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 発展経済下の経営分析vol.3
  ----- 〜新規進出と組織再編成〜 中国投資の『ツボ』(一)  │  UFJ綜研(上海)  有限公司  橋本忠広
対中投資の現状--第三次対中投資ブーム 一九七九年からの改革開放の影響を受けて八〇年代に巻き起こった第一次対中投資ブームから二五年、また九二年の搶ャ平の南巡講話および円高を背景に再過熱した第二次対中投資ブームから一二年の歳月が流れた現在、中国ではWTO加盟の前年の二〇〇〇年より灯り始めた第三次対中投資ブームの火が勢いを増している。
【図1・2参照】
図1改革開放以後の対立投資ブーム

図2世界各国からの直接投資

橋本忠広(はしもと・ただひろ)
1973年千葉県生まれ。大学卒業後、97〜2002年までの5年間を北京大学にて留学。02年北京大学国際政治学科東北アジア研究所にて修士課程修了後、UFJ綜研(上海)有限公司に入社。現在は進出支援チームに所属しており、年間約10社の日系企業の進出プロジェクトを担当している。最近は進出プロジェクト以外に日系企業の組織再編成プロジェクトにも参画している。より顧客の身近に立ったコンサルタントになることを目指している。

■第三次対中投資ブームの特徴
(1)第一、二次対中投資ブームでは、中国を生産拠点として世界マーケットに向けて製品を輸出することを目標として進出する企業が多かったが、第三次対中投資ブームでは一三億の巨大マーケットをターゲットとして進出する企業が増えている。

(2)中国ではWTO加盟に伴い、関税率引き下げや規制緩和等が逐次実施され、さらなる市場開放が進められている。また、これに関連して中国国内では法令・法規の改正が多く実施されている。

(3)第一、二次対中投資ブームまでの投資形態は、中国側パートナーの人脈及び販路などの利用を目的とした合作・合弁企業が多かったのに対して、第三次対中投資ブームでは経営面での自由な意思決定が可能となる独資企業が増えている。

【図3参照】
(1)第三次対中投資ブームの新規進出企業は、第一、二次対中投資ブームと比較して中小企業が多い。

(2)第二次対中投資ブーム後半から華東地区への進出が本格化しており、現在では以前進出が活発に行われた遼寧省、広東省から華東地区に活動拠点をシフトさせている企業も増加している。(投資目的が委託加工の場合は依然として華南地区へ進出する企業が多い)

図3世界各国からの投資形態の推移
【図4・5参照】

以上の通り、対中投資の目的(内的要因)および投資環境(外的要因)が以前と比べて変化したことに伴い、当然ながら中国投資の『ツボ』(重要ポイント)となる部分も変化してくる。

図4世界各国からの華東地区への直接投資


図5華北・華東・華南の地区直接投資の推移
 
■新規進出の『ツボ』

(1)多角的な事前調査の実施
@中国の国家政策及び法令・法規についての調査 一昔前と異なり、現在では中国ビジネスや中国の法令・法規に関する書籍や情報が誰でも容易に入手できるようになり、「知っていれば得をする」という時代から、「知らなければ損をする」という時代へと変化してきている。中国への進出を計画しているのならば、WTO規制緩和スケジュールなどの国家政策や「外資企業法」などの関連する基本法令について理解しておくことが重要である。
また、自社の業種に関連する専門的な法令・法規についても調査を行うことが必要である。第三次対中投資ブームの特徴の中で述べたが、WTO加盟に伴い、中国国内では法令・法規の改正が多く実施されており、最新情報を入手しておかなかったために、誤った事業戦略を策定してしまったり、進出後の事業展開する上で何かしらの規制を受けてしまったりする可能性がある。

A市場調査 生産拠点の設立を目的とした投資と異なり、一三億の巨大な中国市場への参入を目的とした投資の場合は、必ず事前に市場調査を行うことが必要である。中国国内市場において自社製品に対する需要があるのか? また、品質及び価格の面で自社製品の競争力はどの程度あるのか? 中国内外を含めた競合他社の状況はどうであるか? 現在、どの分野においても世界中の一流企業が中国の市場を狙って進出してきており、中国市場への参入はある意味、同業界のビジネス・オリンピックに参加するようなものである。オリンピックに参加して入賞する実力が無いのに無理をして出場することは、意味のないことであり、市場調査の結果を基に進出して利益を獲得する可能性があるのかを判断すべきである。

B知財権被害状況についての調査 中国には、数多くの模倣品メーカーが存在しており、それらのメーカーではさまざまな製品の模倣品が製造されている。中国に進出して内販を行う場合には、これらの模倣品メーカーに知的財産権を侵害される可能性があり、また市場において模倣品が自社製品の競合となる可能性もある。したがって、進出する前に知的財産権の権利取得など、可能な限りの保護対策を施しておく必要がある。そのためには、先ず進出前の段階で中国国内において自社の知的財産権が侵害されていないかを把握することが必要である。

次回七月号では、引き続き新規進出の『ツボ』として進出計画の策定、人材、進出地選定などについて述べた後に、組織再編成の『ツボ』に進みたいと思う。
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