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巻頭インタビュー
「人財」育ち、ソリューションビジネスは好調に展開
「地場」の顧客開拓を目指し、「現地化」加速にも視野

  富士通(中国)信息系統有限公司  飯高敏弘  副董事長 兼 総経理  
  富士通(中国)信息系統有限公司は富士通の100%出資により2003年11月に設立された。傘下にソフトウエアの開発会社3社と香港地区の事業会社を置き、ソリューション事業を展開している。重要な事業対象は日系企業だが、一方で台資、韓国、欧米資本の顧客取り込みにも成功し、「地場」企業(大陸)にもターゲットを広げようとしている。現在、「One Fujitsu」のスローガンの下に、快進撃の陣頭指揮に立つのが飯高敏弘・副董事長兼総経理である。

このたび上海市の発展に寄与した外国人に贈呈される白玉蘭賞の受賞者として選定された旨の決定通知があった。これは、飯高・副董事長兼総経理が、FCHの企業活動を通じた上海市への貢献が高く評価されたことによるものである。
 
 
富士通(中国)信息系統有限公司 Fujitsu China Holdings (FCH)
中国拠点: 中国上海市南京西路1168号中信泰富広場18F
              TEL:(86)21-52929889
              FAX:(86)21-52929566
URL:http://www.fujitsu.com.cn/
      資本金:US$600万
      従業員数:300名(内駐在員29名)/2005年3月現在
      販売拠点:北京・天津・上海・蘇州・広州 ※富士通(香港):香港、深
      事業内容:情報機器/ソフトの輸出入・販売・サービス/サポートの提供
      傘下グループ企業:富士通香港・北京富士通・南京富士通・西安富士通
 
 

飯高敏弘(いいたか・としひろ)


富士通(中国)信息系統有限公司(FCH)副董事長兼総経理。1945年広島生まれ。早稲田大学卒業後、富士通に入社、主に技術畑を歩んだ後、1997年、FCHの前身である富士通(上海)有限公司に赴任。その後、北京富士通系統工程公司の董事長、富士通常務理事等を経て現職。趣味は数年前にスタートした二胡の演奏。多忙のなか時間を見つけてはレッスンに励むという。中国赴任前は専ら三味線演奏に熱中。腕前はハイレベル、以前は十八番の「長唄」を駐在仲間に披露していたという。
 
  ● 統合会社FCHの設立から一年半。当時を振り返ると?  
  実は、ビジネスへの取り組み方を変えなければという機運は前年の二〇〇二年にはすでに熟していました。当時、情報、通信、デバイスなどの拠点を含めてすでに三〇数社のグループ会社が中国で活動していたのですが、実態はWait and See、すなわち「様子見」だったわけです。
これを反省し、ソリューションビジネスのニーズの高まりに応えるために、在中ビジネスの統合、すなわちFCH(Fujitsu China Holdings)の設立に踏み切り、「One Fujitsu」を実現したのです。
当時の経営層は、その後の対中ビジネス政策について、「(中国に)出るリスク、出ないリスク」「(本腰で)やるリスク、やらないリスク」といった言葉で総括したものです。
 
  ● 昨今の事業展開について手ごたえは如何ですか?  
  これまでは種まきの段階で、達成感としては五〇パーセントといったところでしょうか。製造業を中心とする日系企業に「日本並み」のサポートを可能にするべく体制確立とインフラ整備に尽力してきました。売上については前年比倍増の勢いで展開しています。
私たちは顧客ターゲットを、
1.日系
2.外資
3.「地場」(大陸企業)
と三つに分けていますが、全体で八〇〇社近いお客様を持っています。台資やフランス、韓国資本の流通業大手企業をはじめ外資企業のクライアントも三〇社を数えます。スタート段階では二〇〇社程度に等しかったわけですから「激増した」といっても過言ではないでしょう(笑)。
 
  ● ソリューション・ビジネスを軸にされています。  
  ERPを中心とした事業展開は今後もしばらく続いていくことでしょう。
中小企業向けの「PRONES」は現在、中国で七五ユーザーを抱え、導入成功率は九八パーセントと極めて高い成果を残しているほか、大手企業向けには「GLOVIA」という製品も用意しております
また、「SAP」や「ORACLE」などSI構築をしてほしいという依頼を受けることもあります。
中国における財務関連ソフトではデファクト・スタンダード(業界標準)ともなっている「用友」との戦略提携も重要ですよ。今後、ますます強い相互協力関係をつくっていくことになるかと思います。
富士ゼロックスさんとは「双富」という文書管理のドキュメントソリューションを一緒に提供しており、共同でセミナー等も開いたりしています。これらの活動をキッカケにして他のソリューションにも切り込んでいきたいものです。
 
  ● 強みとなるのはERP?   
 
