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中国における商標の保護
 
黒田法律事務所 吉村 誠 弁護士
先月号においては、クレヨンしんちゃん事件を題材として、中国における商標管理を巡るリスクについて説明をした。今回は、かかるリスクを回避するために知っておくべき中国における商標保護のための制度について解説する。

黒田法律事務所
吉村 誠 弁護士
■略歴■
京都大学工学部建築学科
最高裁判所司法研修所
日本弁護士連合会登録・東京弁護士会登録 (52期)
 
  1 商標登録の必要性  
  中国商標法上、国家工商行政管理局商標局(以下「商標局」という)の審査、許可を受けて登録された商標を登録商標としている。商標登録者は商標権を有し、法律の保護を受けるものとされている。
このように、中国国内において商標が商標法に基づく保護を受けるためには、商標を登録しておくことが必要である。
 
   
  2 商標登録の手続  
  商標登録は、1出願、2方式審査、3実体審査、4初期査定公告、5登録公告の各手続を経て権利が付与される。中国においては、商品商標の他、サービスマーク、団体商標、証明商標を出願することができる。また、商品自体の性質により生じた形状、技術的効果を得るために不可欠な商品形状又は商品に実質的な価値を備えるための立体的形状以外の形状についても、立体商標として出願できる。商標出願は、公表された商品又は役務分類表に基づき区分ごとに出願しなければならず(一商標一出願の原則)、出願において区分及び商品名又は役務名を特定しなければならない。  
商標出願がなされると、商標局は、出願願書等の記載要件に不備がないかにつき方式審査を行う。商標局は、記載要件が具備されている場合には出願を受理し、不備がある場合にはそれを受理せず出願人に補正を行うよう通知する。  
方式審査を経て受理された出願に対しては、商標法に定める登録要件を具備するかにつき実体審査を行い、登録要件を具備すると認めた場合には、初期査定を行い公告する。
初期査定公告後、3ヵ月の公告期間内に、何人も商標局に対し当該公告された商標が登録要件を満たさないことを理由として異議を申立てることができる。公告期間内に異議申立がない場合又は異議申立が成立しない場合には、商標局は出願商標の登録を許可し、出願人に登録証を交付するとともに 登録公告を行う。他方、登録要件を満たさない出願に対しては、出願人に審査意見書を送付して通知し、出願人は通知受領から、指定商品の減縮等により登録要件を満たすように1回のみ補正することができる。補正がなされず、又は補正によってもなお登録要件を満たさない出願に対しては理由とともに拒絶査定がなされる。出願人は拒絶査定受領日から15日以内に、商標評審委員会に対し、再審査を請求することができ、さらに商標評審委員会の裁定に不服のある場合には、決定通知書受領後30日以内に、人民法院に対し、裁定取り消しを求めて訴を提起することができる。  
なお、外国人又は外国企業は、中国において商標登録を出願する場合には、商標代理事務所に手続を委任しなければならない(商標法第18条、実施条例第7条)。
 
     
  3 登録商標の存続期間  
  登録商標の存続期間は、登録日から起算して10年である。期間満了後も継続して使用する場合には、更新手続を行う必要があるが、この場合、期間満了前6ヵ月以内に更新登録を出願しなければならない。更新後の登録商標の存続期間は、更新前の存続期間満了日の翌日から起算して10年である。  
  4 商標の保護を巡るポイント  
  中国における商標保護を巡って最も重要な点は、自社の製品について中国を市場とする可能性が僅かでもあるのであれば、直ちに商標出願をするべきであるということである。
先月号でも述べたとおり、中国では、商標登録は原則として先願主義が採用されている。したがって、同一の商標及び商品について先に商標出願した者が基本的には商標権者となりうるのである。そして、商標登録がなされると、登録を取り消すためには、商標不使用取消請求をしたり、著名商標に当たるとして当該登録商標取消の裁定を求める必要があるが、これらにより登録された商標を取り消すことは容易ではない。  
そして、キャラクターものに限らず、特定の商品が日本において知られるようになると、それを知った第三者が、中国において当該商標の出願を行い、後日、日本企業が中国において商品を投入しようとした際に、当該登録商標が障壁となり、商標権を高額で買い取るか高額の使用料を支払わなければならないという例が多数存在する。  
このような事態を避けるためには、まずは、商標出願をするということが最も重要なことであるといえる。
 
       
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