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巻頭インタビュー
システム運用管理ソフトウェア「JP1」を先陣に
中国市場へ快進撃を続ける、日立のITソリューションビジネス

  さる6月22日、ソフトウェアに関する「国際シンポジウム」が大連で行われた。マイクロソフト、HP、IBMら錚々たる顔ぶれが出揃うなかで、日本企業として唯一講演したのが日立だった。薄煕来商務部部長、夏徳仁大連市長らが講演するなど政府レベルでも注目を集めた舞台で、日立信息系統(上海)有限公司・森内康浩董事長は日立の中国におけるITビジネスへの取り組みについて講演し、グローバル企業としての存在感を改めて参加者に印象づけた。舞台を変えて、7月29日の北京。ミドルウェア製品「JP1 V7i(Version7i)」の機能強化に関する記者懇談会で、森内董事長とともに製品の対外アピールとメディア対応に当たったのが、日立製作所ソフトウェア事業部・中村孝男事業部長である。両氏が手を合わせ指揮にあたってきた同社のソリューションビジネスは、「JP1 V7i」の本格的な市場投入で新たなステージを迎えている。両氏に「グローバルIT企業」としての中国での活動を聞いてみた。  
 
(左)日立信息系統(上海)有限公司 森内康浩董事長
(右)株式会社日立製作所ソフトウェア事業部 中村孝男事業部長
日立信息系統(上海)有限公司
Hitachi Information Systems (Shanghai) Co., Ltd.

中国上海市茂名南路205号瑞金大厦2401室(浦西事務所)
              TEL:+86-21-64731244
              FAX:+86-21-54562339
URL:http://www.hiss.cn/
      設立:2002年2月
      資本金:250万米ドル
      株主:(株)日立製作所、日立中国有限公司
      拠点:上海総公司、上海浦西事務所、
              北京分公司、広州分公司、蘇州事務所
      従業員数:150名(2005年9月現在)
      事業内容:コンピュータシステム製品の開発と販売、コンピュータシステ
ムインテグレーション、自主ソフトウェアの開発及びERPシス
テムコンサルティングと導入支援
 
  ● 「グローバル日立」ブランド  
 
株式会社日立製作所ソフトウェア事業部 中村孝男事業部長
「中国のメディアの人たちはずいぶんと勉強していますねーー」。
開口一番、日立製作所ソフトウェア事業部の中村事業部長は感嘆の表情を見せる。
七月二九日、日立信息系統(上海)有限公司は北京ヒルトンホテルにて記者懇談会を開催、システム運用管理ソフト「JP1」シリーズの新機能に関する説明を地元メディア向けに行った。中村事業部長は中国人記者たちから浴びされる様々な技術面での質問に接し、今後の市場展開に確かな手ごたえを感じたに違いない。
「JP1の認知度は著しく上がってきている」と森内董事長は自信を見せる。ある調査会社が中国企業三六〇社を対象にして行ったシステム運用に関する意識調査によると、「JP1」の認知度はシステム運用管理ソフトウェア部門においてコンピュータ・アソシエイツ社やIBMの製品に次ぐ三位につけた。とかくアメリカ企業の勢力に押されがちなソフトウェア部門において、一矢報いた形だ。
もともと、中国における「日立」の知名度は申し分ないが、まだ多くの中国人にとってのイメージは「テレビ、家電」である。ところが、中国における日立の情報通信事業の歴史は長い。一九七〇年代から中国と関わりを持ち始め、七八年には北京中央気象局との合作プロジェクトが始動、コンピュータを同局に納めている。その翌年にはオフィスを北京に開設するなど、常に時代を先取した動きを日立は見せてきた。二〇〇五年三月現在、中国における日立の関連企業、機構は一二二を数えるまでになっており、日立は二〇〇六年に中国ビジネスの売上げを七〇億米ドルに伸ばし、そのうち三〇%を情報通信システムの領域でまかなうという目標を掲げている。
中国でのブランド認識においては、まだまだイメージという点において同社の思惑と現実には若干ズレがあるのが現状だ。しかし、「JP1」という新しい風が中国IT市場に吹き込まれたことで、「グローバルIT企業」のプレゼンスも一気に高まっていくのではないだろうか。
 
