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発展経済下の経営分析vol.5
------新規進出と組織再編成 中国投資の『ツボ』(三) UFJ綜研(上海) 橋本忠広 |
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先月号まで三ヵ月に亘り、事前調査から現地法人設立までの新規進出の『ツボ』(重要ポイント)について述べてきた。今月号以降では、既に進出済みの企業の組織再編成の『ツボ』について述べてみたいと思う。 |
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組織再編成の『ツボ』(上) |
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橋本忠広(はしもと・ただひろ)
1973年千葉県生まれ。大学卒業後、97〜2002年までの5年間を北京大学にて留学。02年北京大学国際政治学科東北アジア研究所にて修士課程修了後、UFJ綜研(上海)有限公司に入社。現在は進出支援チームに所属しており、年間約10社の日系企業の進出プロジェクトを担当している。最近は進出プロジェクト以外に日系企業の組織再編成プロジェクトにも参画している。より顧客の身近に立ったコンサルタントになることを目指している。
組織再編成の「ツボ」に関しては、最近よくご相談を受ける@一現地法人内の組織再編成とAグループ全体の組織再編成の二つを取り上げて述べてみる。
一現地法人内の組織再編成については、九○年代前半に合弁もしくは合作の企業形態にて既に中国へ進出している企業が一○年という時を経て、その間に合弁パートナーが行なってきた不正行為が露呈し、それに気がついた日本側出資者(日方)が企業組織を再編成し、企業を立て直したいというご相談が多い。
この問題の原因は、当然ながら合弁パートナーの不正行為にあるが、出資者である企業が会社経営に対して内部監査を怠っていた点もあげられる。
なぜ、多くの日系企業がこのようなトラブルを抱えてしまうのかというと、それは日本と中国のコーポレートガバナンス(企業統治)構造の違いということに起因していると思われる。次の資料を見ていただければ分かると思うが、日本・アメリカ・中国の三ヵ国のコーポレートガバナンス構造を比較すると、中国のコーポレートガバナンス構造は、董事会が投資者の権利を代表しており、経営層と別れて経営のチェック機能を担っているという点で比較的アメリカ型に近いと言える。【資料9参照】 |
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また、日本のコーポレートガバナンス構造は経営層と経営状況をチェックする人間とが同一人物となってしまっており、牽(けん)制機能が欠如していることがわかる。
このような企業文化に慣れている日本企業が、いざ中国に現法を設立した際には牽制機関や牽制システムを設けるのを忘れてしまうのである。
これに対して、アメリカ企業は自国内同様、中国においても経営に対する牽制システムをしっかりと設けている。中国国内にてアメリカ企業と合弁で現法を設立している日本企業の方の話では、外資系同士の合弁(日米合弁企業)であっても、アメリカ側投資者(米方)は現法に対して定期的に内部監査を行っており、その内容は非常に細かく、厳しいとのことである。
現法の経営層の不正問題を解決するには、アメリカ式に組織上監査機関を設けるか、監査システムを構築することが必要である。中国の『中外合作経営企業法』及び『外資企業法』の中では監査機関の設置について、特に記載はされていないが、『公司法』の中では監査機関の設置及び役割に関する条項が設けられている。外資系企業も中国国内の法律上認められた公司?であるので、『公司法』の規定に従い監査機関を設置することが可能であると解釈される。【資料10−@、A参照】
『公司法』の規定に従い、監査機関を設置すること以外の方法として、定款の中で投資者に監査機能を持たせる方法がある。この場合、実際は投資者が自ら監査を実施するのは難しいので、投資者に外部へ委託して監査を行うことができるという権利を持たせて、実務は法律事務所、監査法人、コンサルティング会社へアウトソーシングすることになる。
不正問題解消のためには、このように監査機関や監査システムの構築を中心に組織再編成すること以外に、現法設立当時に作成した定款、就業規則、会計制度、雇用契約書、秘密保持契約などの社内規定を全て再チェックすることも必要である。特に人事・契約・購買に関しては不正が容易に行なわれるのでこれらに対する権限について詳細に規定する必要がある。
