「関心は高いが、(参入に)なかなか踏み切れないでいる」というのが共通した見解ではないか。各社、中国の省エネビジネスが巨大であることははっきりと認識しているが、事業成立性について考慮要素が多く、確信を持つに至るほど充分な検討が進んでいないという声を聞く。  
ただ、F/Sに時間をかけ過ぎると巨大なチャンスを失うことにもなるだろう。地場に市場を食い尽くされた後に、出 てきたのではもう遅い。小規模投資でまずは進出して、試行錯誤しながら判断していくのもひとつの手だろう。
 
  外資参入の障壁はありますか?  
 
  12月6、7日、上海国際会議中心で開催した第2回「日中建築物省エネ・フォーラム」。「ESCO」と「建築省エネ技術・管理」について講演が行われ、ビルオーナーなど計約500人が参加した。第1回目は10月にエコアイスを中心に行われた
当局は外資の参入を歓迎すると話している。だが、昨年末にシーメンスが本格的 なESCOを設立した以外は、その他の話をまだ聞いていない。
外資としてサービス事業を行う場合に、メンテナンスサービスや建築業にかかわる規制との関係でどのようなビジネスモデルが可能なのか検証が必要となろう。
 
  最後にジェトロとしての取り組みをお聞かせください。  
  昨年の一二月に第二回「日中建築物省エネ・フォーラム」を開催した。このセミ ナーはジェトロが実施した「省エネルギー化推進のためのシステム導入実証事業」の一環となる。日系企業の協力を得 ながら日本の省エネ技術を検証した結果は、上海市政府に提言書として提出する予定だ。現在、作成作業を進めている。
既に、〇四年二月に上海の日系企業の御意見を集約して電力不足問題解消のための抜本対策に関して具体的な政策提言 を上海市政府に対して行っている。実証事業ではさらに氷蓄熱器とESCOの普及方策に関して深掘りした提案をしたい。  
ジェトロではその他、昨年一月に発足した華東EEG(華東エネルギー環境問題研究会)で、当地におけるエネルギー環境問題への日本としての貢献方策と日系企業のビジネスチャンス拡大のためのアクションについて、日系企業と情報交換・議論を行っている。同グループの中に省エネエアコン・タスクチームを設立し、インバーターエアコンの普及促進について議論しており、業界の活動を通じて具体的な成果も出てきている。  
省エネ先進国である日本の政策、技術、深い知見と経験、実績は必ずや中国の省エネに貢献できるはずだ。
 
 

「十一五」の実施により、環境立法は綿密なスケジュールで整備
里兆法律事務所 趙強・弁護士

 
 
二〇〇五年一一月に公布された「『第十一期五カ年計画』(以下、『十一五』と略す)全国環境保護法規整備計画」というものがある。  
中国は、「十一五」が終了する二〇一五年までに「資源節約型の環境にやさしい社会と継続的発展を保障できる環境法律体系を一応のレベルまで築きあげる」ことを目標に定める。環境と資源の保護(省エネ含む)のために、中国政府は関連する法体系(※)の整備(目標設定、基準の確定、制裁措置の制定等)に取り組んでおり、立法計画についても非常に詳細なスケジュールが組まれている。  
行政面での指導もある。環境と資源の保護に有益な奨励類を設けたり、優位性をもつ産業やハイテク産業(例えば、エネルギーや原材料の節約、資源とリサイクル資源の総合利用、及び、環境汚染を防治する産業プロジェクトなど)等に対して、税務、財政補助金、貸付金等の方面で優遇措置や特別なサポートを提供したりしている。市場介入へのハードルを高くし、調達方面で傾斜措置をとるなど、政府が省エネ製品市場拡大のために様々な措置を講じていることも指摘しておきたい。  
製品へのエコロジー表示を求めるエコロジー基準制度も、省エネや環境保護にとって有効な措置として機能し始めた。資源節約に関する立法と、消費者の環境保護意識が強まるにつれ、エコロジー基準は製品の市場参入上、避けては通れないハードルとなった。家電製品、照明器具製品、商業用設備、工業エネルギー消耗設備等、末端レベルに至るまでエコロジー国家基準が公布されていくことで、中国のエコロジー表示もますます重要視されていくであろう。国内外の数多くのブランドが中国のエコロジー基準制度に向き合わざるを得ず、市場参入のためにはこれを適用しなければならなくなる。

(※)関連法は@「環境保護法」(これをベースに「国家環境政策法」の制定が予定)「省エネ法」「再生可能エネルギー法」など総合的なものA「大気汚染防治法」「水汚染防治法」など汚染制御方面のものB「製造物責任法(PL法)」 「認証認可条例」など環境保護の科学技術方面のものC「自然保護区条例」「野生動物保護法」生態保護方面のものD「全国環境監測管理条例」ほか環境保護管理方面のもの等、五つに大別される。
 
 
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