三味線演奏の腕前は「プロ」級。しかし、北京に赴任した際、厳しい乾燥のためか愛用した名器は使用不能になってしまったという。以来、オフタイムには二胡の稽古に精を出す。
三味線演奏の腕前は「プロ」級。しかし、北京に赴任した際、厳しい乾燥のためか愛用した名器は使用不能になってしまったという。以来、オフタイムには二胡の稽古に精を出す。
「PRONES」は中国での販売前に、すでに世界で一〇〇〇本以上が導入されていました。
したがって、中国で七五本という販売実績はまだまだというのが正直な感想です。
しかし、最初は単に部分的なプログラムを組むだけだったローカルの技術者たちが、いまやコンサルティングに立ちあうまでに成長し、頼もしい存在になっています。顧客から認めてもらうことに大きな喜びを見出しているようで、「PRONES」を担当する技術者のジョブ・ホップが極めて少数にとどまっているのは富士通にとって大きな財産となっています。
むしろ、日系企業向け中心の「PRONES」部隊を「地場」企業開拓に向かわせようと思っても、それがなかなかできないのが課題ともいえます。
そこで、「地場」企業を開拓したくてむずむずしている「PRONES」部隊の優秀なスタッフに対して、「ほら、部長に内緒で行ってこい」と言ってやるんです(笑)。今後、本気で「地場」企業の市場を切り開こうと思ったら、組織構成の変更なども検討しなければいけないかも知れませんね。
 
  ● 実績や規模の割りには「知名度」が不足しているのでは?  
  こうした声は社内の中国人スタッフからも聞かれます。
日本では九〇年代の一時期、大々的にコマーシャルを打つようなこともしましたが、中国において派手な宣伝を行おうという予定はいまのところ特にありません。むしろ、着実に実績を積み重ねていくことに重点を置いています。
 
  ● 人民元切り上げの影響は?  
  富士通グループのなかにはオフショア開発を主事業としているところもあり、為替の変動で業績が左右されることもあるでしょうが、FCHにとっては特に影響はありません。
じつは中国での開発コストはすでに人月でいって三〇万円ほど。日本国内での開発コストが逆に下がっていることも大きく関係していますが、中国での開発がコスト面で相当優位性があるかというと、もはやそうでもなくなっているのです。
 
  ● 現在、直面している事業上の課題は?  
  ソリューションビジネスというのは顧客相手に個別に対応して売り込みを図るものです。いわば「直販」といってよいものでしょう。
一方、プロダクト販売となると、チャネルをどうするかによって成果は大きく左右されます。
これまで、私たちが用意したサーバーストレージ、PC等のプロダクトは、IBMやHPなどの欧米系ベンダーの製品と比較しても性能、価格ともに引けをとらないものです。これまで通信、銀行、大学、政府機関をターゲットに売り込みを図ってきており、それなりの成果も収めています。しかし、もっと効果的な販売チャネルを設けるなど、販売戦略をてこ入れする必要があり、計画を練っています。
保守体制の充実、技術者の教育体制等のベースは十分に整ってきました。あとはどうやって実績を積み上げていくか力の見せ所ですね。
 
  ● 「現地化」についてはどんな考えをお持ちですか?  
  「現地化」には現場、マネジメント、経営の三つの側面を見ないといけませんが、事業の拡大が急速だったため、経営面、マネジメント面についての現地化は十分には進んでいない感じもあります。統合会社の設立時にトップの現地化も試みたりしましたが、これは時期尚早だったかも知れません。
しかし、現在、経営会議のメンバーは全て日本人。やはり中国人をメンバーに入れるなど外部からの息吹を吹き込んだほうがよいのでは、という意見も浮上してきています。九月には社長の黒川を日本から招いてグループ内の情報交流会が予定されています。様々なディスカッションが行われることでしょう。
実をいえば、私も社長から社内の会議を全て中国語で行うようにとハッパをかけられています。二つ返事で答えているのですが、これはなかなか思うように進められずにいます(笑)。
 
  ● 最後に読者に対してメッセージを御願いします。  
  まだ中国に来て間もない人がいたら、「とにかく中国を好きになってください」と言わせてください。
心配事ばかりを挙げたらそれこそ膨大な量のレポートが出来上がってしまいます。けれども、すでに触れましたように「挑戦するリスク、挑戦しないリスク」を考えて頂きたい。ぜひ恐れず、中国に飛び込んでほしいと思っています。


(取材・編集部)
 
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