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発展経済下の経営分析vol.5
------新規進出と組織再編成 中国投資の『ツボ』(三) UFJ綜研(上海) 橋本忠広 |
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今月号で二〇〇四年 中国投資の『ツボ』の連載は最終となるが、先月号に引き続き組織再編成の『ツボ』として、グループ全体の組織再編成について述べてみたいと思う。 |
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組織再編成の『ツボ』(下) |
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橋本忠広(はしもと・ただひろ)
1973年千葉県生まれ。大学卒業後、97〜2002年までの5年間を北京大学にて留学。02年北京大学国際政治学科東北アジア研究所にて修士課程修了後、UFJ綜研(上海)有限公司に入社。現在は進出支援チームに所属しており、年間約10社の日系企業の進出プロジェクトを担当している。最近は進出プロジェクト以外に日系企業の組織再編成プロジェクトにも参画している。より顧客の身近に立ったコンサルタントになることを目指している。
六月号の中で既に述べたが、第一、二次対中投資ブームでは、中国に生産拠点を設立することを目的として進出する外国企業が多かった。その頃の企業にとって「中国進出」というのは、「会社」設立というよりも「工場」設立という意識が強く、多くの場合はグループ全体としての中国事業戦略は存在せず、事業部・業務内容・エリアごとに現地法人を設立していた。また、単に「工場」設立という意識しかなかったため、新工場を増設する際に優遇政策を再享受することができるという理由から、安易に別法人とするなどといったケースもあったようである。これらの原因により、現在の同一グループ内で現地法人が多数設立されているという状況が生じている。設立された現地法人同士の連携については、グループ全体としての中国進出ではないため、縦のつながりのみで横のつながりは希薄であった。
第三次対中投資ブームでは、沿岸部エリアを中心に中国国内マーケットが拡大及び成熟してきたことやWTO加盟後に各種規制緩和が実施されていること、並びに中国国内の交通インフラの整備状況が改善されてきていることなどの理由により、中国事業を拡大(中国国内市場への参入、参入する市場の規模・分野の拡大、導入商品の増強、全国展開など)する企業が増えており、それに伴いグループ全体として中国事業戦略を策定することの重要度は増し、また策定した戦略を効率よく実行するためにグループ全体の組織を再編成することが必要となってきている。 |
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高効率で機動力のある組織への再編成 |
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グループ全体の組織再編成で、先ず行わなければならないのは今まで点と点でしかなかった全国に散らばる現地法人を線で結ぶことである。これにより、情報の共有化・グループ内分業などを行うことが可能となり、相互補完などそれに伴う相乗効果も期待することができる。また、グループ内での業務の重複などのムダも露呈してくる。現地法人が多ければ良いという時代は既に終わっており、合併もしくは分立などの手段により、統一部門の統合・不採算部門の切り離しを行って、ムダ取りをする必要がある。
次に、ただ線で結ぶだけではなく、共有化した情報を集約・分析し、迅速で的確な決定および指示を出すことが可能な統括会社の設立が必要となる。目覚ましいスピードで変化している中国において決定および指示の遅れがビジネスチャンスを逃したり、損失を生むことにつながる可能性がある。この統括会社設立の際に傘型会社の設立を考える企業があるが、五月号で弊社の総経理の太田が述べた通り、現状では傘型会社が得られるメリットには制約があり、三〇〇〇万ドルを新規に投資するほどの意味があるのかという点には疑問がある。それであるならば、グループ内にコンサルティング会社を設立し、統合できる機能をまとめた方がより低コストで有効であると思われる。仮にグループ内コンサルティング会社を設立した際には、どのような役割を担わせることが可能であるかを以下述べてみる。
【次ページ資料11参照】 |
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グループ内コンサルティング会社の役割 |
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@本社との情報交換
