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世界の鉄鋼需給構造が二極化 高級鋼需要分野へ着実に対応
新日本製鉄株式会社 上海代表所首席代表 細谷洋一 氏
細谷洋一・首席代表
ここに注目!
2006年の粗鋼生産量は3.8億〜3.9億トンに
自動車、家電向け等高級鋼板はタイトな状況が継続
鉄鋼業界では品質による二極化が進む。中国の粗鋼生産量が世界全体の約四割にあたる年間四億トンに迫る勢いで増えるなか、建設向けを中心とする汎用鋼材は供給過多で価格上伸力に欠ける。一方、高級鋼材の需給バランスはタイトな状況が続く。このため政府主導で生産設備の集約が加速。新日鉄は上海で自動車鋼板を本格的に供給し始めるなど、付加価値の高い事業に注力して差別化を進める方針だ。 (聞き手・編集部)
汎用鋼材で需給が軟化
二〇〇四年の主要各国・地域の粗鋼生産量は、米国九九六八万トン、EU(二五カ国計)一億九三四八万トン、CIS(六カ国計)一億一一三二万トン、韓国四七五二万トン、台湾地区一九六〇万トン、日本一億一二七一万トンであるのに対し、中国大陸は二億七二四五万トンと世界全体一〇億五六七〇万トンのうちの四分の一を占める。
〇五年の中国の粗鋼生産量は、固定資産投資の伸びなどから、前年比約七〇〇〇万トン増の三億四五〇〇万トンに達したとみられる。二〜三年前は「中国では毎年、新日鉄一社分の生産量が増えている」と言われたが、現在は「新日鉄二社分」が増えている勢いだ。
中国が生産する鋼材は、徐々に品質が向上してきたとはいえ、低グレードから中グレードの品が圧倒的に多い。〇四年から〇五年にかけて、こうした鋼材の需要が激増し価格も上昇したため、市場では〇五年初めに先高観が蔓延。買い手が多めに手配し、メーカーも生産設備の増強に走った。しかし実需の伸び以上の生産を実行した結果、市場は供給過多になり、鋼材価格は〇五年四月をピークに下降線をたどることになった。
こうした供給過多は、世界主要国のなかで中国だけにみられる現象だ。過去に安値で輸出攻勢をかけたロシアは国内経済が好調なため、市場の混乱要因にはなっていない。しかし中国では、汎用鋼材を中心に、〇四年の鋼材の対日輸出量が七〇万トンと前年の二・七倍に急増。粗鋼生産能力は〇五年末時点で四億トンに達したとされる。
〇六年の中国の粗鋼生産量は、〇五年からさらに一〇〜一五%増えて、三・八億〜三・九億トンになることが予想されている。建設中の設備増強を加味すれば、今後二〜三年の間に、さらに一億トン増えて五億トンの供給体制になる可能性がある。これが現実化すれば、需給バランスは由々しき状況になる。
生産設備集約の必要性
したがって中国の鉄鋼業は構造調整が必要な時期を迎えている。昨年七月に鉄鋼産業の発展指針を示す「鉄鋼産業発展政策」が発表されて以降の動向を見ると、政府がこうした認識をはっきりと持ちつつあることがうかがえる。早急に非効率的な設備を五〇〇〇万〜一億トンの規模で淘汰するべきという考えが強くなっているようだ。環境に害を及ぼす設備やエネルギー消費の非効率的な設備の稼動を停止させる動きが、〇六年から本格的に始まるのではないか。
鉄鋼業は世界的にみても集約が遅れている。新日鉄の粗鋼生産量はメーカー別で世界第三位とは言え、全体一〇億トンのうちの三〇〇〇万トンに過ぎない。中したがって中国の鉄鋼業は構造調整が必要な時期を迎えている。昨年七月に鉄鋼産業の発展指針を示す「鉄鋼産業発展政策」が発表されて以降の動向を見ると、政府がこうした認識をはっきりと持ちつつあることがうかがえる。早急に非効率的な設備を五〇〇〇万〜一億トンの規模で淘汰するべきという考えが強くなっているようだ。環境に害を及ぼす設備やエネルギー消費の非効率的な設備の稼動を停止させる動きが、〇六年から本格的に始まるのではないか。
鉄鋼業は世界的にみても集約が遅れている。新日鉄の粗鋼生産量はメーカー別で世界第三位とは言え、全体一〇億トンのうちの三〇〇〇万トンに過ぎない。中国には鉄鋼ミルが八〇〇〜九〇〇社あるとされる。無駄な競争を減らし価格の乱高下を抑えるため、統合・集約が〇六年から案外早いペースで実行されるのではないか。すでに○五年、国内二位の鞍山鋼鉄集団(遼寧省)と同五位の本渓鋼鉄集団(同省)が経営統合して鞍本鋼鉄集団が誕生するなど前進がみられる。
ただし障壁はある。鉄鋼メーカーは国や省、市の所有であることが多い。集約するとなれば、集約される側の税収がなくなり財政に大きな影響が出るため困難が予想される。また、政府のコントロールが効きにくい中小の民間企業もある。それでも不退転の決意で進めてほしい。
高級鋼の需要に対応
建設向けを中心とする汎用鋼材では過剰な生産設備の約が進む一方、自動車・家電・造船・食缶・変圧器等に用いる高級鋼材は高い製造技術を求められるため、需給バランスは依然としてタイトで価格も高水準を維持している。
高級鋼の需要分野である自動車の生産台数は、〇五年一〜一〇月に前年同期比一〇%増で推移。造船も前年比増加している。電機はOA関係や白物家電が堅調。エアコンは不需要期で低調だが、徐々に回復する見通しだ。しかし建設は、不動産投資が〇五年一〇月に前年同月比二一%増えるなど加熱気味のため、〇六年は二〇%を割る伸び率になる可能性がある。マイナス成長になることはないだろうが、伸び率は鈍化するのではないか。
このため新日鉄は、技術の先進性を生かし高付加価値の製品を着実に販売していく戦略を立てている。代表的な例が、新日鉄、宝山鋼鉄株式有限公司およびアルセロール社という日中欧のトップ三社が〇四年に上海で設立した合弁会社「宝鋼新日鉄自動車鋼板有限公司」(BNA)。国内で初めて本格的な自動車用鋼板を専門に供給する会社で、〇六年からフル生産を始める予定だ。中長期的な成長が見込まれる中国の自動車向け高級鋼板需要に応えることをめざしており、中国の鉄鋼および自動車産業の発展に大きく貢献できると考えている。
加えて中国においては環境対策を推進している。日本鉄鋼連盟(会長=三村明夫・新日鉄社長)は昨年七月、中国鋼鉄工業協会(会長=謝企華・上海宝鋼集団董事長)と「日中鉄鋼業 環境保全・省エネ先進技術交流会」を共催。当社としても、中国の環境保全に対しては最新の技術・設備を惜しみなく供与する方針を打ち出している。
お客様による使用価値評価を徹底的に分析し差別化を図り、技術先進性を拡大させる事業展開で、〇八年度には連結売上高四兆二〇〇〇億円程度、経常利益五〇〇〇億円以上を達成することをめざしている。
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