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  紆余曲折経て上海で城築く相談者も後絶たず  
  上海多瑪餐飲有限公司  椎野英紀氏  
 
差し出された名刺には「Adviser(顧問)」と明記されている。椎野英紀氏はイタリアンレストラン「Domani」のオーナーその人である。ただ、上海でビジネス展開を考える人々にとって、とりわけ椎野氏は良き「アドバイザー」であることに間違いはない。椎野氏のもとには月に二人のペースでアドバイスを求めに人が訪れる。上海在住歴六年で今年四一歳、広告代理店のデザイナー兼営業から上海でコンサル会社勤務、さらに遡れば日本でナイトビジネスを立ち上げたこともある。その道のりは決して平坦なものではなく、紆余曲折を経て蓄積された経験と親しみやすい人柄が人を引き寄せる理由であろう。 椎野英紀氏
 
  ● 洋食文化の急速な普及に先行投資  
  「Domani」は〇二年五月に古北でオープンしたレストラン「D」を前身として、現在は〇三年一〇月に新規開店した正大広場の浦東店と昨年一二月に開いたばかりの銅仁路店の二店舗。元デザイナーである椎野氏が自ら手掛けたというお洒落な店舗デザインに本格イタリアンと日本式サービス。両店舗に訪れるお客には「D」の時か本から中国に移るとの先を見越しての計画となる。日式クラブとは違う趣向でフィリピン人ミュージシャンのステージなどを想定、フィリピンにプロダクションを構え、日本で六店舗を経営するパートナーがノウハウを取り込む。「コンセプトをもとに、規制のラインや場所、採算性などの計算を出してから」と綿密なプランニングを立てている。騙されて日本に帰ろうとしたこともそんな椎野氏だが決してサクセスロードを歩んできたわけではない。「数多くの失敗を繰り返し、勉強代を支払ってきました」と苦笑いを浮かべる。日本ではわずかな所持金でバイト雑誌を買い、その日の食事と寝床を探し求めたこともある。どん底から這い上がり復活を遂げたものの、勤めていた広告代理店から引き抜かれて上海にわたったコンサルティング会社はわずか二年で撤退を余儀なくされた。上海で始めたレストランでも任せていたコック長の裏取引が発覚するなど騙されたこともあった。「日本に帰ろうと思ったことは何度もあらのファンも少なくない。
その「D」は上海市の区画整理にあたり、場を追われる形となった。しかし、「そうなるのを知っていて、当初はリスクを考えての試験的な展開。洋食文化の浸透を見計らう必要があった」と椎野氏。これが思いの外、好反応を得た。その後、洋食文化は上海で急速に広がり「ある意味誤算だった」という椎野氏は、周りからの「早過ぎる」との声を押し切って、外灘の景色を一望できる場所を確保した。中国の高度成長、そして浦東の開発の早さを見越しての先行投資に他ならない。
 
  ● 次なる計画、ショーパブ展開  
  椎野氏は常に先を見続けている。弱冠二四歳にして、地元の小田原でバーを開き、土日は当時まだメジャーな音楽でなかったレゲエでミュージシャンを集め、流行らせた。洋食文化の根付いていない上海でいち早くイタリアンレストランの経営に乗り出したのも然りである。
そして椎野氏が次に計画しているのが、上海でのショーパブ展開だ。上海での潜在需要、そして外国人女性労働者の流れが日本から中国に移るとの先を見越しての計画となる。日式クラブとは違う趣向でフィリピン人ミュージシャンのステージなどを想定、フィリピンにプロダクションを構 え、日本で六店舗を経営するパートナーがノウハウを取り込む。「コンセプトをもとに、規制のラインや場所、採算性などの計算を出してから」と綿密なプランニングを立てている。
 
  ● 騙されて日本に帰ろうとしたことも  
  そんな椎野氏だが決してサクセスロードを歩んできたわけではない。「数多くの失敗を繰り返し、勉強代を支払ってきました」と苦笑いを浮かべる。日本ではわずかな所持金でバイト雑誌を買い、その日の食事と寝床を探し求めたこともある。どん底から這い上がり復活を遂げたものの、勤めていた広告代理店から引き抜かれて上海にわたったコンサルティング会社はわずか二年で撤退を余儀なくされた。上海で始めたレストランでも任せていたコック長の裏取引が発覚するなど騙されたこともあった。
「日本に帰ろうと思ったことは何度もある」が、その度に支えてくれたのがコンサル会社勤務時に出会った上海人の妻だった。その妻は「Domani」の総経理でもある。「失敗を最小限に食い止められたのは妻のおかげ」と話す椎野氏も、今ではリスクを見分ける「嗅覚」が身についたという。
 
   「競争の時代」に新たな戦略  
  椎野氏はアドバイスを求めに来る人に対し、リスクマネジメントとともに「コンセプトとそれに合わせたタイミング」の重要性を説く。また「日本の概念を持ち込むだけでは歯車が合わない。中国風へのアレンジ」を勧める。椎野氏自身、「日本人の口に合う洋食を届ける」ことから始めたイタリアンレストラン。このコンセプトを基に、味からきめ細かいサービスまで、「D」から始まりようやく三年でベースが出来上がった。
そして今、このベースをもとに新たなビジョンを描いている。浦東店で先日、結婚パーティーが開かれ、盛況を収めた。立地条件の良さとビュッフェの立食であれば三〇〇人収容できるという同店では、オリジナルメニューを作成するなど、今後は積極的にパーティー利用としてのプランニングを提案していく。また、新興住宅街でオープンを迎えるアイススケートリンク内への出店も契約間近。「上海の外食産業は激しい競争の時代に入った」という椎野氏は攻めの姿勢を崩さない。
 
   「成功」の価値観に変化が  
  「成功するまで日本に帰らない」と心に誓った椎野氏。しかし、その「成功」に対する価値観に変化が生じている。
当初は日本で働く同年代を見ても、年収一〇〇〇万円という目標ラインがあった。店を始めるにあたり、椎野氏には十分な開店資金があったわけではなく、企画書を作って自分のあらゆるネットワークを使って投資者を募った。その分、目に見える「成果」を求めた時代もある。しかし、今の椎野氏が最優先するのは「Domani」のブランド価値。「稼いだらその分を店と人材に投資したい」と語る。
それだけに、サービス面でスタッフを厳しく叱ることもある。だが、いったんミスが起きれば、翌日すぐに自らお客様に謝りに出向く。そこは「元営業ですから」と。また、経営者として非があると思えばスタッフ全員を前に頭を下げる。椎野氏を信頼しているのは、相談を持ちかけてくる人たちだけではないようだ。
実は「仕事するのが好きじゃないんです」と語りながら、「今年はレストラン業に限らず、あらゆる業界で勝負の年になるでしょう」と忙しく駆け回る日々。椎野氏は当分上海から離れられそうもない。
 
   連絡先  
  浦東店
浦東新区陸家嘴西路168号正大広場4F
TEL:(021)5047-1771
FAX:(021)5047-1770


銅仁路店
銅仁路76号
TEL:(021)6247-8977
 
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