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| 1 刑事処罰規定 |
| 中国で商標権や著作権等の知的財産権が侵害された場合の救済手段として、行政機関に侵害差止・過料(罰款)の処罰等の処理を求める方法(行政ルート)と人民法院に侵害差止・謝罪広告・損害賠償等を求めて民事裁判を提起する方法(司法ルート)のほか、悪質な事案では刑事責任が追求される。以前は知的財産権侵害の一部のみしか刑事処罰規定が設けられていなかったが1997年に刑法が改正され知的財産権侵害罪(第7章213条〜220条)が規定され、刑罰も罰金のほかに最高7年の懲役刑が科されるが、対象は商標権侵害と著作権侵害が中心で、特許詐称罪はあるが、特許権侵害には刑事罰は科されない@。 |
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| 2 刑事処罰の現状 |
最高人民法院の研究室から「刑法改正の翌年1998年から2002年までの刑事訴追の件数と人数の集計」が公表され、隔年毎のデータは後記表のとおりであるA。
また、2001年4月〜2003年3月の全国人民法院が審理した知的財産権犯罪案件は851件、1288人であり、判決が出された案件は755件、1207人で、5年〜7年の懲役刑を受けた者が143人、5年以下の懲役を受けた者は582名である。刑事案件の特徴は、第1に増加傾向にあること、第2に商標権侵害案件が全体の9割を占めていること、第3に共同犯罪で個人よりも単位の犯罪が多いこと、第4に犯罪手段が複雑で知能犯型が多いこと、第5に行政罰や民事責任を追及された経験者が多く、かつ、地区を跨いだ犯罪が多いこと、第6に刑罰は3年以下の懲役刑や罰金刑が多いことである。
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| 3 訴追基準の改定 |
| 刑事責任が訴追されるのは一定の基準(訴追基準)を満たした場合であり、例えば、商標詐称(製造・販売)では(1)加害者が個人で違法経営額10万元以上の場合、(2)加害者が単位で違法経営額50万元以上の場合、(3)馳名商標又は人用薬品商標の場合、(4)過去に行政処罰を2回以上受けた場合等であり、特許詐称では(1)違法所得額が10万元以上の場合、(2)特許権者に与えた損害が50万元以上の場合、著作権侵害では(1)3年以下の懲役・罰金の対象は個人の違法所得が5万元以上、単位の違法所得が20万元以上の場合、(2)3年以上7年以下の懲役・罰金の対象は個人の違法所得が20万元以上、単位の違法所得が100万元以上等とされている。従って、違法経営額や違法所得額が少ない場合には刑事処罰を科すことができず、これを利用して侵害品の保管倉庫を分散して1箇所での規模を訴追基準以下として刑事訴追を免れる悪質巧妙な事案も増加しているので、訴追基準の引下げが求められてきたが、近く引下げられる予定であるB。
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| 件数/人数 |
1998年 |
2000年 |
2002年 |
| 登録商標詐称罪 |
50/73 |
86/141 |
176/286 |
| 登録商標詐称商品販売罪 |
18/35 |
70/103 |
57/90 |
| 登録商標詐称標識違法製造、販売罪 |
26/41 |
60/84 |
121/193 |
| 特許詐称罪 |
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6/7 |
2/4 |
| 著作権侵害罪 |
22/33 |
11/14 |
22/61 |
| 権利侵害複製品販売罪 |
1/1 |
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3/4 |
| 商業秘密侵害罪 |
11/30 |
15/30 |
27/64 |
| 合 計 |
128/213 |
248/379 |
408/702 |
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@特許詐称を罰するのは、商標権侵害と同様に消費者を騙し市場を乱す行為であるからとされている。日本では特許権の侵害に対して5年以下の懲役又は500万円以下の罰金を科され、両罰規定で法人には1億5000万円以下の罰金が科せられるが(日本特許法196条、201条)、WTO条約Trips協定61条は加盟国に対し故意による商業的規模の商標の不正使用及び著作物の違法な複製に対する刑事罰を求めており、多くの国では商標権及び著作権について刑事罰を規定し、日本のように特許侵害罪を設ける国は少ない。
A最高人民法院研究室、民三廷、刑二廷「知識産権刑法保護に関する問題の調査研究報告」(法律出版社発行「知識産権審判の指導と参考第7巻」94頁以下)。 B国家工商行政管理局ホームページ参照。 |