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“分衆”メディアが変える 都市風景
〜“たいくつ”空間に商機あり〜
  オフィスビルのエレベーター脇に設置されたLCD(液晶ディスプレイ)。そこから流れ出すCMについつい目を向けてしまうという人は少なくないだろう。このニューメディア市場を開拓したフォーカスメディアは今年七月一三日(アメリカ時刻)、米ナスダック市場への上場を果たした。設立からわずか二年目のことだった。 
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  都市の風景を変えたディスプレイ広告
調達資金は過去最高 上場二カ月で株価五〇%上昇
 
 
フォーカスメディアは、将来性のある確かな成長モデルで、〇三年六月のソフトバンクを皮切りに、米ゴールドマンサックス、英スリーアイなど国際的な投資会社からの出資を矢継ぎ早に獲得。IPOでは資金調達額が一億七〇〇〇万ドルに達し、中国株では過去最高額を記録した。その後も株価は好調な動きを見せ、約二カ月経った九月下旬時点で五〇%の上昇を見せている。
弱冠三二歳の辣腕CEOが率いるこの新鋭企業の快挙を、中国メディアはこぞって取り上げ、次のように評した。「このニューメディアの勢いには誰も追いつけない」と――。
 
  オフィスビルでシェア約八割 リーディングカンパニーの地位確立  
  同社は、中国五二都市のオフィスビルに二万三〇〇〇台のディスプレイを設置(〇五年六月時点)。一日に約三五〇〇万人に上る中高所得者のホワイトカラーが同社のディスプレイ広告を見ている計算だ。
中国最大手の調査会社であるCTRが主要一〇都市のオフィスビルで実施した調査によれば、各都市の優良オフィスビルトップ五〇における平均占有率は八二%、ディスプレイの設置台数から言えば七七%の圧倒的なシェアを有している。さらに、ビル側とは三〜五年の長期契約を結び、満期後の更新においても優先権を獲得しているという。
今年四月から開始したハイパーマーケットやコンビニでのディスプレイ展開は、九月には早くも単月黒字を計上した。設置台数は一八三五カ所、計一万三〇〇〇台を数える(六月末時点)。中国に約一〇〇〇店舗あると言われる大手ハイパーマーケットでのシェアは六割に達し、スーパー、コンビニなど含め、一週間に五二〇〇万人の消費者をカバーする広告ネットワークを形成している。
 
  「分衆」をターゲットとしたメディア 広告業界に「第三の波」を  
 
現在、同社の広告クライアント企業は増え続け、予約客はウェイティング状態。当初の一二分間の広告枠を二四分に延長する準備を進める一方で、新規契約については一時的にストップさせている。
では、破竹の勢いで成長を続ける同社の原動力と背景は何か。
第一に挙げられるのは「市場のセグメンテーション(細分化)」である。同社はまず中高所得層にターゲットを定めた。アルビン・トフラー氏の著書『第三の波』にあるように、現代社会が直面しているのは「分衆」化された社会である。しかし、「商品はセグメンテーションできているのに、大衆メディアの広告はそれができていない」と江CEOはいう。
「ニューリッチ」層のテレビの視聴時間は減少している。「夜・屋内」がターゲットとなるテレビは、若者ではなく中高年齢者に支えられているといってよい。ならば、「昼・屋外」にターゲットを定めたCMを打つことはできないか。それも、場所によってそれぞれ異なったニーズをもった人たちに、異なった内容のCMを流せないか――。
同社は「個性化」「差別化」された消費者への対応をコンセプトとした。オフィスビルでは携帯電話やコピー機などのビジネスアイテム、ハイパーマーケットでは日用品や化粧品、飛行場では旅行情報、最高水準の所得者が集うゴルフ場では自動車などの高級嗜好品、というように。
 
  データが語るニューメディアの底力 八〇%が「消費喚起に有効」  
 
ディスプレイ広告がこれまでになかった訴求力の高い媒体として広告主から厚い支持を得ているのは強制性という点にある。同社がディスプレイの設置場所として選んだのは、消費者が「ついつい見てしまう」空間である。
同社ディスプレイ広告の優位性を浮かび上がらせるデータがある。
ACニールセンが今年、上海、北京、広州、成都の四都市で調査したところ、オフィスビルでホワイトカラーが一日にエレベーターを利用する回数は平均四〜六回。毎回の利用に平均二・四分の待ち時間があり、一〇回待つ機会があれば五〜七回は同社のディスプレイ広告を見ているというデータ結果が得られた。さらに、調査対象者のうち八〇%を超える人が「ブランド選択に影響を受ける」「消費欲を駆り立てられる」と答えているのだ。
また、一〇〇〇人の視聴者に達するためのコスト、CPM(コスト・パー・ミル)で見ると、同社のディスプレイ広告は上海の平均テレビ広告に比べて二分の一以下となる。月収三〇〇〇元以上の中高所得者層を対象とすれば、CPMは一〇分の一以下という結果も出ている(CTR調査)。
 
 
 
  他メディアとの相互補完で 広告効果を大幅アップ  
 
ナスダックのオープニングベルを鳴らした江CEO。中国人経営者として初めての快挙を成し遂げた

ハイパーマーケットなどの売場に設置されたディスプレイは、消費者に商品購入を決心させる「決定打」として働く。「もし、テレビCMに一〇〇〇万元の広告予算を投下するならば、そのうちの一〇〇万元をディスプレイ広告に回すことで広告効果は格段に上がるはず」と江CEOは指摘している。
品質に差異がなくなった日用品の類は、売場でのインスピレーションが購入決定を大きく左右する。アメリカのある調査によれば、「売場に足を運んでから、どの商品を購入するのかを決める」と答えた人は七二%に達した。
「(テレビ広告は)攻勢に試合を展開しながら、シュートが決まらない中国のサッカーチームのようだ」(江CEO)という比喩のとおり、消費者が大型スーパーの売場に並べられた様々な商品を目の前にした時、テレビで見たブランドの印象はすでに薄れているのだという。
したがって、各売り場コーナー、エスカレーターの頭上に設置されたディスプレイ広告は、テレビなど他メディアとの相互補完性を持ちながら、消費者購買アクションを後押しする役割を果たすというわけだ。
 
 
 
  調達資金でネットワーク拡充に弾み 三年内に一・五億人をカバー  

同社にはファイナンスからビジュ アルアーティストまで、あらゆる業界 の新進気鋭な人材が揃っている。社内 トレーニングを充実させる一方で、 「市場のシェアは人材のシェア」とヘ ッドハンティングにも積極的だ。今後 はIPOで調達した資金を武器に、デ ィスプレイの設置台数をさらに拡大 させる計画を立てる。
目標は「三年内に一・五億人をカバ ーする広告ネットワークを構築する こと」と江CEO。中国の総人口の一 割強にあたる一・五億人は、中国の都 市部における消費人口の八八%を占 めると言われる。
同社が上場した翌日、江CEOは中 国人経営者として初めてナスダック のオープニングベルを鳴らした。市場 関係者にとってそのベルの音は、あた かもフォーカスメディアの次なる快 進撃に向けた号砲のように聞こえた はずだ。
 
 
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