Walker
中国最新情報満載!!
巻頭インタビュー
  県産品輸出や企業間取引
具体化本格的経済交流の時代到来
訪問10回目、発展する上海に活力実感
 
  長崎県  金子原二郎 知事  
  長崎・ながさき・ナガサキ・Nagasaki…。長崎県と上海市はエアフライトでわずか1時間余り、まさに指呼(しこ)の間の距離でしかない。古くから中国との交流が深く、また欧風文化との接点でもあった歴史的経緯から、長崎は「崎陽の学」など融合された東西文化が息づく街としての歩みを続けていた。当時唯一の開港場であった背景は貿易業と商業を産み、さらには海運と造船をはぐくんだ。また豊富な海の幸山の幸の集積場であった事実もあって、いまの時代に続く経済的バックボーンとなっている。

金子原二郎(かねこ・げんじろう)プロフィール

昭和19年(1944年)5月8日生まれ。長崎県北松浦郡生月町出身。
慶応義塾大学文学部卒(昭和43年3月)、日本水産株式会社入社(昭和43年4月)、長崎県議会議員(昭和50年4月初当選、3期)、衆議院議員(昭和58年12月初当選、5期)、長崎県知事(平成10年3月初当選、現在2期目)
趣味:ゴルフ
座右の銘:「誠実」
 
  ● 今回のご訪問(知事就任以来一〇回目)で、日々変化する上海に、新たにどういう印象をお持ちになりまし
    たか。
 
  昨年九月以来、ちょうど一年ぶりにまいりましたが、車が増え、高層ビルの建設ラッシュで、来るたびに発展する都市の活力に感心いたします。長崎から見ると、東京より近いところにこれだけの巨大都市があり、しかも素晴らしい成長を遂げています。長崎は、日本列島の西に位置していますので、この上海の活力を吸収することが、本県の発展にとって極めて重要であると改めて感じました。
長崎県は、観光振興を特に重要と考え、訪日団体観光ビザ解禁については、私自身、全国の知事の先頭に立って政府に働きかけてきました。上海の活気を目の当たりにすると観光客誘致や経済交流に、より一層力を入れる必要があります。
 
  ● 長崎県は、日本の中で、地理的には中国大陸また上海に最も近く、長い歴史を持つ有名な中華街など、
   中国との間で独自の経済・文化関係が続いた歴史があります。未来、特に経済関係ではどういう内容で、
   かつどんな関係強化を考えておられますか。
 
  これまでの長崎県と中国とは、友好交流が中心でしたが、最近、経済成長著しい上海市などの華東地区を中心に一大消費地が形成されています。この巨大市場をターゲットにして、これからは長崎を売り込み、県産品の市場開拓や企業間の取引を増やし、さらには中国から投資の導入や企業誘致を受け入れるといった経済交流を積極的に拡大することが、県内経済の活性化のためにも重要です。わが県は上海事務所を一九九一年に設置しました。今までは訪中する方々のお世話が中心でしたが、これからは経済交流の先導車、牽引車として活動すべきだと考え、そのような対応ができる職員配置にしています。
また、そのために、県本庁の経済・産業の担当部局にプロジェクトチームを作りました。
第一に、県内製品や県産品を中国で販売するルートを開拓する。
第二に、長崎と中国の企業間で交流を促進し、取引を増やす。
第三に、長崎県に対する中国からの投資を誘致し促進する。
以上三つを柱に調査、検討を行い、対中戦略を策定しています。
県産品の輸出については、農水産物や陶磁器などの輸出可能性、中国の物流・販売網の調査や中国側の輸入許可を取得する作業を行っています。
しかし、例えば、水産物などの生鮮食料品については、解決しなければならない課題も多くあります。通関に要する時間は、航空便で最低三日、海上ルートではさらに日数を要するため、鮮度を考えると航空便になりますが、コスト高になってしまいます。
農産物に関しては、中国側の輸入受け入れのための検疫体制の整備を求め、日本政府が中国との本格交渉に入りましたが、本県も温州みかんを有望な輸出産品と考え、関係三五道府県として政府に強く要望していたところであります。
その他にも、中国側との交渉、中国での低温流通輸送の問題などの受け入れ体制の整備について、現在懸命に対応策を講じているところです。
そして現在、中国から長崎県への投資を誘導するため、政府機関、日中商社から情報の収集や投資の誘致活動を行っています。将来は、技術力のある中堅・中小企業と提携したり、県内に販売会社を設置したりするなど、県内経済の活性化も期待できます。
また、一つの方法として、中国の工場で加工される製品の仕上げ工程を本県で行い、「メイドインジャパン」として輸出すれば、日本製品への信頼性から販売価格も高くなります。米国で言われるローカルコンテンツのように、加工工程のある一定の割合を超せばこのような方法が可能となるので、例えば、衣料品などを、県内の縫製工場において、仕上げ作業や検査などの工程を行うことも検討しています。
 
