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中国知的財産権講座
特許権の権利解釈 |
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■略歴■
京都大学工学部建築学科
最高裁判所司法研修所
日本弁護士連合会登録・東京弁護士会登録 (52期) |
黒田法律事務所
吉村 誠 弁護士 |
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特許権を行使して司法的解決を求める場合、勝敗を予測する上で重要な特許権の権利範囲の解釈、及び侵害判断手法の他、間接侵害、先使用権につき、中国での特許権侵害訴訟における特徴について解説する。 |
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1 侵害訴訟における権利範囲解釈 |
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2001年7月1日より施行された現行特許法に基づく司法機関における侵害判断の判例は、日本、米国、欧州各国に比べると、充分な集積があるとはいえない。また、侵害判断基準策定は進めているものの、未だ統一された最高人民法院による司法解釈が出されていない現状においては、各人民法院で異なった解釈がなされているのが現状である。特許権の権利範囲解釈に関し、特許法は「発明又は実用新案の特許権の保護範囲は、その特許請求の内容を基準とし、明細書及び添付図面を権利請求の解釈に用いることができる」(第56条1項)と規定するのみである。
上記条文に基づき、中国における権利範囲の解釈の運用は、特許請求の範囲の内容を基準とし、文言を基準としないことが特徴的である。すなわち、特許権の保護範囲は、明細書及び図面を参照のうえ、特許請求の範囲の記載から技術的思想が何であるかを確定する手法がとられている。
この点に関し、北京市高級人民法院による「特許権侵害判断の若干問題に対する意見(試行)の通知」(2001年9月29日)(以下、「北京意見」という)が出され運用されている。ここで注意が必要なのは、北京意見は、北京市高級人民法院管轄区域のみに適用される侵害判断における解釈基準であり、他の管轄区域の人民法院に対しては法律上影響力がないということである。
この北京意見においては、権利範囲の解釈に関し、「多余指定原則」(以下、「余計指定の原則」という)が定められている。余計指定の原則とは、明細書作成に必要な知識の欠如や出願人の不注意により、余計な技術的特徴を記載した特許権者の権利範囲が不当に縮小されることと救済することを趣旨とするものである。具体的には、独立請求項に記載された付加的技術特徴を除いて必須の技術的特徴のみで特許権の範囲を確定する手法であり、付加的技術的特徴か否かの判断においては、発明の目的、機能、効果、出願手続における出願人の陳述等の要素が考慮される。従って、後記均等論の判断に先立ち、いわゆる文言侵害の判断基準として、付加的技術特徴を捨象し、必須の技術的特徴のみをその構成とする特許請求の範囲が確定されることになる。余計指定原則は、適用される事例も散見されるが、対立利益である公衆の利益保護のため適用は限定的と解され、適用される事例は減少傾向にある。
なお、最高人民法院起草で現在検討中の「特許権侵害案件の審理に関する若干問題の規定」(以下、「草案」という)においては、余計指定の原則を規定した条項は現在のところない。 |
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2 侵害判断 |
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特許権侵害の有無は、特許請求の内容を技術的特徴に分説し、被告製品と構成要件ごとに対比し、両者の技術的思想が同じであるかどうかにより判断されるのが原則である(オールエレメントルール)。
ただし、中国において、均等論の適用は、最高人民法院による司法解釈「特許紛争事件の審理に適用される法律問題に関する若干規定」第17条で明記され「特許権の保護範囲は、特許請求の範囲に記載された、必須の技術的特徴と同等の特徴により確定される範囲を含む」とされている。ここで、「同等の特徴」とは、特許発明の技術的特徴と、手段、機能、効果が同一であって、当業者が創造的な作業を経ずして連想することのできる特徴と規定されている。
また均等による侵害判断においては、被告製品が公知技術に属するか否か(公知技術の抗弁)も判断要素とされる。
なお、北京意見によれば、原告の均等論の主張と被告の禁反言の主張が衝突した場合には禁反言についての判断を優先するとされている。
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3 間接侵害 |
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特許法、その他関連法令、司法解釈等には、間接侵害を明記した規定はないが、最高人民法院による「民法通則の執行貫徹における若干問題意見(試行)」第148条1項に基づき、権利侵害行為、教唆幇助等についての故意又は過失、損害の発生、損害と行為との因果関係を主張、立証して、間接侵害行為を不法行為責任として、直接侵害者との連帯責任を追求することができ、実際に間接侵害が認められた事例も存在する。
直接侵害者とともに、間接侵害者を共同被告とするのが通常であるが、直接侵害の存在を証明することにより間接侵害者のみを訴えることもできる。
間接侵害の成立の範囲は、少ない裁判例しかない現状では明確とはいえないが、草案第33条によれば、「第三者が他人の特許権を侵害する行為を実施することを知りながら、当該第三者に対し必要な設備、作業場所等の援助をすること」と定める包括的規定が存することから、今後同草案の制定作業を見守る必要がある。 |
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4 先使用権 |
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非侵害事由として特許法第63条は、用尽、先使用権、一時的通過、研究開発目的を定める。このうち先使用権については、出願日以前における製品製造、又は方法使用の準備の他、技術取得の適法性がその成立要件とされ、北京意見によれば、効力の範囲は出願日における生産能力を基準とする「元の範囲内」に限定され、出願日以降、生産ラインの増加等により拡大した製造、使用行為は侵害行為とされている。
ただし、草案では、出願日以降拡大された場合でも現存技術の範囲内であれば先使用権を主張できるとされている。 |
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