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特集
コンビに市場に挑む
〜「ヒット商品」の舞台裏〜
 
中国は昨年一二月一一日、WTO加盟時の公約に従い、流通分野において大幅な規制緩和に踏み切っている。中国国内で一年以上、直営店二店以上を経営している外資系企業にフランチャイズチェーン(FC)方式による店舗展開を容認するとしたのだ(商業特許経営管理弁法)。

これを受けてファミリーマート、そしてC-Store(喜士多)が相次いで本格的なFC展開に乗り出すことを宣言する一方、急速な拡大路線がゆきづまり経営悪化をまねく大陸系コンビニも現れた。二〇〇五年、業界は波乱の様相を呈している。
 
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  二〇〇五年、業界地図に大異変!  
  コンビニ総数、初めて前年を下回る  
 
ファミリーマートは〇五年中に一二〇店を新設、二〇一〇年には一〇〇〇店という規模にまで拡大する計画だという。業界草分けのローソンもまた華東地域に面を広げ二〇〇〇店の開設を目標にしている。規模拡大を見越して新たな物流拠点の整備にも余念がない。一方、新たな外資参入の動向にも注目が集まる。
しかし、上海のコンビニ業界はここへ来て飛躍的な成長にストップがかかることになった。業界の成長率(対前年比)は〇二年の七六%に対して〇四年は七・八%。そして今年上半期を終えた時点で店舗総数が前年を下回るという現象が生じた。
これには国内大手として店舗数を伸ばしていた「二一世紀便利店」が傘下の五〇〇店舗を三月に閉鎖したことが大きい。ローソンや可的、ファミリーマート(全家)など他のコンビニの看板に取って代わられた店舗も少なくない。このほか、七〇店の小型チェーン「先施地利」の休業や、「85818」の「光明便利」への統合など、無計画な店舗拡大による経営破綻が続いたのが昨今の動向である。
上海零点市場調査有限公司が上海市民四〇八名を対象に実施した電話調査の結果によると、家から歩いて一〇分間以内に三つから五つの店舗があると答えた人が四四・九%、六から一〇店舗あると答えた人が三一・一%に及んでいる(二〇〇五年一月一七日東方早報)。
これを「過密状態ではない」とみなす上海市民は六一・八%に上っているが、二六〇〇人に一店という「密集度」は明らかに「市場飽和」ともいえる段階に至っているという見方が強い。資金面でのバックグラウンドに難があったり、特色を打ち出せずに単なる「小型スーパー」にとどまっている店舗に対して、「業界再編」の荒波は容赦なく覆いかぶさってくる。
 
  「二一世紀」ショックはなぜ起きた?  
  たとえば、「二一世紀」が破綻するまでの過程について地元メディアは次のように報じている。
「二一世紀」は二〇〇三年六月、CDやDVDのレンタル事業で勢力を伸ばしていた「美亜集団」が上海城開集団より二億元で経営権を取得したチェーンである。当初、美亜は、二一世紀のネットワークを利用して「カルチャー+コンビニ」というスタイルを追求することを思い描いていた。
しかし音楽ソフトとは異なり、仕入れ値の変動が激しく、品質保証期間にも細心の注意を払わねばならないのが、飲料、即食品類である。販売管理に関してノウハウや経験を欠いていたことから、二〇〇四年になって問題が続出、多くの店舗で商品棚に空きが目立ってきたという。
ある店舗では一日あたりの売上が一万元から二〇〇元まで急下降。運営コストの安い地元系コンビニにおいて一日の売上の採算ラインは五〇〇〇元とされるが、この金額を超えるのはわずか一五店舗のみだったという(二〇〇四年一二月一四日 第一財経日報)。
二一世紀は、商品が埋まらない商品棚について「卸業者を調整中」という弁明を対外的に行ったが、支払いの遅滞による納入停止というのが実態であった。
突破口を見出すべく、「二一世紀」は一つの賭けにでる。
「進場費(製品入場料)はい要らない-」。
製品入場料とは販売促進費と棚代などの名目で小売側がメーカーから受け取る収入のことである。「商品供給側は卸値をつりあげ、質の良い製品の供給をしない。コンビニが商品の陳列に特色を出せないのは入場料があるためだ」というのが同社の主張だった。
入場料撤廃の決定を「コンビニ業界の革命」とうたった「二一世紀」。しかし、事態打開の決め手にはならず、さらなる資金圧力を自ら覆いかぶるだけとなった。
六月一三日に発表された中国チェーン協会編《二〇〇四年度中国チェーン企業経営状況分析レポート》では、コンビニの粗利率は小売業界では最も高く、上海においては一八・三%に至ると報じている(二〇〇五年六月一九日 東方早報)。スーパーより高い価格設定がされているのだから当然といえば当然だ。しかし、やはり「入場料」に依存した収益構造の内情は否定できないようだ。
この「収益の源」を自ら絶った「二一世紀」。商品納入業者への代金滞納額は膨れ上がり、家賃、電気代についても多くの店舗で未払い状態だったことが報じられている(〇四年一二月一三日 第一財経日報)。
 