中国国内の各現地法人の情報を集約し、本社に対して情報のフィードバックを行う。また、本社に対して現在中国にて自社が抱えている問題の提議を行ったり、本社のグローバル戦略と中国事業の調整を行う。
Aグループ全体の中国事業戦略案の策定
集約した情報を基に中国の現状に適した事業戦略案を策定し、本社に提出する(本社サイドと調整を行い、承認を受ける)。
B現地法人同士の情報交換
集約した情報を定期的にグループ内の各現地法人の経営層にフィードバックし、現地法人同士の情報の共有化を図る。また、情報交換システムを構築し、現地法人同士の情報交換を活性化させる。
C政府許認可取得
グループとして必要となる政府関連の許認可の取得および各現地法人が個別に許認可を取得する際のサポートを行う。
D人事管理(人材採用支援、人材教育、人員配置)
グループ全体としての人材採用セミナーの開催、日本からの駐在員および採用後のナショナルスタッフに対する人材教育を企画もしくは実施する。
また、最近の自動車メーカーの動向を見て分かるとおり、以前とは異なり事業エリアが全国規模に広がってきており、今後中国事業を統一管理する人員は各地域のメリット&デメリットを理解している必要があり、それでこそ中国全土の管理及び事業戦略の策定ができる。そのためには定期的に次期幹部候補生を中国国内の各拠点に移動させることが必要となる。これを加味して中国国内の人員配置案を本社の人事部へ提案する。
E財務・税務・通関の指導及び管理
各現地法人の財務状況を管理し、本社に対して報告を行う。また、新規設立会社に対しては、財務・税務・通関業務に関する指導およびサポートを行う。
Fネットワーク管理およびセキュリティー管理
現在、中国はグローバル戦略上の重要拠点の一つとなっており、中国の拠点と日本本国および世界各国の拠点との情報流通量は急激に増加している。そのため、いかに迅速なやり取りが可能なネットワークシステムを構築するかが重要となってくる。また、中国の国土は広大であり、国内の情報交換においてもネットワークの構築が重要となる。単に情報量の急増だけではなく、内容に関しても重要度が高まっており、情報の流出というリスクを抱えている。流出以外に中国国内ではウィルスが多く、情報の消失というリスクもあるので、これらを防ぐためのネットワークシステムの構築と同時にセキュリティーシステムの整備が必要となる。
G物流管理
事業エリアが全国規模に広がるにつれ、物流の重要性が増しており、その面において管理業務やコンサルティング業務を提供する。
H法務
労務問題やその他の訴訟が起きた際はもとより、平素の業務中に発生する法務問題についてもサポートを行う。
Iグループ内規定及び社内規定の作成及び統一化
グループ内の各種規定の作成およびグループ内各現地法人の社内規定の作成支援を行い、それと同時にグループ内の現地法人の社内規定の統一化を行う。
J知財管理
各種権利の取得、知的財産権の被害状況の調査、摘発活動を企画もしくは実施する。
K生産設備・部材の国内調達支援
生産設備、部材調達に関して調査および情報提供を行う。
L各種調査
取引先や新規のパートナーなどに関する信用調査および市場調査、知的財産権の被害状況調査、部材調査などの各種調査を企画もしくは実施する。
M情報収集および情報発信
情報収集の部署を設け、法令法規など常に最新情報を収集し、また定期的に現地法人各社に対して情報発信を行う。
N内部点検(監査)
定期的もしくは必要に応じて各現地法人に対して内部監査を行い、不正もしくはムダがないか調査する。また、調査結果を基に改善案を策定する。
※ 全ての業務において自社にて実施不可能な場合、もしくはコストパフォーマンスを考慮し、アウトソーシングを利用した方が良い場合は積極的にアウトソーシングを利用する。
※ 上記の全ての業務を行うというのは困難であるので、他の現地法人との関係を考慮し、行う業務を選定する必要がある。
以上、グループ全体の組織再編成と統括会社としてのグループ内コンサルティング会社について述べてきたが、この他にグループ全体の組織再編成を考える上で、販売部門の統合という重要課題がある。WTO加盟以降、各種規制が随時緩和されており、それにともない販売部門の統合の方法も多様化してきている。この課題については、述べる部分が多くあるので、次の機会にまわしたいと思う。
外部環境の変化(市場の拡大、規制緩和など)と内部環境の変化(自社の事業戦略の変化など)に合わせて組織再編成を行い、より有効な組織に進化させることは必要である。しかし、その際には自社の現在および将来的な事業戦略、中国国内の現行法および将来的な規制緩和の動向と照らし合わせて複数の再編成スキームを立案し、そのメリット・デメリットを検証し、グループ全体の組織再編成を行うことが重要となる。 |
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