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東陶機器(中国)有限公司
安部 壮一 氏(董事、総経理)
  早くから中国市場に着目、着実に事業展開
激しい市場獲得競争でトップシェア確保

中国で成功した日本企業として注目されるTOTOの中国事業戦略について、東陶機器(中国)有限公司の安部壮一氏(董事・総経理)へのインタビューをもとに紹介します。
安部 壮一 氏
  ●高級品市場でトップシェア獲得  
  TOTOが中国市場に進出したのは一九七九年、中国政府の迎賓館「釣魚台」改修の際に納入したのが第一歩である。TOTOは早くから中国の市場性に着目、「経営幹部のリーダーシップがあればこそ」(安部総経理)という明確な方針のもと、中国での事業拡大に尽力し続けてきた。高機能商品とブランド確立により、五〇〇万個と言われる高級品衛生陶器市場で、三〇%を超える販売シェアでトップを獲得している。進出後二〇年以上にわたり「中国の人と文化を学び、マーケットとの良好な関係作りに尽力していることが、難しいとされる中国ビジネスで成功している要因」(TOTOニュースレター)であるという。
八〇年代に高級ホテル、オフィスビルを中心に納入、九〇年代に入ると九四年三月に中国初の生産拠点として「北京東陶有限公司」を設立して以来、現在では生産拠点九ヶ所(北京二ヶ所、大連、上海地域三ヶ所、南京、広州、廈門)、営業所七ヶ所(北京、上海、南京、重慶、廈門、広州、深)を設立している。「商品の性格上、販売の増加に応じて工場を計画的に増設していくのが重要」(安部総経理)と説明する。
九五年にはTOTOで海外初となる統括会社「東陶機器(中国)有限公司」を設立し、意思決定の迅速化、生産・販売の連携、販売機能強化を実現した。
TOTOでは、「中国市場は世界屈指の激戦区で、世界の一流企業と競合し、互いに激しく市場獲得競争を繰り広げなければならない」として、新商品を他社に先駆けて投入、トップブランドの地位の確保に全力をあげる。
 
  ●経常利益率一〇%台維持で本社連結決算に貢献  
  TOTOの中国事業の性格は、「中国工場で生産される製品は、現在七〇%が中国市場で販売されているが、三年前は九〇%が中国市場向けだった」という典型的な内販型である。ここ数年、販売好調な米国市場への輸出や、北京、大連、上海の三工場でJIS規格認定を取得など、中国工場の技術水準が着実に上がり日本への輸出も増加している。
中国事業では〇四年、販売額が前年比二〇%増と〇三年に続き極めて好調で、〇五年度も前年比一五%増の計画と着実な成長をめざす。「売上高ではまだまだだが、経常利益の面では連結決算で本社業績にも貢献」(安部総経理)している。中国事業での経常利益率は一〇%台に乗っており、TOTO全体より二倍高い水準を確保している。
代金回収で問題を抱える日系企業が多い中、TOTOでは代金前金制を貫き、「前金制が無理なら取引がなくなってもやむを得ない」との強い姿勢で臨んでいる。
 
 
  ●TOTOを「一番購入したいブランド」として確立
  中国では内装が施されていないスケルトン・マンションの販売が多く、購入者自身がトイレ、バスを購入する方式が主流を占め、専売店での販売が重要だ。ショールームさながらに陳列されている商品を顧客が直接確かめ、十分納得した上で購入するケースが一般的。TOTOでは代理店の販売員を徹底訓練し、商品機能を十分に説明する点を重視している。ウォッシュレット、節水型便器、セフィオンテクト(防染加工商品)などの差別化商品により、シェア拡大をめざす。
最近では内装設備を揃えて販売するマンションも増えており、デベロッパーへのセールスも強化している。
「ブランドの確立が最も重要。五年前はTVのCMスポット価格も現在よりずっと安く、TVでのCMがTOTOブランドの確立に役立った。早くからブランドを重視してきた成果」(安部総経理)だという。TOTOブランドは現在、住宅設備のステイタスシンボルであり、「衛生陶器で一番購入したいメーカー」にあげられている。
今後の販売戦略では、高級イメージアプとして北京市中心部にショールーム「未来空間」(TOTO SUPER SPACE)を開設したのを契機に、専門家だけでなく一般客も対象に更なるブランド価値向上に活用していく。TOTOでは中国で独自開発した商品も市場に投入しており中国に合ったデザイン商品を重視する。アフターサービスの体制も業界に先駆けて整備している。
知的財産権対策では、「類似デザイン、類似商標は次々に出て来る一方、法的対応がなかなか難しいのが現実」だが、「TOTOの高性能を徹底的に説明し、ブランド価値を高める以外に方法はない」(安部総経理)との考えである。
人材面でも、ローカライズを徹底重視しているが、他の日系企業と同様に「中間管理職の不足」という課題に直面している。
 
  ●ウォシュレット販売拡大へ消費者の理解を得るのに尽力  
  TOTOは〇四年度にスタートした中期計画で、海外でのウォシュレット販売拡大を挙げている。一九八〇年に日本で販売が開始されたウォシュレットは現在、世界での販売個数が年間一八〇〇万個を超えるまでになっている。しかし、中国ではまだ「便器全体の五%」にとどまっており、〇五年には販売を急拡大させたい方針だ。販売価格帯は三〇〇〇元近くまで下がり、新世代携帯電話と同じ価格帯になりつつある。「水準の高い衛生機器を一度使えば、生活習慣として水準を下げるのが難しい」と、これまでの実績を背景にウォシュレットのブームに中国でも火をつけるのを狙う。
「日本ブランド製品なら高品質、高機能は当たり前で、価格が高いのを消費者にどう理解してもらうかが難しい。高品質、高機能と宣伝するだけでなく、消費者の理解を得るのに力を尽くしている」(安部総経理)と、TOTOといえども中国での新しい市場開拓は容易でないのが現実だ。
TOTOでは、ウォシュレットの海外販売で中国と米国を重視、〇六年度には〇二年度から海外販売数量で五倍以上という意欲的な計画を打ち出している。
「中国市場はまだ未成熟な段階で、消費者の購買力が上昇していくこれからが本当の勝負」と、安部総経理は見ている。高級品市場でのトップシェア確保と高い経常利益率で、中国市場での典型的な成功例と言われるTOTOだが、その視点は中国市場のダイナミックな成長の中で、新たな市場獲得を見据えている。
 
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