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中国で売る!
ブランド浸透にオリジナル路線 巻き返し誓い新たな一歩
第5回〜サッポロビール

 
内外資本入り乱れ、群雄割拠といわれる中国のビール市場にあって、そのブランド名はなかなか出てこない。攻めの姿勢に転じるべく、中国で新たなスタートを切ったサッポロビール。これまでにない市場へのアプローチ方法が浮上のカギを握る。
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井上俊浩・首席代表
世界最大のビール消費国で、今後も年率五〜一〇%の拡大が続く見通し。外資大手によるM&Aのニュースも飛び交い、さも活況を呈しているかのように見える中国ビール市場だが、業界各社に余裕は感じられない。サッポロビール上海代表所の井上俊浩・首席代表も「所得層、エリアごとに消費構造が複雑化している。市場をつかみにくい」と厳しい表情を浮かべる。とりわけ同社は、北米市場で日系メーカーのトップを走りながら、中国では満足のいくパフォーマンスを演じ切れていない。  
「内資、外資ともにそれぞれ戦略の方向性が異なる」(井上氏)という中で、サッポロビールは多くの外資メーカー同様、高所得者層にターゲットを絞った高級ビールを展開。現地で生産する「三宝楽(サッポロ)」ビールの大瓶、小瓶を沿海部中心に販売するほか、「エビスビール」をはじめとする輸入品も扱っている。〇四年の夏には日系レストランを中心に低価格のサブブランド「北海道の味」を投入したが、「いわゆる薄利多売で、続かなかった」(井上氏)。  
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4月17日に行なわれた新製品発表会。「札幌」を記した新ラ ベルが披露された
だが、厳しい環境下にあって市場も徐々に変わりつつある、と井上氏は見ている。米国市場では九〇年代初頭、健康志向の波に乗って日本食ブームが起き、日本酒、日本産ビールの市場が拡大。日本食レストランも日本人向けから、現地人向けへと広がりを見せた。今の中国は、当時の米国と重なる部分があるというのだ。  
ビール好きの日本人であれば誰しも感じてしまう中国ビールの「薄さ」に関しても、「日本のビール市場も一〇年、二〇年単位で見れば味は変わっている。確かに今は爽快な薄味が好まれているが、食生活ももはや中華料理一辺倒ではなくなった。黒ビールの投入など、各社も目先を変える動きに出ている」と井上氏はいう。
店舗以外での缶ビール販売に傾注
サッポロビールは今年に入り、総代理店を設けて販売網を整備した。さらに今夏、樽
生と缶ビール(三五五ml)の販売を開始し、反撃に転じる。新商品の投入にあわせて、大瓶・小瓶のラベルも刷新した。「海外ブランドと認知してもらえないところがあった」(井上氏)という「三宝楽」に加えて、中国人にも人気の高い観光地である「札幌」を記して、日本のブランドであることを強調していく。
缶ビールの投入は、コンビニやスーパーでの売上に期待が膨らむと思いきや、井上氏は首を横に振る。「並んでいる割には、意外と売れていない。ビール各社にとって悩みの種」。
ビールは圧倒的に家庭需要が高い中で、一般消費者は缶よりも割安な瓶を買う傾向があり、それも購入場所はコンビニやスーパーではなく、いわゆる「キオスク」がメインとなるからだ。
同社の缶投入の狙いは、別のところにある。ホテルやカラオケのほか、中国では特にレストランでも缶が出されるところが多く、スーパーやコンビニ以外の「特定の需要」に焦点を当てる。また飲食店では、今後樽生ビールの需要が間違いなく増えると見ており、和食店ばかりでなく中華レストランにも販促活動を積極的に展開していく計画だ。
「今年はやり方を変えたという意味で、一年目のスタート。今から他社と同じことをやっても、差別化は難しい」と井上氏は強調する。北海道フェアなどとのタイアップキャンペーン、アンテナショップとなるビアレストランの展開――。井上氏は中国市場に即した新しいアプローチの仕方に思考をめぐらせている。