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13億人の食卓にトロが並ぶ日国内市場普及狙うニューカマー超低音冷凍で鮮度維持が容易に |
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日本料理の代名詞である刺身(さしみ)のネタといえばマグロのトロ。いま中国でも大都市のホテルのレストランや「日式餐庁」において、容易にマグロが食べられるようになったが、それでもなかなか本物のトロにはお目にかかれない。しかし今後は、日系企業やあるいは地場水産会社の努力により、これまで以上に豊富で質のいいマグロが出回ることになることは確実だ。もちろんトロも。狙いは在中国の日本人…でなく、13億人の胃袋である。
「あらよッと」。職人のみごとな手さばきでマグロがあっという間に解体される。こんな光景が中国の街まちで見られる日が来るかも=昨年10月、北京のデパートで(中水集団遠洋股分公司提供)= |
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中国船団による水揚げ増 ---- 日商岩井は初のマイナス60度保温実現
「中国でマグロなんて」などと思う御仁はいまや少なかろう。北京や上海の大都市の専門市場では比較的容易に手に入る。中国は、三年ほど前から国策として遠洋漁業に力を入れており、太平洋やインド洋、またスペイン沖の大西洋や地中海といったマグロが回遊する海域では、すでに五星紅旗を掲げた船団が獲物を狙って遊弋(よく)している時代である。ただ、水揚げ後のその流通に変化が押し寄せ、自前のマグロを自国で消費しようとする動きや、他国からの輸入が目立つようになっている。 |
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高所得層がターゲット |
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マグロの中国市場投入が活気づいているのは、ひとつには中国船による山東省や遼寧省での水揚げが増えつつあることと、インドネシアやタイなどの東南アジアなどからの生マグロの輸入が確かな束となって推移していることがひとつ。さらに、後述する日商岩井の合弁現地法人が、遼寧省大連市で、超低温冷凍により保存した輸入マグロを国内流通させようと挑戦を始めたことなどが上げられる。
山東省の威海や青島などの大手水産企業の五社は、台湾系資本や日本の技術などを直接間接的に導入し、鮮度の高いマグロの国内流通を進めている。もちろん出荷先は北京、上海や広州といった大都市が中心。現地に居住する日本人の消費を無視していないとはいえ、当然リッチになって舌が肥えた中国人高所得層もターゲットとしている。
こういった専門業者は低温冷凍によるマグロの流通を心がけているが、泣き所は出荷先に同様の冷凍倉庫などの確固たる拠点がない限り、安定した大量投入が難しいところだろう。もちろん、事前に販路を確保し準備整えた上で、天津などを基地としてマグロを取り扱おうという日本の総合商社もあるようだ。
実際、四月からニチメンと統合し「双日」となる日商岩井は、率先したかたちで、中国初の零下六〇度という超低温保存によるマグロ物流に乗り出している。 |
| 中華料理の食材応用も |
大連のシンボルのひとつ大和尚山のふもとに当たる大連保税区では、三月一九日、ひときわ大きな打ち上げ花火が鳴り響いた。日商岩井が投資する遼寧省大連市の現地法人、大連翔祥食品有限公司がグランドオープンし、「マグロの翔祥」という大看板を掲げたのだった。
大連翔祥食品は日商岩井が五一%を、また大連子島漁業集団股分有限公司が残りを出資する合弁会社だ。子島漁業集団は本来、大連沖の長山群島を本拠地とし、ホタテガイやアワビ、ナマコといった水産物を生産する。今回、設備はすべて日本から、またマグロは地中海などの海外から輸入しながら、製品となる冷凍マグロの出荷は中国国内市場専門と銘打った。
これまで、中国で「海鮮」と呼ばれる高級水産物は対日輸出用であり、投資先はまず輸出基地となる。しかし、同社の場合、「中国を消費市場として見、さしみに使う日本伝統のマグロを流通させるのがコンセプト」として、西村卓美総経理の説明は明快そのものだ。現法開設式典に出席した日商岩井の伊藤伸明・生活産業カンパニー社長も「夢とロマンがあり、また挑戦的なプロジェクト」と指摘する。
中国での普及といっても、生ものを忌避しがちな中国人の食卓に載せられるようになるまでには相当の年月がかかろう。しかし、西村総経理は将来、大消費地近くにデポを設ける計画を持っており、また自前のレストランチェーンを作ってでも、マグロの味を伝えたいと強調し、自信を隠さない。消費の増大には、さしみばかりでなく、中華料理の食材としての応用も可能性が高いからである。 |
