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知的法講座
 中国における知的財産権攻防の法的側面
中国も日本と同様に知的財産立国を掲げ知的財産戦略を展開しており、日系進出企業も未来の中国の構図を見据えた長期的対策をおろそかにしてはならない。  
日本国弁護士・弁理士 谷口由記合流聯諮詢(上海)有限公司(上海フラーレン)
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1 日本の知的財産戦略
日本では2002年に現内閣が知的財産戦略大綱を公表して知的財産立国を標榜し知的財産基本法も制定された。その中に対外戦略として外国での日本企業の知的財産権の適正な保護対策も組み込まれ、特に中国での日本企業の知的財産権の保護について積極的な働きかけが行なわれつつある。04年末に最高人民法院及び最高人民検察院から司法解釈として公布された刑事訴追基準の見直しと刑事罰の強化もその表われといえる(A)
2 中国の知的財産戦略
中国国内での企業活動に伴う知的財産権の保護を受けるにはまず登録であるが、2001年のWTO加盟の前頃から特許や商標の出願件数が激増しており、特に商標の登録件数は既に220万件を突破し、04年4月に200万件突破から年末220 万件に達し僅か8ヶ月で20万件の激増である。03年の商標出願件数は45万2千件でアメリカの年間出願件数37万5千件を抜く世界記録を樹立し、05年度は50万件を突破すると報道されている(B)。特許出願件数も同様に激増し、03年度は30万8千件で対前年度22%の増加し、登録件数も03年までの累計が106万5千件に達しており(C)、増加傾向は今後も続くものと予想されている。
3 将来の構図
21世紀に突入し企業活動が国際的規模で競争を激化する中で知的財産権の重要性は増し、知的財産権は世界貿易の大きな柱と成り国家の発展に寄与する利益獲得の有力な武器と捉えられている。既に世界の製品生産基地となり、かつ消費大国となりつつある中国では21世紀の国内の特許・商標・著作権等の知的財産権を戦略に据えた企業活動が競争を生き抜く大きな要因を占めている。そのためには知的財産権が適正に保護される環境が前提であり、現時点では人民全体の知的財産権に対する意識が未だ低く模倣被害は跡を絶たないが、将来を見据えて国内の有識者が唱える知的財産権戦略の未来構図は傾聴に値する。例えば、日本の経験から第1段階の00年〜10年は技術導入を主とし自主開発を従とした知的財産、第2段階の11年〜20年は両者の併合の知的財産権、第3段階の21年〜30年は自主開発を主とし技術導入を従とした知的財産権をめざすべきで、中国の実情からみて根本的施策は教育人材戦略であるとする意見(D)や、中国の知的財産権戦略は中華民族復興の実現と捉えて人材育成と人民の知識レベルの昂揚の必要を説く意見が多い(E)。それらの人材育成教育は緒に就いたばかりであるが、中国のこれまでの過去を振り返って見た場合、その実現へ向けたスピードも意外と速く、知的財産権が保護される現在の日本のような情況が訪れる時期もそう遠くはないのではないかと思われる。してみると未だ模倣被害に苦しみ半ば諦めムードの強い日系進出企業としても、知的財産権戦略の確立を放棄してはならず、やがては到来する知的財産権が保護される環境の中国の変貌に向けて、自社の活動戦略としての知的財産権の確立擁護体勢への歩みを怠ってはならないといえよう。
(A)日本政府が先進諸外国とともに中国政府に強く要望していたもので、「知的財産権侵害刑事案件の処理の具体的法律適用の若干の問題に関する司法解釈」として2004年12月8日公布され、同月22日から施行された。刑事訴追基準(模倣品の不法取引額・違法所得額の基準)を引き下げ、これまで経営販売規模が比較的小さいとして刑事処罰を免れていた事案にも適用されることになり、また、刑罰も厳しくされたので、知的財産権の保護が強化されたものである。
(B)2004年12月21日付「中国知識産権報・商標」。
(C)国家知識産権局年報(03年度報告)。
(D)国家知識産権局(SIPO)ホームページの「知識産権戦略八方談」で、北京大学知的財産権教学センター主任陳美章教授は1998年のデータで人口100万人の国の特許出願数で中国は11件(世界平均131件)、大学入学率では6%(世界平均19%)と依然低く、根本的な教育人材育成を強調され、また、高盧麟中華全国協利代理人長会会長(元国家知識産権局局長)は中国では未だ重要な分野の70〜80%の技術は外国の特許で自主的知的財産権の獲得が必要であるとともに知的財産権の普及教育の重要性を唱えられており、鄭成思社会科学院知的財産権センター主任、蒋志焙最高人民法院知的財産権法廷長、程永順北京市高級人民法院知的財産権法廷副廷長らも人材育成教育を強調されている。
(E)2004年12月30日付「中国知識産権報」の清華大学法学院副委員長王兵教授の談話。
 
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