  ● 何か具体的な計画などをお持ちですか。  
  華東地区や華南地区では、経済成長に伴って消費動向の高級化が進み、県産品の市場として大きな可能性を持っていますので、中国戦略にかかる調査と合わせ、本年度新たに上海市に対する長崎ブランド産品の輸出機会の拡大に取り組んでいます。
具体的には、九月一六日から三〇日まで、上海花園飯店で「長崎料理フェア」を開催し、アジやハマチなどの海産物や島原手延そうめんなどの加工品を使った和食・洋食のメニューを提供して、長崎の食材の良さを上海市民の皆さまに実感していただいています。
さらに、一一月下旬から一二月上旬にかけて、一般消費者向けの物産展や百貨店のバイヤーやレストランの仕入れ担当者を対象とした商談会を開催し、県産品の優れた品質をアピールして、輸出促進につなげていきたいと思っています。
今回の長崎料理フェアや商談会を通じて輸出・販売ルート、中国バイヤーなどの輸出関連業者に関するノウハウを蓄積し、県内の生産者団体や企業に広げることにより、民間ベースの本格輸出に結びつけていきたいと考えています。また、出来るだけ早い時期に、県独自で設置するか、九州が一体となって合同でアンテナショップを開設し、消費者ニーズを把握しながら販路拡大を図ることを検討してまいります。
 
  ● 日本、中国、韓国は、東中国海を隔てて接していますが、この三ヵ国間で観光などを通じた相互協力の可
   能性について、どうお考えでしょうか。
 
  長崎県は観光都市であると同時に経済都市でもある。繁栄を裏付ける夜景は絶妙のひとこと本県には今年で二五周年を迎えた中国東方航空の長崎?上海便が就航しておりますので、多くの皆様にこの直行便を利用したツアー商品を利用し、長崎県の魅力を思う存分体験していただきたいと思います。
また、長崎には韓国への航空路と航路があり、ソウル?上海間の航空路も開設されましたので、これらをうまく活用して、長崎‐ソウル‐上海を巡るツアーや、将来的には豪華客船を利用した長崎‐済州島‐釜山‐上海のクルーズなど、積極的な観光交流を展開していきたいと考えています。
北京市、上海市、広東省に加え、九月一五日からは江蘇省、浙江省など一市四省が新たに訪日団体観光ビザ解禁地域になり、対象人口も約三億七〇〇〇万に増えます。これからの中国人観光客誘致につきましては大いに期待できますし、そのための働きかけを九州各県一体となって精一杯やっていきたいと思っています。
また、ビザについては「APECビジネス数次査証」という制度があり、ビジネス目的での来日の場合、一度取得すると最長五年間有効ですが、まだ、条件、制限が厳しい面がありますので、発給の簡素化を進め往来の活発化が図れるよう、さらに政府に要請していきます。
 
  ● 中国あるいは上海の皆さんにとって、長崎観光の最大のセールスポイント、観光資源は何とお考えでしょ
   うか。
 
  上海・長崎間はわずか八六〇キロメートルで、上海にとっては北京より近く、長崎にとっては東京より近い位置にあります。また、中国との歴史的な関係も深く、鎖国時代には、長崎は中国と西洋に開かれたわが国唯一の貿易港として栄え、祭りや食文化など、県民生活の中にも中国文化が色濃く残っています。加えて、「山の雲仙」と「海の西海」の二つの国立公園を有するなど、日本でも指折りの観光地です。また、広大な敷地に、海を望み森に囲まれた美しいヨーロピアンリゾート「ハウステンボス」は、日本国内はもちろんアジアを中心に多くの観光客でにぎわっています。
また、雲仙には、昭和の初め頃、上海在住の欧米人ら多くの方々に訪れていただいていた歴史がありますが、これからは、中国の方々はもちろん、上海に在住されている諸外国の企業の皆さんにも、週末や休暇を利用して、温泉や素晴らしい自然に触れる「憩いの地」として十分に利用していただけると思います。
併せて、県民には、海外との長い交流で培われてきた「もてなしの心」、いわゆるホスピタリティがあります。これは、目には見えませんが、大きな観光資源となり得るものと確信しています。
 
  ● 主に中国在住の日本人ビジネスマンおよび日系企業関係者を対象とする「ウォーカーチャイナ」読者への
   メッセージがあれば、ぜひお願いします。
 
  巨大な中国市場に参入するため、既に進出、展開している県内企業、また今後進出予定の企業があります。皆さん、何とか事業を軌道に乗せたいと一生懸命に努力されていますので、頑張っていただきたいと応援しています。そのため、中国の日本人ビジネスマンや日系企業の方々には、本県企業に対する温かいご助言とご指導をいただければ幸いです。
また、今後、県内の優れた食材を中国に売り込んでいく予定ですので、ぜひ一度、読者の皆さまもその良さを味わっていただきたいと思います。
 
ウォーカーチャイナ今月号
巻頭インタビュー
特集
Business Event Schedule
Business Scene
企業レポート
連載
中国ビジネス相談Q&A
私も起業家
知的法講座
China Economic Review「全国」
China Economic Review「上海」
その他
上海、北京、中国全土の広告掲載について
ウォーカーオンラインではバナー及びテキスト広告スペースを用意しております。
広告掲載ガイド 掲載の受付