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三井物産(上海)貿易有限公司
瀬戸山 貴則 氏(董事、総経理)
 

新中間層にライフスタイルを提案 物流事業にも重点
三井物産(上海)有限公司の瀬戸山貴則氏(董事・総経理)にインタビューし、中国国内での総合商社の事業、販売展開について紹介します。
急増するBRICs の中間層

 

急増するBRICs の中間層
(年収3000ドル以上の人口)
出典:ゴールドマンサックス

瀬戸山 貴則 氏
  ●経済動向と商社の事業展開  
 

中国はWTO加盟以来、GDPでみると華東地域などで年率一〇%前後という高成長を続けているのに加え、貿易額は上海で前年比四〇%増(〇四年)と急拡大しています。WTO加盟により、中国政府は外国企業にも国内経済活動への参入を幅広く認める一方、国際競争力のある中国企業の育成を重視しています。例えば、中国では自動車メーカーが一〇〇社近くもあり、国際競争力のある企業を育てるには産業再編は不可欠と考えられます。一方、地方経済では産業再編推進の難しいケースもあり、中央政府のマクロコントロールなど経済政策がどの程度浸透していくか、注目されます。国際競争力のある中国企業を育てるという政策を実現する過程で、商社も大いに貢献出来ると考えます。
中国は二〇一〇年までにアセアン加盟国と原則として関税撤廃というFTA枠組み協定を締結しており、FTAに積極姿勢です。対外開放政策、貿易促進による経済成長をという方針は続いていくと予想されます。
商社の伝統的な事業分野である、鉄鋼、化学、エネルギーなどでは、中国の経済成長、貿易量の急拡大が当社の業績に寄与しています。中国政府は経済成長を支える原料、エネルギーを新しく世界中で確保するため尽力する一方、国内では資源開発を進めています。資源確保は中国にとって最優先課題の一つですが、商社の長年によるネットワーク、経験が中国でも役立つはずです。エネルギー関連では、環境保護も不可欠で、上海市では天然ガスへの転換も計画されています。
当社の中国事業では順調に利益が出ている部門も確かにありますが、全体としてはまだこれからに期待する初期段階だと考えています。コンプライアンスを重視する必要があり、本社で中国関連の専門家費用がかかっています。経済成長が順調に続けば、安定した収益を期待できる段階に入るであろうと、今後に期待しています。

 
  ●新中間層に新しいライフスタイルを提案 総合プロデューサーとしての機能  
  商社にはとかく資源開発や大型プロジェクト、貿易など川上分野に強いというイメージがありますが、当社は消費者ニーズにあったサービスを事業化すべく積極的にビジネスを展開しています。
中国の沿海地区、華東地区における新中間層(家計年収五〇〇〇米ドル以上)の消費動向が世界から注目されてます。新中間層では「食」「衣」「住」の順にほぼ充足してきており、これから生活の充実を求める時代に入るのではないかと考えます。中国の中間層人口は二〇〇五年から二〇一〇年にかけて三倍に、二〇二〇年には一〇倍に増えるとの試算(表参照)もあり、購買力のある消費者として重要なビジネスの対象と考えております。
三井物産には、コンシューマーサービス事業本部、ライフスタイル事業本部という当該部門がありますが、上海でもコンシューマーサービス事業本部対応部を最近立ち上げました。
三井物産と株式会社モック、上海錦江国際餐飲投資管理有限公司(錦江)との間で昨年一二月、ウェディングプロデュース事業の合弁契約を締結しました。中方の上海錦江国際餐飲投資管理有限公司は〇三年六月、錦江集団と、KFC、吉野家、マリオット・インターコンチネンタルなどのフランチャイズ事業を運営する新亜集団が合併し、中国では最大の総合サービス企業集団です。
モックが日本で展開しているウェディングプロデュースを実施し、年間約一〇万組の結婚需要のある上海で事業を立ち上げます。商社自身に専門ノウハウはありませんが、今後もライフスタイル分野の合弁会社をコーディネートして設立、出資していきます。
他に、教育関連事業、エステなどの美容関連、脂の少ない健康食品などを視野に入れております。食生活では「どうにか腹を満たす」という段階から、「美味しいもの、健康に良いもの」に移行しつつあるのが新中間層です。
中国の消費者に精神的満足と豊かさを感じてもらうために、「情報」「ネットワーク」「信用」などを駆使し、総合プロデューサーとしての機能を発揮していきます。
 
 
  ●物流でも積極的に事業展開 全土で「七二時間以内」の配送めざす
  物流は中国では極めて重要な事業分野です。物流を押さえれば流通全体での事業展開も有利になります。中国の広大な大地ではまだ物流網の整備が遅れており、トータルコストに占める物流コストの割合が、日本、欧米より大きいのが現状です。これまで中国沿岸部で輸出入貨物の物流サービスを手掛け、物流拠点を上海、大連、広州、青島、南京、天津、深、香港等の主要都市に展開しています。
経済活動の中心は華東、華南地域など沿海部ですが、内陸部に進出する企業も増加していますから、中国全土で物流の効率化に取り組んでいます。重慶市など内陸部の発展にも注目しています。
中国郵政の物流子会社である中郵物流有限公司と包括提携し、目指すのは「中国全域に七二時間以内での配送」です。「山の郵便配達」という映画では、郵便配達員が何日もかけて山奥まで行く苦労が描かれていました。郵政局物流子会社との包括提携により、中国全土で七二時間以内の配送を実現します。日本の郵便事業で分かる様に、中国郵政局が蓄積したノウハウを生かし、将来的に合弁会社が設立出来ればと期待しています。
小売業向けの日用品輸送やメーカー向け小口部品輸送の受注活動を展開していますが、商業分野の開放で日系企業からのニーズも高まります。
蘇州三井国際物流貿易有限公司は、三井物産と蘇州物流中心が五〇%ずつ出資した会社です。同社は商務部認可企業であり中国全土で自己名義での輸出入貿易権があり、物流のみならず商流を複合させたビジネス展開を実現しています。華東では上海と蘇州、華南では広州に、事務所を三井物産事務所に隣接して開設しています。危険品化学品倉庫、工業用低温倉庫を中国全土に展開して華東―華南との物流合理化及び中国進出の日系企業に対してジャスト・イン・タイム方式での納入体制を整えております。進出企業の調達業務のアウトソーシング受託先として活用することにより、ROA向上に寄与し、当社の与信機能も活用して製品の配送業務を請け負うことにより、運転資金の潤滑化が図られます。透明性の高い中国国内セールスチャネルを再構築できる使い勝手の良いプラットホームを提供しております。
最後になりますが、私が理事長を務めている上海日本商工クラブの活動は、上海市政府から公認を受け、今では世界でも有数の規模です。一三の部会で各業界の抱える問題解決に、総領事館、ジェトロなどのご協力をあおぎ取り組んでいます。日本人学校の建設運営への協力や上海市の老人ホームに車椅子五〇台を贈呈し、社会貢献活動も重視しています。今後も日中関係の発展、日系企業の躍進、中国人社会への貢献を積極的に推進しようと考えており、皆様のご協力をお願いします。
 
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