  ● システム運用管理のニーズとJP1  
 
北京ヒルトンホテルで行われた記者懇談会で講演する森内董事長(7/29)
システム運用管理ソフトの潜在市場は大きい。
「(前述の調査によれば)七二%の会社が自社のシステム運用の現状に満足と答えているが、依然人手に頼って運用している割合は七六%」(森内董事長)という。しかし、四六時中、安定したシステム運用を人力だけに頼るのは無理がある。
操作人員による誤操作、機密漏えい、あるいは担当者のジョブホップなど、リスクを挙げだしたらきりがない。日立信息系統(上海)有限公司・軟件事業開発部・森保治部長は「中国企業は現在、情報システム化を進める上で全体的な計画を欠きがち。不断に最新のIT技術を導入しながら、一方でシステムのバージョンアップやカストマイズを続けるうちにシステム間の連携が取れなくなっている」と指摘し、「JP1 V7i」導入による企業システムの効率の向上や安全性・安定性の確保といったメリットを強くアピールする。
日立信息系統(上海)有限公司 森内康浩董事長
大幅な人件費コストの削減を見込むことで、企業は新たな投資機会や発展の可能性を追求できるという点でも意味は大きい。
日本のシステム運用管理ソフトの市場二七・三%を占め(富士キメラ総研調査)、七年連続でトップシェアを誇る「JP1 V7i」。中国でも、二〇〇三年七月の販売開始以来、すでに数々の賞を受けている。
しかし、「日本で一番、といっても使ってもらえるものでもない。中国で評価してもらうためには、常に現地のニーズに応えるようにしなければ」(森部長)と手綱を引き締める。
すでに様々な布石を打っている。パートナー開拓の試みもその一つだ。今年春、華東地域にある国家認定システムインテグレーション企業を対象にコンテストも行った。業界を一〇に分け、それぞれの領域における出色した企業を選抜する「JP1カップ」と呼ばれた行事は、三カ月余の期間を経て、五月二五日、選抜者への表彰式をって幕を閉じた。自社の人材獲得だけでなく、優秀なパートナーへの取り込みにも引き続き注力していくことになる。
 
  ● 現地での体制は磐石、いよいよ本格的な市場展開へ  
  日立信息系統(上海)有限公司は二〇〇二年二月に日立製作所の一〇〇%出資により設立した。日立が中国で展開する主なIT関連企業としては、北京日立華勝信息系統有限公司(一九九二年設立、合弁)、および北京日立北工大信息系統有限公司(二〇〇三年設立、合弁)があり、日立信息系統とともにソリューション事業の主翼を担う。
日立信息のソリューション事業の両輪を果たしているのが、生産管理業務ソフトパッケージ「GEMPLANET/WEBSKY」とシステム管理運用ソフト「JP1」であり、同社は両製品を連携させながら、金融、通信、製造業に向けた市場切り込みを図っている。
「水撒き」「助走期間」(同公司・森内董事長)の段階を経て、中国市場でもひときわ注目を浴びることとなったのが前述した「JP1 V7i」の機能強化である(日本では三月三日に発表)。同公司は二〇〇二年一〇月にソフトウェア事業開発部門を設置、〇四年一二月には北京中関村ソフトウェアパークに実験室(Hitachi Software Technology Center)を設立するなど、現地事情に適合したソリューション提供を可能にするべく体制固めを行っていた。その努力がついに結実し、機能強化版製品は最終テストを経て一〇月から市場に投入される。
なお
現地スタッフとともに(北京実験室にて)
、同製品に関して日立信息は、九月五日から全国七大都市で「ロードショー」と呼ばれるセミナーを開催する予定だ。「北京金融展」(九月)、「第六回中国国際高新技術成果交易会」(一〇月、於深)への出展準備も進めるなど、現在、大規模な宣伝活動にも余念がない。
「北京オリンピックに向けてますます高まる中日両国間の交流と、発展にも寄与していきたい」と中村事業部長が語れば、森内董事長は「日立はお客様に対して中国側、日本側双方で解決案に取り組む体制ができている」とPRを忘れない。企業発足からわずか三年。しかし、彼らが連携プレーで育て上げてきた「大樹」が大輪の花を咲かせる日もそう遠くないはずだ。
 
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