また、監査機関及び監査システムの設置も含めて上記のことは合弁、合作企業に限って必要なことではなく、独資企業も将来的な現地化を見越して、前もって整備しておく必要がある。
組織再編成とは直接的には関係はないが、コーポレートガバナンス構造も含めた日本的な企業文化(終身雇用、年功序列、親会社主義、系列など)の中には、中国での企業経営上、適用するのが難しいものなどもあり、企業組織構築及び社内規定を制定する際にはこれらのことも念頭に入れて行うことが必要である。
今回は、組織再編成の「ツボ」(上)として、一現地法人内の組織再編成について述べてみたが、次回組織再編成の「ツボ」(下)ではグループ全体の組織再編成について述べてみたい。 |
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資料10 - @ |
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有限責任公司の監査機関とその役割に関する法規定(公司法抜粋)
第11条(定款)会社を設立するためには、この法律に定めるところに従い、定款を作成しなければならない。定款は、会社・社員・董事・監事・経理に対して拘束力を有する。
第52条(監事会・監事) 規模が相当に大きい有限責任会社においては、監事会を置き、監事会は3人以上で構成される。監事会はその構成員から1名の招集人を選任しなければならない。監事会は、社員を代表する者と適当に割合で労働者を代表する者で構成され、その割合は定款で定める。監事会中の労働者を代表する者は、労働者の民主的な選挙で選出される。社員数が少ない若しくは規模が小さい有限責任会社においては、1名ないし2名の監事を置くことができる。董事・経理及び財務責任者は、監事を兼任することができない。
第53条(任期) 監事の任期は、3年とし、任期が終了したときは、重ねて選任されることができる。
第54条(権限) 監事会若しくは監事は、次に掲げる権限を行う。 (1) 会社の財務を検査すること (2) 董事・経理が会社の職務を執行するにあたって法律・法規若しくは定款違反を監督すること (3) 董事と経理が会社の利益に損害を与えるとき、董事と経理にその回復を要求すること (4) 臨時の投資者会議の開催を提案すること (5) 定款に定めるその他の権限を行うこと。監事は、董事会に出席する。 |
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資料10 - A |
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第57条(欠格) 次の各号の1に該当する者は、董事・監事・経理となることができない。(1) 民事行為能力を有せず、若しくは民事行為能力を制限されている者(2) 貪汚・賄賂・財産侵害・横領又は社会経済秩序破壊の罪で刑に処せられ、刑期が満了して5年を経過しない者、若しくは犯罪によって政治権利を剥奪され、その期間が満了して5年を経過しない者(3) 経営の不良によって破産・清算に至った会社・企業の董事若しくは工場長、経理であった場合、若しくはその会社、企業の破産に個人的に責任を負う者の場合で、その会社、企業の破産・清算から3年を経過しない者 (4) 法に反するため営業証が取り消された会社、企業の法定代表者であった場合、若しくは個人的に責任を負う者の場合で、その会社、企業の営業証が取り消されてから三年を経過しない者(5) 相当に大きな金額の債務を負い、その弁済期に至ってもすべて弁済しない者会社が、前項に反して董事・監事を選挙、委任し、若しくは経理を選任した場合は、その選挙、委任若しくは選任は、効力を生じない。
第58条(国家公務員) 国家公務員は、董事、監事、経理となることができない。
第59条(忠実義務) 董事・監事・経理は、定款を遵守し、職務を忠実に履行し、会社の利益を守り、会社における地位と権限を利用して自己の利益を図ってはならない。董事・監事・経理は、その権限を利用して賄賂その他の不法な収入を受け、若しくは会社の財産を侵害してはならない。
第62条(秘密の保持) 董事・監事・経理は、法律の規定による場合、若しくは社員総会の同意による場合を除くほか、会社の秘密を漏洩してはならない
第63条(賠償責任) 董事・監事・経理は、会社の職務を遂行するにあたり、法律と行政法規若しくは定款に違反し、会社に損害を与えたときは、賠償責任を負う。 |
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