| ガスマグロ追放し市場急変期す |
大連翔祥食品の戦略の裏には、これまで中国で食べられていたマグロが本物でなかったために、本来なら美味なさしみの確実な浸透を妨げていたとの見方が映る。それが「COマグロ」とか「ガスマグロ」と呼ぶ、色変わりと腐敗を防ぐ効果のある一酸化炭素をしみ込ませたマグロである。日本でガスの使用はまずないが、中国では「日式餐庁」でも広く出回っていたという。
関係者は超低温冷凍により脂肪の酸化などを防ぐに抜群の効果を有するマグロが普及した場合、たちどころにこれら悪漢は一掃され、消費も急速に増加するものと見て期待している。
もともと世界におけるマグロの年間漁獲量は二七〇万〜三〇〇万トン。そのうちの五〇万トンがさしみとなるが、うち九〇%を消費するのが日本である。一方、中国では北京、大連、上海の三都市で、二年前のデータでも六〇〇〜一〇〇〇トン程度の消費と見られている。だが、大連翔祥食品などの動きが刺激となり、また中国船団自前のマグロも投入されるようになれば、まさに「国産マグロ」の勢いは高まろう。
関係者によると、中国船籍のマグロ漁船は現在一五〇〜一七〇隻。世界全体のマグロ船約二〇〇〇隻の一〇%以下だが、日本を含めた世界の消費が伸び悩み、乱獲保護の観点からの漁獲抑制が続くいま、中国船の存在とその小さくない効果がクローズアップされつつあるのは確かだ。 |
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新規投入に腕さする地場水産企業も意欲 ---- 訪問 中水集団遠洋股分有限公司
昨年一〇月の国慶節連休の際、デパート「北京荘勝そごう」においてマグロの即売キャンペーンを実施した水産会社があった。日系ではない。国有系の中水集団遠洋股分有限公司である。北京っ子にほんものの「海鮮」試食の機会を提供しただけでなく、マグロの成長、捕獲、加工および食べ方などの知識を提供した。さしみの美味に驚いた消費者が直接購入していく。「中国マグロ市場」の将来を占うものとして、関係者に好感をもって受け止められている。 |
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中水集団のキャンペーン時、日本で専門技術を培ってきたスタッフによるデモンストレーションが行われた。三〇分で一メートルのマグロ一尾が皿に盛られたさしみにさま変わり。これまで、生臭いさしみなど見向きもしなかった消費者層がピンク色の肉片にしたつづみを打ったのだった。
この結果を受けたわけではないが、農業部漁業局は同集団の動きに連動するかのように年が明けた一月一六日、北京でマグロ市場宣伝普及会を開催した。世界栄養学会が推薦する三大栄養魚の一つであるマグロは、まもなく国内一般家庭の食卓に並べられるであろうことを予感させた。
ここ数年来、中国の水産行政主管部門および中国漁業協会は、常に国内のマグロ消費市場の開拓、消費知識の普及、キャンペーンなどの実施に力を注いできた。一月の「普及会」では目を見張るその進展の成果を見せた。
まもなく北京ではコールドチェーンのモデルシステムが確立する。中国が日本のマグロ消費における成熟した経験と技術を吸収、消化に役立て、高品質のマグロを全国の消費者が味わうことになる。
中水集団は、主に遠洋漁業と関連産業の運営や技術協力などを担う、株式制の上場企業であり、規模、実績ともに中国最大を誇る総合水産業者である。中国水産集団総公司の発起により一九九八年に設立登記。遠洋漁業、製品加工、貯蔵、運輸、水産物と漁船・機器など関連物資の輸出入、また対外経済技術提携と労務輸出などを事業とする。
現在、中水集団は世界三〇ヵ国・地域に六十余りの子会社と在外機関を設立している。
改革開放以後、中国沿海地域の資源開発についても開放されたことで、中水集団も遠洋漁業などの事業を展開。その後、マグロの捕獲・加工・貿易などは重点商品となった。
マグロは自前の船団が捕獲し、船上加工ののち帰国する。本年は、鳥インフルエンザの勃発により、肉類製品の輸入禁止対象となる国・地域が増えたこともあり、消費者の水産製品に対するニーズは高まっている。 |
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活魚と鮮魚の消費急増
首都市場 今秋にはマグロ投入見込む |
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1.市場概況 |
