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| ----- 〜新規進出と組織再編成〜 中国投資の『ツボ』(二) │ UFJ綜研(上海) 橋本 忠広 |
| 今回は先月号に引き続き、新規進出の『ツボ』の第四ステップ「進出実務」について述べてみる |
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| 2004年新規進出の『ツボ』=下= |
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橋本 忠広(はしもと・ただひろ)
1973年千葉県生まれ。大学卒業後、97〜2002年までの5年間を北京大学にて留学。02年北京大学国際政治学科東北アジア研究所にて修士課程修了後、UFJ綜研(上海)有限公司に入社。現在は進出支援チームに所属しており、年間約10社の日系企業の進出プロジェクトを担当している。最近は進出プロジェクト以外に日系企業の組織再編成プロジェクトにも参画している。より顧客の身近に立ったコンサルタントになることを目指している。
(4)進出実務
進出計画策定後、プロジェクトチームが作成する推進スケジュールに従って進出実務を進めていくことになるが、進出実務は主に四つに分けられる。
@現地法人設立作業
Tパートナーの選定(合弁、合作の場合) |
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進出形態を合弁または合作に決定したが、パートナー候補がいない場合、その進出形態を選択した目的(中方の販売ルートの利用、もしくは購買ルートの利用など)に合わせて企業情報を収集する。その中から目ぼしい企業をピックアップして、信用調査を行ない、経営上問題がないと明確になった上で、交渉を開始し、最終的に合弁or合作契約を締結する。制限業種であるために合弁、合作を選択した場合は、サイレントパートナーを見つけ出すことができれば良いが、実際には難しい。
U 進出地の選定
進出形態にかかわらず(合弁、合作で中方から工場もしくは土地が現物出資される場合を除く)、進出地の選定を行う必要がある。そのおおまかな流れは以下の通りである。
進出地(開発区)に関する情報収集を行う。
三〜五ヵ所の候補地をピックアップし、視察を行う。この際には開発区管理委員会(進出候補地が開発区の場合)もしくは地方政府機関及び工場・土地所有者、同地区に進出している日系企業を訪問し、ヒアリング調査を行う。
最終的に収集した情報を項目別に分析し、進出地を決定する。【資料8参照】 |
V 契約締結
進出地決定後、工場・土地またはオフィスを選定し、賃貸契約もしくは売買契約を締結する。この際には各種権利書(不動産権利証など)を確認し、契約書については弁護士に依頼して、その内容のチェックを必ず行う。
W 現地法人設立(批准証書及び営業許可証取得)のための書類作成(定款、F/S、申請書など)及び申請
※申請前に自社の事業が、外商投資指導目録の奨励業種リストに含まれているかを確認する。奨励産業に認められた場合は、輸入設備は関税、増値税ともに免税扱いとなり、初期設備コストの削減につながる。
X 設立後の各行政機関登記
Y 建設、内装、ネットワーク構築業者の選定及び契約
地場の業者を選定した結果、追加費用を請求されたなどのトラブルが発生することがよく るので、地場の業者を選定する際には見積もり価格だけで判断せず、以下の点を確認し慎重に選ぶことが必要である。
日系企業の工事請負経験(可能であるならば過去にその業者に発注した日系企業を訪問し、ヒアリング調査及び建設物の見学を行う)
施工資格
使用材料(中国では偽建材が多い)
契約書の内容(追加費用が発生した場合に施主、施工業者のどちらが負担するかが明確になっているかを確認)
施工予定地での工事実績(当地の各行政機関とのコネクションがあるかどうかを確認)
Z 社内制度づくり(各種社内規定作成)
中国では従業員との間で労働争議が発生することが多い。その予防策として予め就業規定や労働契約書では詳細に至るまで規定し、リーガルチェックを行いながらしっかりしたものを作成すべきである。
会計制度やその他規定についても、リーガルチェックを行いながら、会社の基礎となり、長期的に使用できるものを作成すべきである。
[ 人材採用
組織図を作成し、それに基づき最小限必要な人員及び人材条件を明確にする。
