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連載
宮城信彬の不動産ニュース VOL.17
 
市場の「過熱」防止に一役かった「七部委意見」
周知のとおり、去る六月一日より「七部委意見」が施行され、上海を含めた全国の不動産(分譲住宅)業界では大きな変化を見せています。特に上海では去年から不動産バブルとの声が囁かれ続け、大きな注目を受けていただけに、今回の新制度は予想以上の反響があるようです。今月のこのコーナーでは、施行より約二カ月経った市場の変化および今後の展望を占ってみたいと思います。
「今月のニュース」
「七部委意見」とは、去る五月九日、建設部、国土資源部、国家発展・改革委員会、財政部、人民銀行、税務総局、中国銀行業監督管理委員会が、全国の省・民族自治区、中央直轄市の政府に対して通達した不動産に関する政策要求である。
その内容は、「転売に関する営業税の徴収を徹底」「住宅の需給構造を改善」「土地開発の管理を徹底」「住宅ローン等の金融リスクを低減」「普通住宅(標準タイプの住宅)に対する優遇政策を明確にし、合理的な住宅建設と住宅消費を引き出す」「エコノミー住宅の建設を強化し、廉価な賃貸住宅制度を後押しする」「市場を整頓し秩序確立に注力し、市場における情報公開の制度を改善する」といった項目である。
宮城信彬の不動産ニュースここがポイント
解説
昨今の不動産過熱は全国的に広がり、中国政府はこれまでに次々と市場をクールダウンさせるべく政策を打ち出して、バブル防止に努めてきた。その背景には、人民元切り上げを見込んだ外国資金の投機的な流入も存在する。
「七部委意見」の項目の中で、特に注目されるものは、「転売に関する営業税の徴収を徹底」であり、これは今後中国政府が投機的な不動産投資を徹底的に制御するという明確なメッセージであり、市場に強烈なインパクトを与えるものである。
具体的には、“一般クラスの住宅購入後二年以内に転売した場合、売却総額に対し五・五%の営業税が発生する”、“高級住宅の場合、購入後二年以降に転売の場合でも、キャピタルゲインの部分に対し営業税が発生する”というものである。
一般住宅と高級住宅の区別は各地方政府によって決定される。具体的には、周辺の住宅の平均販売価格と比較し、ある一定基準を超えるものを対象と見なす(北京では一・二倍以上、上海一・四四倍以上)。
同政策が発布され、施行までに約三週間の時間があり、その間に売却しようと多くの住居保有者が仲介業者に殺到した。その中には一人で一〇部屋以 上を保有する者も多く見られた。これらは投機目的の購入者で、政策が施行され営業税をかけられる前に慌てて売却しようとした者も多かったと予測される。
CB RICHARD ELLIS
予測どおり、六月一日の施行以後は転売希望者が激減し、販売価格が下がっているエリアも見られる。特に外環路付近の物件は価格が下がっているものが多く、平米あたりの単価が数千元下がった物件も見られる。しかし、内環路以内の物件価格は多少下がった程度で、大きな影響を与えていない。
前述のように、売買案件が減少し、暫くは市況を静観しようという動きが多くを占める。投機目的の購入も大きく減少したと見られ、今回の政策がマーケットの正常化に繋がった形となった。今後は、来年にかけて販売価格は小康状態を見せながら、横ばいになると予測される。
上海の国際的な役割を考えると、現在の不動産価格は小休止状態であり、長期スパンで考えるとまだまだ成長過程であるという見方ができるだろう。そもそも他のアジアの区域と比べても五〜六年前の上海の住宅価格が安過ぎ、ここ数年間の上昇幅がバブルに見えただけであり、今後上海が国際都市として順調に成長を遂げるという大前提の下、不動産価格も上昇すると言える。
その上がり方をうまく調整すべく政府の試行錯誤が続いていくのである。
 
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