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  変化する消費傾向とトレンド競争激化で差別化戦略に重点
上海梅龍鎮伊勢丹百貨有限公司 董事総経理 中道利彦 氏
 
 
  中道利彦・董事総経理
ここに注目!
「富裕層」に加え、「ニューリッチ層」が台頭
女性マーケットに巨大なポテンシャル、背景に自立志向

飛躍的な経済発展の中で、高所得者層の消費はますます熱を帯びている。マーケットは急速に拡大するだけでなく、激しい変化をともなう。百貨店はその動向をつかみながら、常に最先端を発信し続けなければならない。市場競争が激しさを増したいま、各社は差別化に向けてハンドルを切り始めた。(聞き手・編集部)
  「ニューリッチ層」に焦点  
 

上海梅龍鎮伊勢丹百貨店の売上推移は〇四年までの五年間、前年比約一二〇%を維持している。〇五年の実績集計はまだ出ていないが、目標ベースである二ケタ増は達成できる見通しだ。ターゲットとなる高所得者層の消費拡大がこの伸びを支えていることは間違いない。  
高所得者層のなかでも年間世帯収入が一〇万元を超える、いわゆる「富裕者層」では、政府のマクロコントロールによる不動産投資の減速、株式市場の低迷などが消費マインドにやや影響を及ぼしている模様だ。先行き不安とまではいかないが、気を配り始めたといったところか。  
これに対して、「ニューリッチ層」の台頭が著しい。「富裕者層」が経営者クラスだとすれば、「ニューリッチ層」は部長、マネージャークラスとなる。年間世帯収入は五万〜一〇万元。ある調査によれば、(年間世帯収入が)五万元を超えると海外ブランドへの関心が高まるという。「富裕層」が平日、休日にかかわらず高額消費をする傾向がある一方、「ニューリッチ層」は消費意欲が堅実でファミリー志向。それだけに土日に家族連れというパターンが多い。子供服の売上げが急速に伸びているということも、「ニューリッチ層」の拡大と無関係ではないはずだ。

 
  女性マーケットが強い理由  
 
  データ提供:上海梅龍鎮伊勢丹百貨
商品別の売上げを見ると、レディース関連が好調だ。特に婦人服と化粧品は際立っている。例えば、梅龍鎮伊勢丹では「ラ・メール」という高級化粧品ブランドを扱っているが、二〇〇〇元以上する商品が飛ぶように売れている。
中国では結婚しても共働きが主流で、女性は家庭に入らない。女性が収入を得ているため、買い物がしやすい環境がある。また、ファッションへの関心が高く、情報量も多い。加えて、一般的に身長が高くスタイルがいいという素質の高さも見逃せない。女性向けのマーケットが成長していくために十分な土壌が中国にはある。
中でも上海女性のファッションに対する意識と感度は極めて高い。そのポテンシャルを示すデータがある。世界一二都市の女性を対象に行われた調査で、上海は「夫と妻は対等であると思う」という項目で一位。さらに、「夫の許可なく重要な決定はしない」では最下位となり、わずか六%であったという。
梅龍鎮伊勢丹のある南京西路には外資系オフィスが集中しており、そこで働くOLたちは我々の最重要ターゲットとなる。南京西路にはスーパーブランドの直営店も数多く並んでいるが、競合とは捉えていない。ファッションリーダーとしての役割を果たす彼女らが集まってくることで、相乗効果に対する期待の方が大きい。
 
