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特集
「リース」ビッグバンの胎動
〜「持つ」メンツから「使う」便利へ〜
  進む「信用インフラ」整備。「融資租賃法」の公布は来年?
中国では、設備機器やOA機器など固定資産投資に占めるリース比率はわずか1%だという。米国の30%、日本の10%と比べてきわめて小さな値であるといえ、「“青春”真っ只中の中国経済には意味を持たない」(内装会社経営の中国人社長)という声もある。「所有」へのこだわり、「面子」が、リース利用(※)を阻んでいるという側面もあるだろう。
一方、増産投資を急ぐ進出企業のニーズは容赦なく高まり、今年3月、外資企業のリース事業への参入規制が緩和されてから、外資単独によるリース会社は6社設立されている(11月時点)。そのうち4社が「日立租賃(日立キャピタル)」「富士施楽(富士ゼロックス)」「松山日新(ニッシン)」「欧力士(オリックス)」であり、日系企業の積極的な動きが目立つ。しかし、今年5月に発布される予定だった「融資租賃法」は陽の目を見ておらず、リース業に関する関連法規も未整備である。外資リース会社をめぐる訴訟案件も出てきた。
さまざまな紆余曲折を経て、「信用インフラ」整備に動き出した中国。果たして、リース業界の「ビックバン」はあるのか?中国リース市場の面貌をのぞいた。
 
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  市場発展支える「信用経済」インフラ時期尚早だった「黎明期」の進出ラッシュ
海外投資コンサルタント
 
  ファイナンスリースは「ある一定の経済発展、信用経済の基盤をもとに生まれ発展してきた」ものだと射場氏は定義する。中国がまだ計画経済に組み込まれ、外貨不足が深刻だった80年代、都銀、ノンバンクが次々に合弁リース会社設立に名乗りを上げたのは「いまにして見れば時期尚早だった」(同氏)。中国リース市場の変遷について概括する。(射場氏の談話から内容を抜粋)  
  市場の黎明から混迷期、そして再整備へ  
 
  射場和行・日本住宅株式会社首席代表  プロフィール:商社マン(三井物産)として東南アジア、中国との鉄鋼貿易、オフィスビル、マンション、工業団地等の海外事業投資プロジェクト、リース会社経営等に携わる。中国には1983年より通算15年滞在。
八〇年代、改革開放政策によって積極的な外資導入策をとり始めた中国だが、外貨ポジションは逼迫していた。鉄道、港湾、電話など国家最優先インフラプロジェクト以外には外貨を割り当てることが難しい。とはいえ、老朽化・疲弊化した国有企業に設備投資するには先進的な外国製品の輸入が必要になる――。
こうした情況のもとで、十数社に上る(その大半は日系)金融会社がプロジェクトファイナンスリース事業に参入し、国営企業への外貨立て融資を試みた。地方政府の保証や同工業部系列企業の連帯保証を担保に外資ローン(ファイナンスリース)を提供するというものだった。
しかし、四〜五年間という短期間の融資を実行したところで、多くの国営企業にとっては旱天の慈雨にすぎず、リース各社はおのずと債権の延滞、焦げ付きに悩まされるようになった。
「南巡講話」の後、市場経済への移行が加速されて以降は、電話交換機等の効率の良いリース物件を受注して良好なリース資産をそこそこ積み上げた一部の会社を除いて、大半は新規案件を諦め、「リース債権回収」に専念することとなる。
追い討ちをかけたのが九〇年代の金融環境の変化である。外貨保有高の上昇とともに外貨割当規制を緩和し、外貨直接融資が外銀によって行われるようにもなっていた。そこへ九八年の「アジア金融危機」の襲来。「ジャパンプレミアム」によってリース会社の外貨調達コストが急上昇し、多くのリース会社が精算し、撤退していった。
 
  税制メリット求めてニーズ拡大か?  
  ところでレンタル、割賦販売、リースという言葉は重複混同して使われるのが実情で、確かな定義分類がなされているとはいえない。昨今、物議をかもしている大手O機器メーカーの紛糾についても、サプライヤーと顧客側との間で結ばれた契約が「売買契約」なのか「リース契約」なのかという議論にまで行き着いて争われている。
このように幾多の課題を残しつつも、中国では近年の経済発展とともに法律的概念が社会に醸成され、発展していることも事実だ。確かな「信用経済」の基盤が徐々に形成されようとしており、大きな発展空間を備えたリース市場はますます注目を浴びてくるといえよう。
税務会計的にも、リースは原価償却同様、期間中に費用計上(加速度償却)できるというメリットがある。優良企業を対象として、節税目的のリースが早晩発展していくことが予想される。
 
  「世の魁・しんがり役」の苦闘 前人未踏の「撤退」劇 (資料提供:里兆法律事務所)  
  中国で物議をかもした破産事例に「太平洋リース有限公司」のケースがある。前例のない合弁リース会社の倒産案件に奮闘した里兆法律事務所の趙強弁護士(当時、別弁護士事務所に在籍)によれば当案件の外貌は次の如くであった。
「太平洋リース有限公司」(以下「PLC」と略す)は八五年に登録資本金三〇〇万米ドル、中国、日本側それぞれ七五%、二五%の出資によって設立した。日本側の七つの大型金融機関から受けた数千万米ドルの融資をメインに、国内外の金融機関から借入をして購入した設備を華東地域の会社に貸し出し、回収したリース料を貸付金の返済にあてていた。
だが、九三年までに累計で二七〇〇万元の利益を上げていた同公司は、その後、赤字経営に転じ、〇一年八月、二億五二〇九億元の損失を抱えていたことが監査の結果わかった。資産負債率は二三七・一九%であった。董事会は正常に機能せず、リース物件についての監督制御ができなかったことなど、経営体質、運営面ともに問題が山積していた。大量の設備が隠されたり、譲渡・売却されたりすることも多く、「リース物件として渡した時点で相手の所有物となってしまった」(射場氏)という当時の情勢を語るには典型的なケースといえるのではないか。
さらに、PLCの中国側株主の一部は、回収した米ドル債権を中国系銀行の人民元貸付金返済にあて、他の銀行に返済すべき貸付金一一〇〇万米ドル余りを流用するなどしていたという。
 
 
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