  中国大都市での消費は「二極分化」  
 
二〇〇五年三月二八日 に発表されたACニールセン「消費者動向調査」(北京、上海、成都、武漢、ハルピン、広州、深で実施。年齢一五〜六五歳、計七千名が回答)によると、一カ月の間に足を運ぶ量販店やスーパーは一〜三件に過ぎないと答えた人が七九%に及び、前年比一〇ポイントの増加となっている。
小売業全体での売上高の増加率は一〇%だというが、量販店での消費額が一番多いと答えた回答者が四六%。二〇〇三年より三ポイント増加している。
コンビニについては回答者の一七%が頻繁に利用していると答えており、これは前年比五ポイント増。また回答者の八五%が過去一カ月において一〜二件のコンビニを利用したと答えている。二〇〇三年の七八%に対して七ポイントの増加である。
この結果をACニールセンは「中国小売市場における両極化は日増しに激化」と結論づけている。価格志向が強い一般市民は価格の安いハイパーマーケットへ、利便性志向の若年層はコンビニへと向かう。両者の狭間にあるスーパーマーケットは苦戦を強いられ業績を下げているわけだ。ハイパーマーケットの営業時間延長もまたスーパーにとっては不利な条件かも知れない。
 
  本当の「コンビニ文化」浸透はこれから?  
  コンビニ同士の差別化競争が熾烈になってきた。
ファミリーマート(全家:上海福満家便利店有限公司)は七月半ばの時点で店舗数は六六となった。同社は、スーパーや百貨店とは異なる短い商品サイクルで商品を入れ替え、「サービスと高品質、清潔さ(いわゆるQSC)」を売り物に、若者層を中心に顧客層を広げていく戦略を掲げる。アジア・太平洋地区での二万店展開の一環として中国のFC拡大を位置づける(時事通信報道)。
二〇〇四年四月に北京に第一号店をオープンしたセブ・イレブンは当初の予定よりスローテンポで展開、店舗数は一四にとどまっている。
もし外資が提唱する「コンビニ文化」が若者たちに浸透していくとなると、地元コンビニの半数は競争力を失うといわれる。もはや雨後のタケノコのごとく急激な店舗数伸張は見込めない。あるのはサバイバル。利益をいかに上げるかより、のるかそるかの生き残り競争の段階に突入しているといえよう。
コンビニ地図の異変、激動は、メーカーの販売戦略にも大きな影響を与えている。「入場料」免除の誘惑に易々と便乗するわけにもいかない。確かな利益確保の必要と、限られた商品棚のスペースをめぐって展開されるシェア争い。差別化競争に身を投ずるコンビニ店側の思惑も入り混じりながら、メーカーの市場競争の様相も、いま新たな局面を迎えようとしている。 (編集部)
 
 
上海コンビニ略歴年表
1996年 ローソン」オープン( 七月)
「可的」オープン
1997年   「聯華快客」オープン(一一月)
2000年   「良友便利」オープン(八月)
2001年   「好徳」オープン(四月)
2002年   上海コンビニ総数約二〇〇〇店「百メートル以内に二店以上のコンビニ開店を禁止」とする規則が提唱される。(九月)
2003年   上海のコンビニ総数が約三三〇〇店に。(六月)
上海市商業委員会秘書長は「市場は博打化」とコメント。
「美亜音像連鎖公司」が二億元で「21世紀便利店」五七五店舗を買収。
「上海可的便利店」が揚州に四店舗を同時出店。大都市以外の出店は初めて。
2004年   上海のコンビニ、売上、店舗ともに成長率鈍化。前年と比べて半減。
「頂新国際」が「ファミリマート」の展開を発表。二〇一〇年までに華東地区で一〇〇〇店舗を計画。
「セブンイレブン」が北京で一号店を開業。(四月)
「国内外の優良コンビニ・チェーンを歓迎」と北京商務局局長が発表。
上海郊外で出店を続けていた香港系「先施地利便利店」が全店舗(約七〇店)を閉鎖。
商務部が『商業特許経営管理弁法』を公布。外資のフランチャイズ経営が全面開放へ。
「ファミリマート」がFC店を上海にオープン。
2005年   「21世紀便利店」が不採算店舗五〇〇店の閉鎖を決定。(一月)
「梅林正広和八五八一八」が「光明便利」に名称変更(二月)
「Fマート」上海嘉定地区に物流センター設置を発表。(三月)
(この間、ディスプレイ広告媒体がコンビニでも急増。)
「ローソン」二二〇店舗を超える「喜士多」(C-Store)、全国で店舗数二三〇店を超える。
「Fマート」六六店舗に。(七月)
 
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