  市場の半歩先でトレンド発信  
 
  日本のファッションは個性を意識しながらも同じような流行を追っているのに対して、中国は個性を演出することに重点が置かれる。好みとしては派手目で、色は濃色を用いたものが多い。  
中国ブランドとともに、この傾向をしっかりととらえているのが韓国ブランドだ。韓流ブームという追い風もある。韓国企業は、中国とものづくりの関係で長い付き合いがあり、その経験は内販に有利なファクターとなっている。いいパートナーがいることも強みのひとつだろう。マーケットを非常によく勉強し、いい商品をつくっているとの印象がある。  
これに対して、日本のブランドはシンプルさを特徴に、着心地、フィット感などクオリティの高さを売りにする。高い評価を得ているブランドがある反面、現在の市場にマッチしていないものもあるのが現状だ。出店は増えているが、成果にはいまだバラつきが見られる。  
当社に対する日本ブランドからの出店要請は少なくないが、日系だからという特別な考えは持っていない。判断基準はあくまでも売れる、受け入れられる、ということだけだ。  
我々が注意しなければならないのは、マーケットがあまりにも速いスピードで成長しているということだ。中国テイストを闇雲に追いかけていては、傾向が変わってしまった時に置いていかれる。中国テイストに合わせながら、市場の半歩先を取り入れていかなければならない。伊勢丹は、世界、日本のトレンドを発信する役割を担っている。
 
  日本の伊勢丹を中国で再現  
 
マーケットが拡大していくとともに、市場競争も激しさを増してきた。当社としては、徹底した差別化戦略を掲げる。「伊勢丹」という全体イメージを全面に押し出していくことが重要だ。「日本の伊勢丹を中国で再現する」という経営方針のもと、日本からマネジメント、スタッフ教育など経営手法やノウハウを積極的に注入。特に、店頭のプレゼンテーション(陳列)には力を入れている。
また、売り場・コーナーごとに二週間間隔でカラーローテーションを行っており、日本のノウハウがここにも導入されている。トレンドカラーの予測やローテーションの手法などは、企業機密と言えるものだ。他の百貨店と同じブランドを扱っていても、きちんとしたマーチャンダイジングにより独自の商品ラインナップを形成することで差別化を図ることができる。
伊勢丹としての商品ラインナップ強化という狙いから、〇六年は上海二店舗の提携を強め、計画業務や商品調達を一本化していく計画だ。
 
  エリア戦略にローカル化が必須  
  今後の具体的な計画については、〇六年秋に天津の店舗を移転、増床して新装開店する。〇七年春には成都で開業する予定だ。成都はファッションに対する意識が高いと聞いている。
今後どこの都市に出店していくか具体策は決まっていないが、なるべく既存店の周辺からという考えはある。〇五年九月にオープンした済南店は、天津とスタッフ交流などで協力関係を築いている。上海は巨大な市場であるだけにもう一店舗出したいというのが本音だが、まだ新規物件は見つかっていない。上海を中心に半径二〇〇〜三〇〇キロ以内の寧波、杭州、蘇州、無錫などは有力候補となるだろう。
エリア展開をしていく上でローカル化は重要な課題になる。今後は部門、経営幹部にローカルスタッフを抜擢していく方針だ。これまでの店舗運営は日本人スタッフの指導とリーダーシップに頼ってきたが、今後営業の質を上げ、店舗展開を拡大していく上でも、ローカルスタッフの育成と活用が重要なカギになると考えている。
 
  来場者絞り込み成果上々「ジャパンファッションフェア」開催  
 
「ジャパンファッションフェア・イン上海2005」が11月23日〜25日、上海世貿商城で開催された。3日間の来場者数は4804人で初開催となった04年を下回ったが、バイヤーや小売関係者の数は増加。「来場者を絞り込んで、よりビジネスにつなげる」(蝉本睦・JETRO展示事業部海外見本市課長代理)という当初の計画からすれば狙い通りの成果を上げた。
今回は「COLORS」というテーマを設定し、日本ブランドの持つ色彩とコーディネート力をアピール。出品企業は04年の46社を上回る62社、うち前回出ていない新規出品企業は37社に上った。日本のファッション・アパレル業界の積極性がより目立つ形となったが、参観した関係者からは「まだ本気と映らないところもある。とりあえず、という気持ちでは成功できない」と厳しい声も聞かれた。
 
     
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