Walker
中国最新情報満載!!
知的法講座
 中国知的財産権講座
知的財産権保護制度の概要
侵害行為に対する対応策(2)――証拠収集と警告書送付
侵害行為に対する人民法院での民事的救済手続を円滑に進めるためには、事前の十分な証拠収集が不可欠である。
また、法的手続きに先立ち、警告書を送付するか否かの判断も重要である。
 
 
1 証拠収集手段と留意点
吉村誠 ■略歴■
京都大学工学部建築学科
最高裁判所司法研修所
日本弁護士連合会登録・東京弁護士会登録 (52期)
黒田法律事務所
吉村 誠 弁護士
 
@  自ら証拠を収集する場合における留意点
自己の知的財産権を第三者が侵害している場合、権利者が民事的救済により解決を図るのであれば、合法的な証拠により、侵害行為等の事実を証明する必要がある。中国法上、合法的な証拠は、当事者及びその訴訟代理人により収集されたものに限られているため、調査会社が収集した証拠は合法的な証拠とはいえず、人民法院では採用されない可能性がある。しかし、侵害者及び侵害品の特定、侵害品の保管場所、販売ルート及び仕向国並びに銀行口座等の調査は、訴訟に先立って侵害者たる被告の特定及び侵害行為等の事実の把握のために必要なものであるから、これらの事実につき調査会社による調査を活用すべきである。さらに、自ら証拠を収集する場合には、かかる調査結果をもとに、公証手続を利用することが肝要である。
具体的な手法としては、権利者又は代理人が、公証人と共に、侵害者が侵害品を販売する現場等に赴き、当事者が侵害者から侵害品を購入する行為等を公証人に現認させ、入手した侵害品、パンフレット、領収書及び相手方との商談を録音したテープ等を公証人に封印保管してもらい、その購入過程等を公正証書とする。この場合、当該製品と侵害者とを関連付けるため、製品や領収書に侵害者の企業名称、所在地、製品名、品番及び商標の表記等が、付されていることを確認する。

A  公的機関による証拠収集制度の活用
方法特許の侵害行為及び相手方の帳簿等損害額の立証証拠の入手は、通常困難である。そこで、本訴管轄権を有する人民法院に対する証拠保全申立制度を活用すべきである。
また、行政機関に対し、侵害行為の取調、処理の申立とともに証拠収集調査の申立をすることができる。但し、被調査人が調査に協力せず、又は偽証する場合であっても、これらに対し強制的な措置を執ることができないため、人民法院による証拠保全の権限に比べ劣る。

B  損害額立証のための証拠
人民法院は、日本と異なり、侵害訴訟において侵害論と損害論を分けずに審理するため、損害賠償を請求する場合には、損害額の立証に必要な証拠を、訴訟提起前に収集しておく必要がある。例えば、侵害行為に起因して権利者の製品の販売数量が減少したこと、権利者と侵害者の市場占有率及び販売統計値並びに侵害品の広告及び販売実績に関連する資料等を収集することが考えられる。
なお、侵害行為差止請求を人民法院に提起し、その後、別途損害賠償請求を人民法院に提起することも可能であるが、この場合、2年間の訴訟時効が完成しないように注意すべきである。

C  鑑定と先行技術調査
侵害品を入手した後、当該製品が特許権の権利範囲に属するかにつき、弁護士、弁理士又は人民法院が司法鑑定機関として指定する鑑定機関に鑑定を依頼し鑑定書を作成し、その結果を検討することは、訴訟提起するか否かの判断において有用である。また、訴訟においても、自己の証拠として当該鑑定書を提出することができるが、当事者が提出する鑑定書は、相手方が異議を申立てた場合、人民法院においては証拠として採用されない。
さらに、無効審判が請求された場合に備えて、事前に先行技術調査等の対象特許の有効性に関する調査を行っておくべきである。
2 警告書送付の検討
侵害者に対し警告書を送付することは訴訟提起の要件ではない。警告書を送付したことにより、侵害者が、証拠の隠滅、侵害品の製造場所・保管場所の変更、場合によっては会社自体の清算等を行う可能性も十分考えられ、後の訴訟提起等による解決が困難になる事態もありうる。かかる可能性が予想される場合、警告書を送付せずに訴訟提起等に踏み切るべきである。
しかし、販売者が侵害品と知らずに販売している場合等、侵害者が行為を停止する可能性が期待できる場合には、要求すべき内容を具体的に特定して、警告書を送付することも有用である。この場合、警告書の送付先を侵害者の取引先にまで対象とすると、日本と同様、不正競争行為に該当するおそれがあるため注意が必要である。
特許権侵害に対する人民法院への訴訟時効は、特許権者又は利害関係人が侵害行為を知った日又は知り得べき日から2年とされ、警告書の送付は、この訴訟時効の中断事由にあたる。
黒田法律事務所・黒田特許事務所
〒105-0001
東京都港区虎ノ門3-6-2
第2秋山ビル4・5階
TEL:03-5425-3211
FAX:03-5425-3299
黒田法律事務所上海事務所
〒200040
上海市南京西路1266号
恒隆広場1105B室
TEL:021-6288-3890
FAX:021-6288-3891
 
ウォーカーチャイナ今月号
巻頭インタビュー
特集
Business Event Schedule
Business Scene
企業レポート
連載
中国ビジネス相談Q&A
私も起業家
知的法講座
China Economic Review「全国」
China Economic Review「上海」
その他
上海、北京、中国全土の広告掲載について
ウォーカーオンラインではバナー及びテキスト広告スペースを用意しております。
広告掲載ガイド 掲載の受付