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繊維・アパレルレポート  
  グローバル化路線鮮明、再び巻き起こるユニクロ旋風
   
   
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日本の「国民ブランド」とまで中国メディアから評されるユニクロ。「踊り場」にあった数年の業績は息を吹き返し、力強く成長路線を歩み始めている。「韓流」や高級欧米ブランドに対峙し、どんな展開を見せていくのか。ユニクロの挑戦に注目したい。
 
 
    捲土重来、旋風が再び  
   
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ユニクロが再び快進撃を始めた。「グレーター上海を重点地域とし、やがては中国全土での店舗展開を目指す――」。迅銷(江蘇)服飾有限公司(ファーストリテイリング・アパレル)の総経理・潘寧氏は力強く語る。
ユニクロは二〇〇一年にフリースが大ヒット、三〇〇〇万着が売れるという社会現象まで巻き起こした。この年、売上高も四一〇〇億円を達成、創業者・柳井正は一躍「時代の寵児」となった。低価格・高品質路線を歩む同社の事業戦略や柳井氏の経営手法に対して送られる賞賛の声やエール。多くのメディアがユニクロ旋風に熱い眼差しを向けた。
しかし、その後、数年にわたってユニクロの業績は頭打ちとなった。「商品のマンネリ化もあった」。潘氏はこのように低迷期を振り返る。フリースに代替するヒット商品を生むことができず、中国での店舗展開にも大きな飛躍は見られなかった。「時代に先駆け、不断に挑戦と革新を進め成長を続けていくという、創業以来のスピリットに陰りが生じていたのではないだろうか――」(潘氏)。その間、アパレル界のトレンドの主役は、第二世代SPAと呼ばれるH&M、ZARAなどのブランドに取って代わられようとしていた。「成長を続けなければ企業の生命は終わる」――そんな焦りと反省から、社内では創業精神の再認識と徹底した意識改革が行われたという。
 
    「二〇一〇年売上一兆円」の夢  
   
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ユニクロ・ブランドは香港市民にとってはなじみが深い。開店時の店内は大混雑となった
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大陸・香港エリアの事業展開のマネジメントに携わる潘総経理
 
そして、昨年、ユニクロは再び経営攻勢に出る。持ち株会社の設立、香港、ニューヨーク、ソウルへの出店と店舗数拡大、ゴルフウェアのOEM生産、婦人服ブランド・キャビンの買収劇等々、同社にまつわるニュースの報道が後を絶たない。
数々の事業戦略が的中し始めた。日本国内の業績は持ち直し、上半期の連結売上高は対前年比一八・二%増の二・三八六億円。通期の売上高は四・四四九億円を見込んでいるという(四月一三日報道より)。
現在、ユニクロは二〇一〇年に売上高一兆円を目指す。その柱となる戦略がM&Aとグローバル化である。中でも店 舗面積一○○○平米強を誇る香港店は海外店舗の中でもトップの売上額を誇るという。
生産スタイルについては中国での委託生産が今後も中心となってこよう。日本の縫製業は高齢化などの問題により、もはや量的な対応ができない。中国の縫製インフラに依存しなければもはややっていけないという時勢となっている。  
一方で「生産の分業」も考慮に入れる。ヨーロッパのシャツ生地を輸入したり、デニム生地は日本から調達したりというように世界中の良い素材を調達して、スケールメリットを生かしながらリーズナブルな商品を作り上げていくことを目標としている。  
さらに、ニューヨーク、ミラノやパリなど世界中からデザインを吸収し、グローバルに対応できる商品を発信しようという体制の構築が進んでいる。
 
    「日本ブランド」の代名詞に  
   
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今夏、港匯広場店を一新する(予想図)
ユニクロの中国展開について振り返ると、同社が上海に一号店を出したのが二〇〇二年。その後、「安定的成長」にあったとはいえ、「飛躍」といえるまでの展開はなかった。潘氏は、「(ユニクロの製品は)良い物ではあるが、その確かな伝え方を欠いたばかりか、伝える対象も再定義する必要がある」と語っている。  
究極の目標としてユニクロ中国は、中国の全国民をターゲット顧客としている。しかし、現状は、ノンマークなためにコーディネイトがしやすい、低価格、高品質…こうしたユニクロならではの流儀、特徴を、「着こなし」術として自らの生活に取り入れていこうと考えるのは、いわゆる都市に居住するニューリッチ層である。セグメンテーション化のなかであぶりだされたこれらの層の支持を受けるための戦略を、潘氏は数々と打ち出し始めた。  
香港では婦人服売り場の面積の比率を大きくした。香港女性の購買力の強さや地元ブランドとの差別化を図るためだという。  
上海市場に対してもエネルギーを注ぐ。渋谷109に相当する徐家匯・港匯広場にある店舗をこの夏、リニューアル・オープンさせる予定だ。現状の三〇〇平米を約一○○〇平米に拡大、店舗内装も日本の目黒店のスタイルを導入するのだという。
売上高で世界七位の規模を誇るカジュアルブランド、ユニクロ。地元メディアは「日本の国民ブランド」と各記事で紹介する。  
「これからは商品アイテムの変化、充実ぶりにきっと気づいてもらえると思う」と語る潘氏。「中国語でいえば賓至如帰BinZhiRuGui、日本以上の高品質なサービスを期待してほしい。企業を成長させるともに(カジュアルブランドの)市場も大きくし、皆さんがユニクロを愛してくれるようになってほしい」(潘氏)。
 
    迅銷(江蘇)服飾有限公司上海分公司  
   

DATA
上海市中山南二路1089号徐家匯苑16楼02室
TEL:021-5412-8813 FAX:021-54128-809 
URL:http://www.uniqlo.com.cn