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昨年、北京における水産物品の消費量は二〇万トンに達した。ここ一〇年間の最高記録である。最も顕著な変化は活魚と鮮魚の消費量の急激な増大であり、すでに冷凍魚の消費量を上回っている。相反して冷凍魚の販売量は大幅に減少し、例年と比較して四〇%減となった。
鮮魚の主な品目には、タチウオ、養殖イシモチ、マナガツオ、カレイ、ヒラメ、ボラ、サワラ等がある。市場における小売価格は、平均して五〇〇グラム(以下同じ)二〇元前後である。
養殖イシモチは脂肪分を高くしているため、販売価格が下降している。販売量からみても、タイやミャンマーから輸入される天然イシモチに及ばなくなった。
タチウオの販売価格は一〇〜一五元で、冷凍ものの倍の価格である。しかし、これまで長い間日常的に食されてきたその伝統性から、価格が多少高めでも市場におけるタチウオの認知度は最も高い。
活魚には、大衆的なコイやソウギョ、フナ、コクレン、また比較的高価なニジマス、ウナギ、桂魚(ケイギョ)、タイ等がある。近年来、食感や肉質が急速に悪化したため、コイはレストランから姿を消した。
高級魚市場の中で最も良く売れているのは、小売価格が四〇元前後のケイギョである。また、ナマズも非常によく売れている。貴州の酸湯魚や重慶の水煮魚などの料理は主にナマズを使用する。目下、ナマズの小売価格は一五元前後であり、ニジマスより三〜五元高くなっている。
二〇〇三年の北京の水産品市場における主役は、日本人のあいだで上海ガニと呼ばれるチュウゴクモクズガニと、ホワイト系エビである。エビが魚よりも良く売れ、さらにカニがエビよりも売れるといったにぎわいを見せた。特にブランドガニの人気が高く、二五〜一六〇元と幅広い。
チュウゴクモクズガニのうち陽澄湖ブランドのものは、一尾が二〇〇グラムのものでも一二六元の高値である。これは普通の淡水ガニの五倍である。一尾四〇〇グラムのものになると、一六〇元で売られている。この例は、ブランド品が市場において優勢を誇る時代が到来したことを示している。
南アフリカのホワイト系エビは、二五〜三〇尾であり、小売価格は一五〜一八元と下降傾向にある。売場面積が一万平方メートルにもおよぶ巨大な市場でも、十数平方メートルしかない小さな市場でも、また道端の露店でも、とにかく水産品が売られているところであればどこでもエビやカニが売られている。いずれも、すでにこれまでの高級食材の領域からはずれ、大衆的な食材となった。 |
| 2.市場シェア六〇%を占める北京市水産総公司 |
北京の水産品市場では、北京市水産総公司の影響力が大きい。一九八三年に設立された同総公司は、魚の養殖、遠洋漁業、水産品加工、飼料生産、卸市場等を営む二二の子会社を擁し、年商は四〇億元。北京水産品市場において六〇%のシェアを持つ巨大企業である。
同総公司は数十隻の漁船と輸送船を持ち、西アフリカ、ミャンマー、太平洋等の海域で漁をしており、年間捕獲量は約一万トンに達している。水産品および総合卸市場における取引額は年間二五億元に上る。養殖は、クルマエビ、ベニマス、サメ等が主な品目である。 |
| 3.北京の主要な水産物市場 |
北京には一四の主要な水産物市場がある。中でも最大規模を誇る天民水産市場で取り引きされる水産物は百種類を超え、年間取引量は四万トンに及ぶ。北方中国地域における最大の活魚・鮮魚の集散地である。国産品以外にも、アメリカ、ノルウェー、カナダ、オーストラリア、南アフリカ、香港地区等の産品があり、北京、天津、河北、山東、河南、遼寧、吉林、黒竜江などに出荷されている。
天民水産市場に続く規模を誇るのが大紅門東海水産品批発市場である。市場面積は三万平方メートルに達し、一〇三二店舗を擁する。
他にも比較的規模の大きな市場として、北京紅橋水産批発市場、華_岳各荘水産交易中心、四道口水産公司等が挙げられる。なお「批発」は卸というよりホールセールを意味する。 |
| 4.マグロ |
中国でマグロ漁を行っているのは主に中水集団遠洋股分公司、北京市水産総公司、広東省南洋漁業公司、山東省中魯遠洋(煙台)食品有限公司、寧波高科海洋技術開発有限公司、寧波竜氏水産有限公司、煙台金港水産有限公司の七社である。主なマグロの品種には、キハダ、カツオ、ビンナガ等がある。
北京市水産総公司は三隻の超低温マグロ漁船を擁する。〇二年四月二九日、太平洋の漁場に向けて初の船団を出航させた。漁船は排水量五二〇トンで、船長五五・七五メートル、船倉四三八立方メートルである。ことしの国慶節には、北京市場にマグロが登場する予定である。 |
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