Walker
中国最新情報満載!!
巻頭インタビュー
フォーカスメディア 江 南春 CEO 中国を轟かした「詩人」起業家
  成長を 続ける中国の広告業界に新 たな風を吹き込んだ江南春氏。 フォーカスメディアの株式約30%を 保有す る同氏は、上場と同時にフォーブスの富豪 ランキング上位に名を連ねる富を一夜にし て手に入れた。かつては詩人を目指した弱冠 32歳の経営者。彼はいま何を想い、目指して いるのだろうか。
1973 年3月、上海生まれ。晩唐の詩人、杜牧 の有名な詩を思わせる「江南春」という名前の通 り、かつては詩人を目指し、自作の詩集を出版し たほど詩の才能に恵まれた文学青年だった。だ が、親がつけた名前の由来は「生家の部屋が南向 きで、生まれたのが春だったから」と本人は笑い ながら話す。
華東師範大学在学中、夏雨詩社の社長、学生会 の主席を務める。主席は前例のない2回生での 選出だった。彼の前年に学生会主席を務めた稽 海栄氏(分衆伝媒・副総裁)は「卓越した行動力 とプレゼンテーション能力は当時から変わらな い」と語る。
さらに在学中、広告代理会社「永怡伝播公司」 を創設。同公司は、90年代終わりには年間売上 が 1億元を超えるなど華東地区最大のIT広告 代理店にまで成長した。しかし、市場競争が激化 による業界全体の粗利益率の急激な低下で事業 形態の転換を模索する。
永怡伝播のクライアントだった上海盛大網絡 の陳大橋 CEOのビジネスモデルに啓発を受け、 「誰も乗っていないバス」であるディスプレイ広 告に可能性を見出す。IT方面の広告を強みとし ノウハウを蓄積していたことも新事業の発想や ハードの開発委託面で役立った。03年5月に 分衆伝媒(フォーカスメディア)を設立。以後、米 ゴールドマンサックスや欧州最大のベンチャー キャピタルである英スリーアイ(3i)社等から巨 額の融資を受け、ディスプレイ広告を全国展開 する。05 年7月、ナスダック上場。
 
 
フォーカスメディア 分衆伝媒(中国)投資有限公司
Focus Media

上海市江蘇路369号兆豊世貿大厦28-30階
TEL:(021)3212-4661
FAX:(021)5240-0228
URL:http://www.focusmedia.cn
 
  ● ナスダック上場から数カ月が経ちました。現在の心境はいかがですか?  
  平常心ですよ。上場はあくまでも成長と発展に向けた一歩に過ぎません。この後の道のりの方が長いのですから。
もちろん、急スピードで駆け上がっていくことへのプレッシャーはあります。でも、それだけ毎日がチャレンジですし、むしろそれを楽しんでいるところです。レイナー・リルケとアンドレ・ジイドは私の好きな作家のひとりですが、ジイドは著作のなかで「面白き世を送るために精進した」と述べています。私の場合ですと、「面白き世に住みなすものは更なる精進なり」といったところでしょうか。
 
  ● 株価は好調に推移しています。市場から好感される理由はご自身で何だとお考えですか?  
 
  「巨財」を築いても「お金は使わない主義」。ささやかな「贅沢」は、ヒーリングを兼ねて通う足ツボマッサージ。
中国市場に相応しいビジネスモデルであることが理由のひとつに挙げられるでしょう。
欧米のオフィスでは人の数に対してエレベーターの数が多い。その分、CMを見るための待ち時間が少なく、成功しにくいビジネスモデルと言えるでしょう。中国市場にマッチしているというのは、文化的背景とも深く関係しています。欧米のオフィスビルにディスプレイを設置したとしても、それは音のない画像だけのものになるでしょう。静寂を好む欧米人に対して、賑やかな環境を好むのが中国人です。
また、ソフトバンクから融資の話が持ち上がった際に、私はこのように説得したんですよ。ホワイトカラーが一日に見るテレビ広告は(テレビを視聴する時間を一時間として)わずか五分に過ぎない。しかし、この五分の視聴が五〇〇億元の市場を生み出しているのですから、戸外でのニッチな時間をターゲットとしたディスプレイ広告にはより大きな発展空間があるはずだ、と。
 
  ● エレベーターの待ち時間に着眼したきっかけは何だったのでしょうか?  
  二〇〇二年の年初、上海の徐家匯にある太平洋百貨店でのことです。エレベーターに急いで乗ろうとした寸前でドアが閉まり、目の前に真っ赤な下着を着けた女優さんの姿が現れたんです(笑)。ドア自体が女性の下着広告だったんですね。
その時、ハッとしたんです。「エレベーターの待ち時間に見てもらえるようなCMを流せないか」と考え、すぐにビル管理会社と交渉しました。でも、CRTのテレビでは場所を取り過ぎる。ならば薄型のLCDではどうだ――。メーカーとも何度も交渉し、開発を進めました。〇二年の八月に試作品が完成し、一二月には著名ビルのいくつかにLCDを設置することができたんです。
 
