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  業界揺るがす規制緩和の波 市場環境の整備には課題残す
日本通運株式会社 中国総代表 池田俊彦 氏
 
 
  池田俊彦・中国総代表
ここに注目!
合弁継続か独資移行か、戦略の分岐点
国内物流網による付加価値サービスが争点

中国のロジスティクスは、いま進出企業のキーワードと言っても過言ではない。業界各社は、さまざまな阻害要因のなかでより優れたサービスへの模索を続けてきた。そして05年12月、成長の足カセとなっていた規制がまたひとつ外れ、外資の自由度は格段に上がった。それはまた、中国企業を交えた激しい市場競争の始まりでもある。 (聞き手・編集部)
  急速な規制緩和に歪みも  
  商務部は〇五年一二月一一日から国際フォワーダー(国際貨運代理企業)の外資一〇〇%によるライセンス取得を認めた。外資に対する規制はいまだ存在しているが、日本と比べても緩和のスピードは速い。WTO加盟以降は特に大幅に緩和されてきている。
だが、緩和のスピードが速い分、歪みが生じているのも確かだ。例えば、国際フォワーダーでは独資展開が可能となったが、民航総局によって審査・発行される航空貨物ライセンス(航空運輸販売代理業)は外資七五%とされながらも、現時点では実質的に五〇%しか認められていない。この外資規制に対しては、CEPA認可取得企業に限って五〇%の枠組みが外される見通しで、〇六年一月前に細則が公布される予定となっている。
いずれにせよ、〇六年は規制緩和で自由化が一段と進む。国際フォワーダーの中でも独資にするかどうかは、中国国内事情や合弁先との関係で各社の方針によって異なるが、新規参入も含めて外資同士、さらに中国企業との競争が激化することは間違いない。これまでの「AからBにモノを運ぶ」といったサービスから脱皮し、付加価値を高めていかなければ生き残れない厳しい市場となるだろう。
 
  保税物流園区のフル稼働に期待  
 
  資料提供:日本通運
中国初の試行的な物流エリアとして設けられた上海外高橋の保税物流園区がようやく本格的に動き出した。従来は貨物を中国内(区外)から保税区に輸出すると貨物が実際に海外に出荷される前まで増値税が還付されないため、香港に一度輸出してから再輸入する、いわゆる「香港遊」が行われていた。それが保税物流園区を活用すると、中国内(区外)から搬入した時点で輸出とみなされ、増値税の還付を受けることができる。リードタイムとコストの大幅な削減という点でメリットは大きい。
日通は〇四年一二月から同区内に五七〇〇平米の倉庫を所有していたが、実質的に稼働を開始したのは〇五年の一〇月。大枠のシステムはできていても細かなルールが制定されていなかったことが原因だ。顧客側にも「入れたら出てこないんじゃないか」という不安があった。
現在、中国には八カ所の保税物流園区があるが、外高橋以外はまだ完全に稼働しているとは言えない状況だ。外貨決済の方式や煩雑な手続きなど、外高橋でもまだまだクリアにすべきところは少なくない。外高橋をモデルに〇六年はより多くのその他物流園区でフル稼働することが期待されている。
 
  取扱量増え続ける上海港  
  日通の〇四年の日中間航空貨物取扱量は大幅に伸長した。〇五年は〇四年ほどの伸びは見られないが貨物取扱量は相変わらず拡大基調である。
日通は上海│博多間を二六時間で結ぶ高速海上輸送サービス「SHANGHAI SUPER
EXPRESS」を手掛けている。RORO船とJR貨物の鉄道輸送を直結しているほか、内航も含め他の輸送モードとつなげた新しいサービスを構築している。例えば北海道から航空便で博多まで運んで上海に運ぶことも可能だ。特徴としては、博多発よりも上海発の取扱量が増えてきている。
中国全体の貨物・コンテナ取扱量が増えている中で、上海港は最も注目されている。コンテナ取扱量の規模は依然香港の方が大きいが、伸び率では上海が上回る。また、洋山深水港の第一期工事が完成したことで、取扱量のさらなる増加が見込まれる。
 
  中国国内の物流網整備を強化  
 
  日通の海外引越チーム(写真提供:日本通運)
日通は、三菱商事と持株会社「日通エム・シー中国投資株式会社」を設立した(〇五年九月、日通五一%)。三菱商事が持つ内陸部のトラック輸送ネットワークと、日通グループの沿海部を中心とした保税倉庫などの海外ネットワークを連結。日通グループの国内拠点数は現在の六七拠点(二八都市・一八現法)から一気に一〇七拠点に拡大する。
これにより最も期待できるのが、自動車業界向けサービスの強化だ。物流会社がそれぞれのノウハウを用いて一様に力を入れている分野でもある。進出速度を増す自動車部品関連メーカーの間で国内調達の動きが活発化している。自動車メーカーは武漢などに拠点を設けているため、内陸部を結ぶトラック輸送網でミルクラン(巡回集荷)やJIT(ジャスト・イン・タイム)配送へのニーズが高まりをみせている。また、中国で製造した自動車部品を海外へ輸出する動きも出てきた。内陸から沿海部、そして海外への一貫輸送サービスは、三菱商事とのシナジー効果を存分に発揮できる。
通としては、海外引越しにも注力していく。在中法人の増加にともない引越しへのニーズも高くなっている。従来輸入引越し荷物の通関・配達や、輸出引越荷物の引取作業・通関などの業務は中国系業者のみに免許が与えられていたが、日通の上海現地法人は、日系で初めて中国税関から免許を取得。輸出入航空便及び輸入船便では、既に自社戦力によるサービスの提供を行ってきたが、これらに加え新たに輸出船便についても自社戦力による取り扱いを開始した。あわせて五月より海外引越専業組織を新設してより信頼のあるサービスの提供を行っている。
 
  課題残すも着実に成長  
 
中国では、「フォワーダー」と「船会社、航空会社」の認識区別がはっきりとされていないため、フォワーダーの本来望むサービスが実現しにくい環境となっている。インフラ上の問題もありフォワーダーが空港のターミナルから簡単にコンテナを搬出できないことや、保税トラックの詰め合わせができないなど障壁は大きい。その他、税関手続きの簡易化なども含めて、中国の物流業界が発展し、国際地位を上げるためにも残された課題は少なくない。
しかしながら、メーカーにとって「生産拠点」としての中国の位置付けは変わっていない。一極集中などチャイナリスクへの懸念から東南アジアなどにシフトする動きもあるが、あくまでも中国を中心としたプラス・ワンの動きだ。物流が今後さらに伸びていく余地は十分にあると言えるだろう。
 
  世界最大のハブ港へ 上海洋山国際深水港が開港  
 
上海洋山国際深水港の第一期工事が完成し、一二月一○日にオープニングセレモニーが開催された。杭州湾の東北部にある島で構成される同港は、海上大橋「東海大橋」(全長三二・五q)で連結。対岸の南匯区芦湖湾地区には巨大な保税物流園区も設置されている。国家重大プロジェクトのひとつで、プロジェクト総投資額は一○○○億元(うち第一期工事は一四三億元)に上る。 
  写真・マップ提供:日本通運
二○一○年に予定される第二期が完工すれば、年間取扱量は一五○○万TEUに達し、香港、シンガポールを抜いて世界最大の港となる予定。岸壁の水深は一五m以上で大型コンテナ船の接岸が可能、国際航路の中継地に位置付けられる。
○八年には「杭州湾大橋」が開通予定で、寧波港との相乗効果による「グレーター上海港」としての期待が寄せられている。
 
     
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