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中国知的財産権講座
知的財産権保護制度の概要
侵害行為に対する対応策(3)――紛争解決手段(司法ルート) |
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■略歴■
京都大学工学部建築学科
最高裁判所司法研修所
日本弁護士連合会登録・東京弁護士会登録 (52期) |
黒田法律事務所
吉村 誠 弁護士 |
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知的財産権侵害行為に対する中国での紛争解決制度には、人民法院への訴え提起等による司法ルートと、行政機関への調査及び侵害行為停止等の処理を求める行政ルートの2通りがある。司法ルートと行政ルートには、それぞれ、長所、短所があるため、各制度の特徴に照らし、事案に応じて最も効果的な対処方法を、事前に検討することが重要である。本号ではまず、司法ルートによる紛争解決手段につき説明する。 |
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1 司法ルートによる紛争解決手段 |
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知的財産権侵害行為に対する解決手段の一つとして、侵害行為の停止や損害賠償を求めて人民法院に対する訴訟(本訴)を提起することがあげられる。本訴提起前においても、侵害行為の差止裁定(仮処分)を求めることができるが、仮処分申立に対する人民法院の判断は、極めて慎重であるのが現状である。さらに、本訴提起前に、損害賠償請求権の履行を確実にするための財産保全措置(仮差押)を申立てることも可能である。 |
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2 本訴提起 |
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当事者の一方が外国企業の場合、中級人民法院が知的財産権侵害訴訟の第一審を管轄し、損害賠償請求額が一定の額を超える場合には高級人民法院を一審とすることができる。権利者は、被告の住所地又は侵害行為地の人民法院に、侵害行為の差止、侵害品の市場からの回収、侵害品の廃棄、製造用工具金型の廃棄、損害賠償請求、公開謝罪文の掲示等を求めて人民法院に提訴することができる。ここで侵害行為地とは、侵害品の製造行為や販売行為を行っている行為地が含まれる。また、製造地と販売地が異なる場合、都市部の販売者と地方所在の製造者とを共同被告として都市部の人民法院に提起し、製造者に対する審理も都市部の人民法院で行うこともできる。都市部の人民法院は知的財産権を専門に扱う知識財産庭が設けられ、地方保護主義の影響が少ないので、裁判管轄地として積極的に活用するべきである。また、都市部の方が地方より侵害品の価格を高くしている場合が多いから、侵害者の利益に基づき損害額を算定して損害賠償請求をする場合には有利である。
第一審での審理期間は、当事者が中国企業の場合には、1年以内に終結し判決されるものとされるが、外国企業の場合かかる制限はない。また、被告が、答弁期間内に特許復審委員会に無効宣言の請求をして、訴訟手続の中止を求める場合があるが、発明特許権の場合、答弁書提出期間内の中止の申立であっても、人民法院は訴訟手続を中止しないことができ、実用新案特許権、意匠特許権の場合においては、原告が提出した国家知識産権局作成の検査結果報告書に、新規性及び進歩性喪失に関する技術文献が引用されていない場合も中止しないことができる。
中国においては二審制が採用されており、判決書送達の日から15日以内に一級上の人民法院に対し上訴することができ、第二審での審理期間は3ヵ月とされ、原則として第二審が最終審として判決が確定する。 |
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3 仮処分と仮差押 |
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@ 仮処分
仮処分の申立においては、現に侵害行為が行われている場合の他、実施を準備し侵害行為を開始しようとしている場合にも申立ができる。仮処分の申立に際しては担保を提供しなければならない。
人民法院は、当事者の一方又のみを召喚し審尋してもよいとされているため、相手方に対する審尋なしに仮処分を認める裁定を得られるよう、侵害行為について充分な資料を提出すべきである。
仮処分の裁定は、申立受理要件を満たして事件が人民法院に受理された時から48時間以内に下されるが、仮処分の実施日から15日以内に本訴を提起しないと人民法院は裁定により実施した措置を解除するため、本訴提起を前提に仮処分を申立てる必要がある。15日以内に本訴を提起せず、又は誤った申立により被申立人に損害が生じた場合、被申立人は自ら人民法院に訴訟を提起し、又は特許侵害訴訟において損害賠償を請求することができる。仮処分は、侵害者の侵害行為の停止を短時間の審理で裁定が下され、解放金提供によっても解除されない強力な手段ではあるが、高額な担保金が必要であること、本訴提起が前提であること、被申立人からの損害賠償請求の恐れがあること、認容されるケースは多くないのが現状であること等は、短所といえよう。
A 仮差押
仮差押の申立においては、当事者の一方の行為又はその他の事由によって、将来の判決執行が不可能又は困難にするおそれが確実に存在することの証明が必要であり、これには例えば、自己資産の国外への持ち出し、侵害行為に関連する資産等の隠匿行為や資産内容の急激な悪化等が含まれる。また、仮差押の対象としては被申立人が所有する銀行預金、不動産等の他、特許権や商標権、株式等も含まれ、封印、差押、凍結等の措置が命じられる。特許権に対し人民法院が保全措置を執る裁定を行った場合、国家知識産権局は、執行協力通知を人民法院から受領し、当該特許権の譲渡手続等関連手続の停止をする。
仮差押の申立に際しては、仮処分と同様に担保を提供しなければならない。 |
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