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みずほのファイナンスNOW
金利から見た中国金融市場改革の進捗ぶり
みずほコーポレート銀行上海支店
ALM部上海資金室 為替セクション調査役 安田 洋一
上海発第6回
 
宮城信彬の不動産ニュースここがポイント
中国政府による2006年12月末の金融全面開放まで残り2カ月。新たな制度や商品の導入が相次ぎ、中国金融市場改革は開放に向けた総仕上げの時期を迎えている。今回は、多くの読者諸兄になじみの薄いであろう人民元の金利市場と金利スワップに焦点を当てる。
1. 複雑な人民元金利市場
 
ALM部上海資金室為替セクション調査役 安田 洋一氏  
中国金融市場改革は05年7月の人民元切上げを嚆矢として、06年前半には為替スワップ・金利スワップといった新種商品が解禁され、以後もマネーブローカー(金融取引仲介業者)導入など、着実に進められている。
人民元の為替については相場変動の影響が大きく、その動向が世界の耳目を集めているが、金利市場については話題に上る機会は少ない。今回は金利市場を軸に、金融市場改革の進み具合を整理してみた。
2. 完全に分断された金利市場
中国政府の方針により、人民元の金利市場は、中国人民銀行が定める預金・貸出金利を適用する顧客市場と、銀行同士が取引をする銀行間市場に区分されている。銀行間市場の金利水準は、基本的に中国国債などの債券金利をベースにしており、当然ながら人民銀行が定める規制金利の水準とは異なる。また中国の景気動向や需給要因などに応じて変動する自由金利市場であり、グラフのとおり、現在は緩やかな金利上昇局面にある。
2つの金利市場が分断されているといっても、金融機関はもちろん両方の市場に関与している。通常、商業銀行業務に従事する銀行は、顧客向け預貸業務の資金尻(預金と貸出の差額)を銀行間市場で調節する。従って、銀行にとって銀行間市場の金利動向は極めて重要である。
3. リスクヘッジ手段としての金利スワップ
銀行間金利が自由に動くということは、銀行にとって金利変動リスクを抱えていることを意味する。こうした金利リスクヘッジのために今年2月に解禁された商品が「金利スワップ」である。
金利スワップとは、長期金利と短期金利など、異なる種類の金利を交換することで自在に金利リスクを制御する商品であるが、現在の人民元金利スワップは活発に取引されているとは言い難く、そこにはいくつかのネックが存在する。例えば、短期金利の指標となるべき標準金利が整備されていない点がある。
しかしながら、筆者の考える最大の理由は、そもそも金利市場が顧客と銀行で分断されているためである。顧客にとって、人民銀行が変更しない限り金利水準は動かないわけで、金利スワップなる商品を使う必要がないことが普及の最大のネックなのだ。
4. 今後の展望
中国ほどの巨大な国内経済にあって、市場機能の中枢である金利調節をいつまでも人為的に運営するのは限界があろう。当局は金融政策当事者として基準金利の水準決定及び誘導に特化し、日々の変動は市場の需給調整機能に任せるべきだ。こうした観点から、かつての日本でもあったように、顧客向けの規制金利を撤廃し、銀行間市場と融合させる「金利自由化」が必要であろう。
金利自由化により、人民元の金利は一元化され、市場原理が浸透する。反面、金利水準は常に変動する。顧客であれ銀行であれ、全ての市場参加者は自らのリスクコントロールを要求される。この時、金利スワップは真に有効なヘッジ手段として活用されるだろう。
金利の商品分野では、金利スワップ以外に、既に創設された上海金融先物取引所が将来の金利先物の上場も展望している。さらに、金利デリバティブに欠かせない商品として、金利オプションが残されているが、想定以上にハイスピードで市場改革が進んでいることを考え合わせると、筆者としては金利オプションが2007年中に解禁されると予想する。
中国金融市場は今後も自由化により商品が多様化し、利便性が向上する反面、より高度なリスク管理が求められよう。弊行としてもこの点でさらに顧客サポートに努めていきたい。