「中国における意匠の保護」 |
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黒田法律事務所 吉村 誠 弁護士 ■略歴■ 京都大学工学部建築学科 最高裁判所司法研修所 日本弁護士連合会登録・東京弁護士会登録 (52期) |
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| 1 中国における意匠制度の特徴 | |||||
| 中国の意匠制度の第1の特徴として、いわゆる無審査主義を採用しているというこ
とが挙げられる。すなわち、意匠登録を受けようとする者は、国家知識産権局特許局(以下「特許局」という)に意匠出願をし、特許局は、意匠出願について、新規性・創作性の有無という実体審査をすることなく、書類の不備の有無等の形式的審査のみを行い、問題がなければ意匠登録され公告がなされる。なお、意匠権の存続期間は出願日から10年(日本法では出願日から15年)であり、期間の延長はできない。
中国の意匠制度の第2の特徴として、新規性欠如に関し、いわゆる公知・公用(公然実施)については、国内公知・公用に限定され、中国国外での公知・公用は新規性欠如の理由にならないということがある。また、出願前にインターネット上で公開された技術が、いわゆる刊行物公知になるのかが不明であり、新規性欠如に該当しないという解釈が成り立ちうるということである。 中国の意匠制度の第3の特徴として、物品の一部分の形状について意匠権の登録を認めるいわゆる部分意匠の制度がないということである。 |
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| 2 中国における意匠制度の問題点 | |||||
| 上記の中国の意匠制度には、以下のような問題点もある。
第1に、実体審査が行われていないことから、場合によっては、既に公開されていた意匠についても容易に登録されることとなってしまい、本来は権利行使ができないような登録済の意匠権を根拠として、日本企業に対して濫用的に権利行使を行ってくる中国企業もある。 第2に、中国国外での公知・公用については、新規性欠如に影響を与えないことから、中国国外で公知・公用になったにすぎない意匠について、中国で第三者が勝手に意匠出願するということがしばしば行われている。例えば、日本で開催された展示会において日本企業が新製品を出展したところ、第三者がその新製品の写真を撮影して、中国において意匠出願してしまい、いざ、当該日本企業が中国で当該新製品を発売しようとしたら、当該第三者から意匠権侵害の警告 を受けるということもある。 第3に、部分意匠制度が存在しないため、冒頭で紹介したように、製品の一部を真似されたような場合には、権利行使できない可能性が高い。近時の模倣品業者は巧妙化してきており、単純なデッドコピーだけではなく、様々の製品の意匠を組み合わせたものが出回るようになってきている。先の自動車の例では、前面(フロントビュー)はA自動車会社のXという車種と酷似した意匠として、後面(リアビュー)はB自動車会社のYという車種と酷似した意匠とした自動車が登場している。A自動車会社やB自動車会社は、部分意匠で意匠権を取得できないため、X車のフロントビューやY車のリアビューに限った意匠権を取得できず、その意匠の保護が十分に図られていないのである。 |
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| 3 日本企業がとるべき対策 | |||||
| 本連載を通じて、重ねて指摘していることではあるが、中国を現在市場としており、又は将来市場とする可能性が少しでもあるのであれば、新製品の発表・展示等を行う前に速やかに意匠出願を行うことが最も重要なことであるといえる。試作品段階の展示であっても、意匠出願を行っておくことが重要である。意匠については、日本ではPCT出願ができないため、外国で権利を取得するためには各国で出願しなければならない。そのためには中国においても少なくとも、日本での意匠出願を優先権主張するなどして積極的に権利化するようにしなけれ
ばならない。中国において意匠出願をしておくことで、後に、自社製品と同一・類似の意匠を第三者が中国において意匠出願した場合にも、無効審判を起こしやすいというメリットにもなる。
第三者が自己の意匠の一部分を真似た場合については、製品全体について意匠登録をしていたとしても、その製品の要部(意匠の中心的部分)が同一又は類似であれば、権利行使できる可能性もあるので、専門家に相談して対策を考えるのが望ましいといえる。 |
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