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ビジネス特集
われら"留日組" 〜それぞれの起業人生〜
日本語通じて知った中国の姿 理想追求した通訳・翻訳会社
祝廷建氏(上海緯度翻訳有限公司・董事長)

「『拡大』路線でなく、『品質』『専門性』を追求していく」と話す祝廷建氏
「理想の翻訳・通訳会社を立ち上げよう!」――同じ志を持った者たちが設立したのがWEDOだ。祝廷建氏は会社設立後、ミスを可能な限り少なくし、品質を確保するための体制構築に奮闘してきた。設立から11年目を迎えたWEDOは新たな挑戦期に入っている。

農家の五人兄弟末っ子
「日系企業の人材現地化の障壁になっているのが、中日の文化・人間性の違いや言葉の壁だ。この中でいち早く改善できるのが言葉の部分。コミュニケーションとしての言葉を重視することは、事業拡大の成功に繋がる」
こう淀みない日本語で指摘するのは、上海緯度翻訳有限公司(WEDO Shanghai)董事長の祝廷建氏。1997年、北京緯度翻訳公司を立ち上げ、2002年に上海緯度翻訳有限公司を設立。これまで多くの日系企業のビジネスをサポートしてきた。
70年、四川省眉山市に農家の五人兄弟の末っ子として祝氏は誕生した。農村での生活を享受して育ったが、20歳を目前に「外の世界を見てみたい」と強い思いに駆られた。
それを実現するため大学進学を選択、一年浪人した後、四川外国語学院に合格する。兄から「将来、仕事できっと役立つ」とアドバイスされ、専攻は日本語に決めた。
日本で受けた"衝撃"
祝氏は大学 3年で、広島県立大学経営情報学科へ留学した。渡日後の関心事は日本ではなく、専ら中国だった。日本を鏡として中国を認識し、数多の中国研究書を読み耽った。
「日本語を通して、農村問題など今まで漠然としていたことが分かってくる。日本に居ながら、中国にカルチャーショックを受けているようだった」
「中国をもっと知りたい」――そうした気持ちが日本語学習の原動力だった。しかし、悩みも抱えていた。クラスメートとのコミュニケーションがどうしても上手くいかない。唯一の外国人であった祝氏に級友はみんな親切だったが、心から友達と呼び合える関係が築けなかった。言葉の"壁"はそう簡単に乗り越えられない――祝氏は痛感する。
日本から帰国すると、新天地を北京に求めた。コンサルティング会社や広告会社などに勤めるが、目先の利益しか考えない経営に嫌気が差し、どこも長続きしない。
やる気はあるが、力を発揮する場がない――祝氏は同じように悩む若者ふたりと、自分たちの理想の翻訳・通訳会社を立ち上げる。社名はWEDO、英語の「We do」から採った。そこには、「我々がやる」「我々が変えるんだ」という強い意思が込められている。

「通訳・翻訳者は人格者」――祝氏が大切にしている言葉である
「品質」「専門性」を追求する
「翻訳・通訳の世界に100点満点は存在しない」というのが祝氏の考え。会社設立当初は完璧を追及していたが、それが不可能だと知った後、ミスを可能な限り少なくし、品質を確保するための体制をつくってきた。
日系企業からの翻訳の仕事は年々、複雑・専門化しており、これに対応するノウハウの確立を進める。そのひとつが用語集の作成。「案件ごとに専門用語集を作る。これにより翻訳の品質を確保できる」。
他業種企業の参入、内陸部の翻訳会社の進出など、翻訳業界の競争は年々厳しくなっている。同社では2007年より「中国語から日本語への翻訳」を翻訳事業の主軸にし、日本人チェッカーの導入などで高付加価値のサービスを提供している。
「この業界で生き残るには『拡大』ではなく、『品質』『専門性』を追求し、効率アップで利益を上げていくしかない。我々は新たな挑戦期に入った」――祝氏は表情を引き締めて語っている。
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2008/3/10 更新
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