  ● 中国の広告市場をどのように見ておられますか?  
  先日、アメリカで開かれたメリルリンチ主催のメディアカンファレンスに出席し、「中国ニューメディアのトレンド」というテーマで講演しました。
その内容を簡単に説明しますと、〇四年の中国広告市場はアメリカ、日本、イギリスに次ぐ世界第四位の規模となっており、〇八年には第二位に躍進すると見られています。
ところが、人口一人当たりの広告費用は六ドルに過ぎません。これはアジア各国の平均の三分の一程度です。潜在的な「発展空間」は極めて大きいことが分かります。広告市場の成長率は、GDPの約二倍となる一五〜二〇%で伸びており、〇四年は一七%増でした。これが〇八年には四〇%に達すると予測されています。
この成長の背景にはメディア構造の変化があります。従来メディアはニューメディアによる大きな挑戦を受けています。テレビ広告の〇四年の売上額は前年比で一一%増となりました。各チャンネルの統合・再編によって広告単価が三五%値上げしたにもかかわらずです(※編注)。これに対し、インターネットは八〇%増、デジタルアウトドア広告(ディスプレイ広告)は一一九%増と急成長を遂げています。
この流れを受けてメーカーの動きにも明らかな変化が見え始めました。アメリカの大手日用品メーカー、P&Gはこれまで一貫してテレビ広告を重視する保守的な企業でしたが、今年に入り中国地区のPRマネージャーがニューメディアへの投資を発表しています。
 
  ● ニューメディアの中でも、御社は セグメンテーションによって成功を収めました  
 
  大学時代、学生会主席に立候補。原稿なしで演説したことが語り草となっている。抜群の記憶力とよどみないスピーディーな話し振りに聞く者は圧倒される
従来メディアの中でも、雑誌広告の売上げは〇四年で四八%増となり、健闘していると言えるでしょう。これは、雑誌がセグメンテーションの傾向をより強く持っているためです。
我々は広告市場のセグメンテーションを考える上で、テレビを見るのが夜の家に居る時に限られているということに着目しました。そこで、消費をリードする中高所得者のライフスタイルと照らし合わせた場合、この「夜」と「家」というテレビのキーワードが当てはまりにくくなっている。ホワイトカラー層は仕事が忙しくて夜にゆっくりとテレビを見る時間が減っていたり、仕事が早く終わっても外で食事やお酒を飲む機会が増えていたりするためです。
ならば、ホワイトカラー層向けに昼間のTVコマーシャルを作れないものか。より興奮している昼間にインパクトを与えることで、広告効果も上がるはずだと。
セグメンテーションの発想から、結果的にエレベーターの待ち時間を活用することになりましたが、この「待ち時間」をとらえることができたのもひとつの成功のカギと言えるでしょう。ナスダックに上場する他の中国企業を見ても、インターネットのポータルサイトやオンラインゲームなど、たいくつな時間の集積を大きな利益に結びつけたという共通点があります。その意味で、中国の「たいくつ産業」はひとつのトレンドと言えるかもしれませんね。
 
  ● 日系企業に対してどのようなイメージをお持ちですか?  
  私はまだ日本に行ったことがなく、詳しいことは言えませんが、日本経済は徐々に回復に向かっているとの印象を持っています。日系企業はグローバル市場で強い競争力を有しており、海外になかなか出られない中国企業との違いがここにあると思います。
正直に申しますと、日系企業はアメリカ企業に比べて少し硬く、保守的なイメージを抱いていたのですが、当社がディスプレイ広告を開始して間もなく、日系の大手企業はすぐにこのニューメディアを試し始めました。新しいサービスに対する迅速で柔軟な対応は、それまでの日系企業に対するイメージを覆すものでした。 また、それはグローバル展開に長けている日本企業が、中国重視の姿勢をより鮮明にしていることのあらわれとも言えるのではないでしょうか。日系企業は近年、中国市場を非常によく研究、分析していると感じています。
当社のクライアントは外資企業と中国企業が半々ですが、日系企業は外資企業の中でもアメリカ企業に次ぐ多さで、全体では約二〇%を占めています。
 
  ● 最後に読者の方へのメッセージをお願いします  
  当社をご支持いただいている日系企業のクライアントに対して、この場を借りてお礼をさせていただきたいと思います。当社としましては、今後もより有効な媒体の構築に励み、中国ビジネスの成功に少しでもお役に立てればと考えております。(了)
二〇〇五年九月二五日
編集部取材
※ 二〇〇一年八月に上海人民広播電台、上海東方広播電台、上海電視台、上海東方電視台、上海有線電視台などテレビ・ラジオ局が統合して上海文広新聞伝媒集団(SMG)が設立。これによって従来あった上海の全チャンネルはニュース総合、生活、衛星、ドラマ、財経等々、ジャンル毎に再編成された。
 
ウォーカーチャイナ今月号
巻頭インタビュー
特集
Business Event Schedule
Business Scene
企業レポート
連載
中国ビジネス相談Q&A
私も起業家
知的法講座
China Economic Review「全国」
China Economic Review「上海」
その他
上海、北京、中国全土の広告掲載について
ウォーカーオンラインではバナー及びテキスト広告スペースを用意しております。
広告掲載ガイド 掲載の受付