人材紹介会社、公営の人材センター、新聞広告、インターネットなどを利用して、募集を行い、より多くの情報を収集し、書類選考及び採用試験を実施する。
最近では多くの地域で、需要に対して優秀な人材の数が不足しているため、その採用が困難になってきている。優秀な人材を採用するためには、ヘッドハンティングをいう方法が有効であるが、初めて中国に進出してきた日系企業の場合、ヘッドハンティングに対して戸惑いと不安を感じることが多い。日本国内でも、最近やっと定着しつつある欧米式のヘッドハンティングという人材採用方法が、中国国内ではその文化や思想とかみ合って、受け入れられている。中国国内において、生き抜いていくためには、優秀な人材の確保が必須条件となる。そのためには、ヘッドハンティングという採用方法を有効に利用していくべきである。また、逆を言えば、ヘッドハンティングにより自社の優秀な人材を引き抜かれる可能性もあるので、業務の分散や多業務複数担当制(多数の業務をまとめて複数の人間で担当する)などというシステムを構築し、リスクヘッジしておくことも必要である。
\人材教育
人材採用後、採用したナショナルスタッフを日本に連れて行き、研修を受けさせる企業が多くあるが、実際には研修の内容が薄く、単なる旅行で終わってしまっているケースや研修終了後に退職されてしまうケースなど、コストの割に効果が得られない場合が見受けられる。研修制度の充実は、企業の魅力の一つとなるので、当然ながら企業は自社の研修制度を整備すべきであるが、その際には人選方法、研修カリキュラム、研修後の効果測定方法に関しても研究及び整備することが大切である。また、必ずしも日本でなければならない研修なのかどうか、しっかりと判断すべきである。弊社を含め、最近は中国国内でも日系企業のナショナルスタッフに対して各種研修サービスを提供している業者が増えており、またそれらの内容も多肢にわたり A充実してきている。何でもかんでも日本に連れて行けばよいというわけではなく、中国国内で受けられる研修については、それらのサービスを有効利用するべきである。
A営業活動(販売先の確保)
現地法人設立実務と並行して、日本の取引先の中国現地法人などに対して営業活動を行い、現地法人設立後の販売先を予め確保することが必要である。
B設備及び部材の調達先確保
最近では中国国内で製造される生産設備の質が向上しており、ハイテク設備を除いては、わざわざ国外から関税や増値税を支払って(免税資格を取得する場合は別である)輸入する必要がなくなってきている。設備を国内調達することにより、初期設備コストを抑えることが可能となる。また、中国国内のサプライヤーの生産技術も向上しており、国内調達できる部材の数も増えている。良質の部材を供給するサプライヤーを探すことは簡単なことではないが、特に内販を目的とした進出の場合は、自社の競争力アップのために中国国内における部材調達率をアップさせ、製造原価を下げる必要がある。
C知財保護
事前に必要な権利の取得を行う。また事前調査の結果、既に被害を受けていることが判明している場合には、進出後にどのように被害を減らしていくか対策を練る。
以上が、事前調査〜現地法人設立までの新規進出の『ツボ』である。次号では、既に進出済みの企業の組織再編成の『ツボ』について述べてみたい。
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資料8
分析のポイント(メーカーの場合)
@交通…貨物港・空港・貨物駅、主要都市(市場)、取引先、部材調達先へのアクセス状況。
A人材…技術専門学校及び高等教育機関の整備状況及び全国比でみた教育水準。
B研究開発…ハイレベルな研究所の有無。他社のR&Dセンターの設立状況。
C人件費…一般職員及びワーカーの給与水準(全国比)。
D社会保険…地方や開発区により社会保険システムが異なっており、企業が負担する社会保険料の比率も異なる。E標準工場賃貸料・土地使用権価格…同地区内の他の物件との比較及び全国比。
Fサービス…開発区管理委員会及び地方行政機関のサービスレベル。
G優遇政策…全国統一の優遇政策以外、特別な優遇政策の有無。
Hインフラの整備状況…基本インフラの整備状況。
I開発区の独自性及び発展計画…他の開発区との差異。集中的に誘致している産業。開発区の発展計画と自社産業の合致性。
J地域政府の計画性及び将来性…エネルギー供給などの計画性及び将来的な発展性。
K周辺地域の国内企業の発展状況…周辺地域のサプライヤーの発展状況。 |