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「中国におけるドメインネームの保護」
 
黒田法律事務所 吉村 誠 弁護士
ドメインネームが企業のブランドの維持にとって重要であることはいうまでもない。特に、第三者が、 自社の商標と同一又は類似のドメインネームを用いて、公序良俗に反するサイトや詐欺などの犯罪行為のためのサイトを開設した場合には、自社のブランドイメージが著しく害される1。本稿では、ドメインネームの登録及び紛争解決方法について概観する。

黒田法律事務所
吉村 誠 弁護士
■略歴■
京都大学工学部建築学科
最高裁判所司法研修所
日本弁護士連合会登録・東京弁護士会登録 (52期)
 
  1 ドメインネームの登録  
  中国におけるドメインネームの登録に関する機構としては、「.cn」ドメインのドメインネーム登録管理機構である中国インターネット情報センター(CNNIC)と、ドメインネームの登録申請を受理するドメインネーム登録サービス機構がある。ドメインネーム登録管理機構はCNNICのみであるのに対し、ドメインネーム登録サービス機構は多数存在する。
中国において登録できるドメインネームには、英文を使用する英文ドメインネームと、中国語のみを使用し、末尾が「.cn」、「.中国」、「.公司」又は「.網絡」で終了する中文ドメインネームの2種類がある。
ドメインネームの登録において、最も重要なことは、法令により、「先願先登録」の原則が採用されているということである。したがって、同一のドメインネームについて、異なる申請者により登録申請された場合には、先に登録申請をした申請者が登録を受けることができることとなる。また、CNNICは、登録申請がなされたドメインネームが先願のドメインネームとの関係で抵触の有無を審査するにすぎず、登録商標、企業名称との抵触の有無を審査することはない。
したがって、自社のブランドを維持するためには、まず何よりも自社の社名や自社製品に係る登録商標と同一、類似のドメインネームを登録することが重要である。
 
   
  2 ドメインネームを巡る紛争  
  (1) 紛争解決の手段   
自社のブランドに関係するドメインネームの登録を行っていたとしても、日本企業が有する商標を含むドメインネームを中国において第三者が先に登録し、使用しているというケースも少なからず存在する。このような場合、当該日本業は、権利侵害地又は被告の住所地等の中級人民法院に提訴することや、仲裁合意に基づいて仲裁機構に仲裁申立てをし、又は、ドメインネーム紛争解決機構に紛争解決を申し立てることができる。

(2)人民法院での紛争解決
人民法院での救済方法は、@権利侵害の差止、Aドメインネームの登録抹消、B原告の請求に基づき、原告に当該ドメインネームを使用させること、C損害賠償がある。なお、当事者間で仲裁合意がある場合には、人民法院に提訴しても原則として受理されることはない。  

(3)ドメインネーム紛争解決機構での紛争解決   
ドメインネーム紛争解決機構としては、中国国際経済貿易仲裁委員会(CIETAC)に設置されているドメインネーム紛争解決センター(DNDRC)及び香港国際仲裁センターのドメインネーム紛争解決機構があり、これらにおいては、「.cn」ドメインと中文ドメインネームの紛争解決等を行っている。
ドメインネーム紛争解決機構での救済方法は、@ドメインネームの登録抹消、又はAドメインネームの申立人への移転がある。
ドメインネーム紛争解決機構での紛争解決の最大の特徴は、専門家パネルが成立した後14日以内に裁決が出され、裁決 を公布した後、原則として10日以内に当該裁決が執行されることなどが規定されているように、迅速な紛争解決が実現可能であるという点である。
ただし、ドメインネーム紛争解決機構での紛争解決の申立ての要件として、紛争対象のドメインネームが登録されてか ら2年経過した場合、受理されないので注意が必要である。さらに、ドメインネーム紛争解決機構の裁決は終局的な判断ではないため、ドメインネーム紛争解決機構の裁決に対して不服がある当事者は、訴訟や仲裁での判断を求めることができる。

1. そのため、日本企業の中にも中国でのドメインネームを積極的に取得する企業が存在する。例えば、 2005年には、松下電器が、「Panasonic」等を含む100を超えるCNドメインネームを登録して話題になった。また、米国Googleがgoogleを含むドメインネームを100万ドルで購入したことも記憶に新しい。

※7月号で、著作物をインターネットからダウンロードする行為が違法になるという報道がなされた旨の記述がありましたが、ダウンロードが違法となるとは直ちには解釈できないので、お詫びして訂正いたします。
 
       
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